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#197 有痛性外脛骨ってしってますか?

皆さん、外脛骨、有痛性外脛骨という言葉を
聞いたことがありますでしょうか?

この言葉は、お子さんの足の症状を探しているときに目にすることがあるかと思います。

外脛骨(がいけいこつ)とは、
足の内側、内くるぶしのやや下方にできる
過剰骨(本来ない余分な骨)のことをいいます。

文献によりばらつきはありますが
約10%~25%の方に存在し、
多くの人は無症状で骨が出っ張っているだけで、
運動や生活に支障はなかったりします。

考え方としまして、後脛骨筋腱内に種子骨様に
存在する外脛骨は無症状だったりしますが、
舟状骨内側下部に大きく突出し線維軟骨様組織で
舟状骨と結合し一体となっている場合では、
有痛性外脛骨となり治療の対象となることが
あったりします。

ここに出てきました外脛骨が痛む病態を
有痛性外脛骨(ゆうつうせいがいけいこつ)
といいます。

有痛性外脛骨は10~15歳の若年層にみられ、
特に女性に多くみられるところがあります。

また、非常に高い確率で両側性(両足)
に出現します。

有痛性外脛骨の原因やなりやすい要因
としましては以下のようなことが考えられます。
・急激で過度な運動
・スポーツによるオーバーユース
・足の捻挫などの外傷
・扁平足による内側縦アーチの低下
・回内足(かかとが内側に向いている状態)
・サイズがきつめの靴を履いてプレーするスポーツ
・走る、跳ぶ、急に止まるなどの動きの多い競技
・体幹の筋力が弱い
・体重の増加

有痛性外脛骨は外脛骨と舟状骨の間の
軟骨に微小損傷が生じたり、
後脛骨筋腱が外脛骨に強い引っ張る力を
与えたりすることで、
外脛骨に動揺性が生じてしまい、
痛みが引き起こされると考えられております。

有痛性外脛骨の主な症状には、
以下のようなものがあります。
・サッカーでサイドキックしたときに外脛骨部が痛む
・特定のブーツやシューズを履いたときに隆起部が接触することで痛む
・靴底(ソール)の減り方に特徴がある(踵部内側が極端に減りやすい)
・足の内側、特に舟状骨の内底側に痛みがある
・足の甲の内側の骨が隆起して腫れ、熱感がある
・膨らんだ部位を押すと痛みが出る
・痛い方の足でつま先立ちをすると痛みがでることが多い
・長時間の歩行、立ち仕事で痛みが出る
・症状が強いと夜寝ていても痛い、あるいは足を少し動かしても痛いなどの症状になることもある

有痛性外脛骨の治療法は、
症状の程度や原因によって異なりますが、
一般的には以下の方法が用いられます。

保存療法
・安静:まずは足を休ませ、
痛みを悪化させないことが大切です
・薬物療法:消炎鎮痛剤や湿布薬で
痛みを軽減します
・物理療法:温熱療法や超音波治療などで炎症を抑えます
・装具療法:足底板(インソール)などで足をサポートし、負担を軽減します

保存療法で改善が見られない場合、
手術療法が検討されます。
・外脛骨摘出術:痛みを起こしている外脛骨を摘出する方法が一般的です
・その他の術式:場合によっては、周囲の組織を一緒に修正する手術が行われることもあります

有痛性外脛骨に関わってくる筋肉は
後脛骨筋が主になります。

内側縦アーチの維持にも、
後脛骨筋は関わってきます。

後脛骨筋の機能が落ちてしまうと
偏平足になってしまうこともあります。

痛みが治まっても下腿の筋肉が硬ければ
後脛骨筋腱に引っ張られて
すぐにまた痛みが出てしまうこともありますので、
下腿の筋力強化やストレッチも重要となります。

私見になりますが、有痛性外脛骨を含めた
足元にまつわる痛みがある場合は、
股関節の可動域制限か、これらの筋肉の
柔軟性の低下、筋出力の低下などが
存在することが多かったりしますので、
この辺のチェックも必要になってきます。

有痛性外脛骨の予防には、
以下のような方法があります。
・適切な靴を選ぶ
・足のアーチをサポートする
・柔軟性を保つストレッチを行う
・筋力トレーニングを行う
・適切な運動量を心がける
・十分な休息を取る

日常生活での注意点としましては、
以下のようなものがございます。
・適切な運動:運動の種類や強度を調整し、無理のない範囲で行うことが大切です
・足に合った靴:クッション性が高く、足に合った靴を選ぶようにしましょう
・体重管理:肥満は足への負担を増やすため、適正な体重を維持することが大切です

有痛性外脛骨は、運動を繰り返し続けているうちに徐々に痛みが強くなることが多く、
痛みはある期間持続しますが、
骨成長停止期の15~17歳頃には
自然治癒することがあります。

有痛性外脛骨は、
メジャーものではなかったりしますが、
お子さんの身体の悩みとしましては
比較的出会うこともありますので、
親御さんは頭の片隅に入れておいて
いただけますと幸いです。