#93 筋力を考える
アスリートの方や運動をなさっている方では
筋力アップはパフォーマンスアップなどには
欠かせないことだと思います。
まず、筋力とは筋線維が収縮するときに生まれる力のことであります。
一般的に、筋力が向上することは、筋肉が太くなっていくことが
大事であると考えている方は多いかと思います。
その点に関しましては、間違っておりません。
ただ、それだけではございません。
筋力には形態と神経系が影響すると考えられています。
前者の形態とは、最大筋力と比例する筋の生理的断面積であり、
筋の生理的断面積が大きい(筋が太い)と最大筋力も大きくなっていきます。
後者の神経系とは、神経系による筋出力、筋収縮の調整となり、
運動単位の動員数増加(ニューロンサイズの小さい運動単位から大きい運動単位へ順に動員されるサイズの原理)
や活動電位の発火頻度の増加により筋力は増加すると言われております。
上記の中に出てきます、
運動単位とは、1つの運動ニューロン(細胞)が支配している
筋線維の束、グループをいいます。
上記のことを簡単に言いますと
筋力は筋断面積の大きさと筋出力の2つの要素によって
成り立つと考えられています。
簡単に模式図にしますと
筋断面積×筋出力=筋力となります。
模式図の計算式を
10×10=100と考えますと
【筋断面積が大きいパターン】
筋断面積を8、筋出力を3としますと
8×3=24となり、筋力24となります。
【筋出力が大きいパターン】
筋断面積を4、筋出力を7としますと
4×7=28となり、筋力28となります。
この2つのパターンを比較しますと
後者のほうが筋力が高いことになります。
高齢者の方が、筋力をアップさせるためには
なかなか筋断面積を大きくするのは
リスクがありますので、
筋出力を高めることが重要になります。
筋出力を向上させるためには
必要な筋肉が、必要なだけ、必要なタイミングで働くようなることが
大切になります。
負荷が弱くても、日常生活ではあまり使わない動きを行い、
日頃から繰り返し脳から身体を動かす命令を送ることが重要です。
このことに関しましては、
アスリートの方や運動をなさっている方にも
重要なこととなります。
ですので、マシンやフリーウエイトの筋トレだけでなく
ファンクショナルトレーニングなどで
神経系や感覚系のトレーニングも組み合わせることで
ケガ予防とパフォーマンスアップの両輪が
ぐるぐる回転して、ご自身が思い描いた結果が
出せるようになるのではないかと思います。