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#195 成長期の難敵 オスグッド・シュラッター病

サッカーやバスケットボール、
バレーボールなどの球技を行っている
成長期のお子さんの中で
身体の悩みとして多く耳にするもの中に
オスグッド・シュラッター病
というものがございます。

オスグッド・シュラッター病は、
成長期の子どもに多くみられる
膝のスポーツ障害のひとつで、
特にサッカー、陸上、バスケットボール、
バレーボールなど、跳ねたり、
ボールを蹴ったりする動作を行う
競技でよく起こります。

また、成長期の骨端にある軟骨組織に
負荷や機械的な刺激が加わって発症する病気である骨端症のひとつと言われております。

成長期の子どもの中でも、小学校高学年~中学生(10歳~15歳頃)に発症することが多く、
女子よりも男子に多くみられます。

オスグッド・シュラッター病になってしまう
原因、要因
としましては、
大腿四頭筋が付着します脛骨粗面の骨化が
完成する前の力学的に弱いタイミングに、
日常生活動作やスポーツ活動で
大腿四頭筋の収縮により脛骨粗面が繰り返し
牽引されることが原因のひとつとなります。

成長期の子どもの骨は軟らかく
不安定だったりしますので、
筋肉や腱の成長とのギャップもあり
筋骨格構造がアンバランスに
なりやすかったりします。

そこに過剰な運動による負荷が加わってしまうと、膝の痛みが起こってしまいます。

また、成長期に急激身長が伸びてしまうことに
よって大腿四頭筋の柔軟性が低下し、
脛骨粗面に負担がかかってしまうことも
原因のひとつになります。

日常生活動作やスポーツ動作
(着地動作、しゃがみこみなど)での
急激な膝関節の曲げ伸ばしをすることは、
脛骨粗面へのストレスを増大させます。

加えて、座って過ごすことが
増加している影響もあるのか、
腸腰筋の硬さや弱化がみられるようになったため、
大腿四頭筋を過度に使わざるを得ない
身体の使い方が常態化してしまっていることも
要因ではないかと考えております。

オスグッド・シュラッター病の症状としましては、
以下のようなものが挙げられます。
・膝蓋骨の少し下の脛骨粗面に腫れや痛みが生じる
・特定の動作(ランニング、ひざまずく、ジャンプ、キックなど)で痛みが増す
・休息すると痛みは和らぐ
・赤く腫れたり、熱を持ったりすることがある
・膝(脛骨粗面)をぶつけてしまうと激痛が走る
・通常は片方の膝だけに発生しますが、両方の膝に見られることもある
・悪化すると日常生活動作(歩行、階段昇降、しゃがむなど)にも支障をきたす

オスグッド・シュラッター病は
症状が進行するにつれて
脛骨粗面部の膨隆は著しくなり、
骨性に硬くなることもあります。

一度脛骨粗面部が膨隆し
骨性に硬くなってしまいますと、
大人になってもそのまま残り続けてしまいます。

オスグッド・シュラッター病は
慢性の経過をたどりつつ
再発を繰り返していくことが多いですが、
骨端軟骨の骨化が完了する18歳頃には症状は
一般的には消失していきます。

オスグッド・シュラッター病への
アプローチ方法としましては、
一般的には安静や痛み止め、
専門のところでの物理療法、
リハビリテーションなどが行われます。

早期にスポーツ活動の休止を含めた
安静保存療法を行っていくことで、
変形を残さず軽快する場合もあります。

痛みを引き起こす筋肉としましては
大腿四頭筋となりますので、
まず大腿四頭筋の硬さや柔軟性の低下を
改善していくことは大切になります。

セルフケアとしましては
大腿四頭筋のストレッチになりますが、
症状がひどかったり、炎症が強い場合は、
膝を曲げることが困難になりますので、
大腿四頭筋のストレッチが反対に痛みを
助長させてしまうこともございます。

その場合は、膝の負担を助長しているであろう、
腸腰筋や大殿筋、ハムストリングス、
腓腹筋、ヒラメ筋などに
アプローチしていただくことで
股関節、膝関節、足関節の連動性を
高めていくことができ、
間接的に症状の緩和に
繋がっていくことがあります。

私の私見になりますが、
膝関節にまつわる痛みがある場合は、
股関節または足関節の可動域制限か、
これらの筋肉の柔軟性の低下、
筋出力の低下などが存在することが
多かったりしますので、
この辺のチェックも必要になってきます。

オスグッド・シュラッター病に
なったことがある方は、
大人になって運動による
強い力が膝に再び加わると、
脛骨粗面部の異常骨形成部に
痛みが発生するオスグッド後遺症と
呼ばれる症状がみられることがありますので、
注意が必要となります。

オスグッド・シュラッター病をはじめ、
動作によって身体に痛みなどが
出てしまうということは
身体の使い方などが上手くいってなかったり、
イレギュラーな使い方を
していることがありますので
身体のSOSを無視することなく、
向き合っていただけますと幸いです。