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#208 膝関節の半月板損傷について考える

日常生活やスポーツ、運動を行っていく中で
膝の問題は比較的多くの方が抱えておられる
ところかと思います。

膝関節に関わるケガや障害は
たくさん存在しますが、
今回は半月板、半月板損傷について
綴っていきたいと思います。

半月板(関節半月)とは、
膝関節の大腿骨と脛骨の間にある
軟骨に似た組織で、
膝関節の動きを助ける
重要な役割を担っています。

膝関節の大腿骨側は大きく丸い形状をしており、
脛骨側は小さく浅い形状をしております。

そのため、関節の安定性は決して高くないため、
安定性を補う役割として
半月板が存在しております。

半月板には、
内側半月板外側半月板とがあります。

内側半月板は、半月状をしており
内側側副靭帯と癒着しております。

癒着していることにより可動性は
少なくなっています。

外側半月板は、ほぼ環状をしており、
内側半月板と違い、
外側側副靭帯とは癒着しておらず、
このため可動性は大きくなっております。

可動性の違いにより、
内側半月板は外側半月板よりも
20倍損傷しやすいとも言われております。

半月板は、以下ようなの役割も担っております。
・膝関節の安定化:大腿骨と脛骨の適合性を高め、関節の安定性を保ちます
・衝撃の吸収:膝にかかる衝撃を和らげ、
関節軟骨を保護します
・荷重の分散:体重を分散し、
膝の一部分に負担が集中するのを防ぎます

半月板に負荷がかかり、傷がついた状態を
半月板損傷といいます。

半月板損傷の原因は、
大きく分けて以下の3つが考えられます。

①スポーツ外傷
膝に強い捻りや衝撃が加わることで、
半月板が損傷するケースです。
スポーツの種類別に見ると、バスケットボール、
サッカー、野球、テニス、バレーボール、
ラグビーなどで多く発生しています。
ジャンプの着地、急な方向転換、ストップ動作、
接触プレーなどが原因となります。

②加齢による変性
加齢とともに半月板の柔軟性が失われ、
脆くなることで、軽微な外力でも
損傷しやすくなります。
日常生活での動作(立ち上がり、階段の昇り降り
など)でも、半月板損傷を引き起こすことが
あります。

③外傷
転倒や事故などによる膝への直接的な衝撃が、
半月板損傷の原因となることがあります。

④その他
半月板の形状異常(先天的なもの)が、
半月板損傷のリスクを高めることもあります。
肥満やO脚、X脚なども、
膝関節への負担を増加させ、
半月板損傷のリスクを高める可能性があります。

半月板損傷は、1回の大きな外力によって
生じるものもありますし
頻繁に膝関節に加わる外力によって
生じるものもあります。

若年者ではスポーツ外傷によるものが多く、
高齢者では加齢による半月板の変性断裂が
多かったりします。

半月板損傷の症状は、
損傷の程度や部位によって異なりますが、
主な症状としては以下のものが挙げられます。

・痛み
膝の痛みは、半月板損傷の最も一般的な症状と
なります。
運動時や膝を曲げ伸ばしする際に痛みを
感じることが多いですが、
安静時にも痛むことがあります。
痛みは、膝の内側または外側に感じることが多く、押すと痛むことがあります。
損傷の程度によっては、激しい痛みで歩行が
困難になることもあります。

・腫れ
膝の関節部分が腫れることがあります。
腫れは、損傷後数時間から数日かけて
徐々に現れることがあります。
腫れとともに、熱感や赤みが
生じることもあります。

・可動域制限
膝の曲げ伸ばしがしにくくなることがあります。
特に、膝を深く曲げたり、伸ばしたりする際に
制限を感じることが多かったりします。

・引っかかり感
膝を動かす際に、引っかかるような感覚や
音がすることがあります。
これは、損傷した半月板が関節に挟まることで
起こります。

・ロッキング
重症な場合、膝が全く動かなくなることが
あります。
これは、損傷した半月板が関節に挟まり、
動けなくなる状態をいいます。
ロッキングが起こると、激しい痛みで
動けなくなることがあります。

・不安定感
膝がぐらつくような不安定感を
感じることがあります。
これは、半月板が膝関節の安定性を保つ役割を
果たせなくなるために起こります。

・その他の症状
膝に水が溜まることがあります(関節液の貯留)。
膝を動かすと、音が鳴ることがあります
(クリック音)。

半月板損傷の治療法は、
損傷の程度や症状、患者さんの年齢や
活動レベルなどによって異なります。

大きく分けて、保存療法と手術療法があります。

①保存療法
具体的な方法には、以下のようなものがあります。

安静:膝への負担を軽減するため、運動や激しい
動作を避け、安静にします
薬物療法:痛みや炎症を抑えるために、
消炎鎮痛剤(湿布や内服薬)を使用
リハビリテーション:膝周りの筋肉を強化し、
関節の可動域を広げるための運動療法を行う
装具療法:膝関節を安定させるために、
サポーターや装具を使用することがあります
注射療法:ヒアルロン酸やステロイドなどの
薬液を関節内に注射し、
痛みや炎症を抑えることがあります

保存療法が対象となるケースには、
軽度の半月板損傷、高齢者や活動レベルが低い方、
手術のリスクが高い方が当てはまります。

②手術療法
具体的な方法には、以下のようなものがあります。

関節鏡視下手術:関節鏡という細いカメラを膝関節内に挿入し、モニターを見ながら手術を行います
半月板縫合術:損傷した半月板を縫い合わせて
修復する手術
半月板部分切除術:損傷した半月板の一部を
切除する手術

手術療法が対象となるケースには、
保存療法で症状が改善しない場合、
半月板の損傷が大きい場合、
若年者や活動レベルが高い方が当てはまります。

半月板損傷への対応には、
急激な動作を避けることも大切となります。

スポーツや日常生活で膝に大きな負担が
かかる動作は、半月板に負担をかけ、
炎症を悪化させる可能性がありますので
注意が必要となります。

私の私見になりますが、
膝関節にまつわる痛みがある場合は、
股関節または足関節の可動域制限か、
これらの筋肉の柔軟性の低下、筋出力の低下などが
存在することが多かったりしますので、
この辺のチェックも必要になってきます。

半月板のケガは、意外にどんな方でも
起こりうるものですので、
頭の片隅に入れておいていただけますと幸いです。