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#181 原穴というツボとは? 【太衝、丘墟編】

私は鍼灸師としても活動しておりますが、
東洋医学の中では、未病という考え方が
ございます。

未病とは、まだ病気にはなっていないものの、
健康な状態から離れつつある状態を指します。

未病という言葉は、代表的には約2500年前の古医書であります黄帝内経というものに出てきます。

また、約1400年前の千金要方というものにも
載っております。

それ以外にも載っている医書が
数多く存在しています。

これらの中では、古代の医者は医術が
高ければ高いほど、未病を大切にし、
病になる前の段階で予防治療をすることが
できる医者が高名であると言われておりました。

未病の段階で治療していくことを
未病治療と言ったりしますが、
未病治療とは、身体の状態を観察して、
患者さんのバランスを見極め、
「いまはこの状態でこの症状だが、
やがてはこんな症状も出るだろう」と予測し、
先回りしてアプローチをする治療と
いうこともできます。

その中で、経穴(いわゆるツボ)を
行っていく場合、仮に病の原因で
ある臓腑に焦点を置くのでありましたら、
臓腑の病に用いるツボに要穴というものがあり、
その中でも代表格のツボを原穴と呼んでおります。

原穴とは、東洋医学において、
臓腑の原気(各臓腑特有の気)が巡り、
とどまる部位を指す経穴(ツボ)のことを
いいます。

各経脈の中で最も重要なツボとされておりまして、原穴の反応から臓腑の状態が分かったり、
臓腑機能の調整をすることもできる
とされています。

原穴は全部で12穴あり、そのほとんどは
手首回りや足首回りに存在しております。

これから、原穴の12穴を2穴ずつに分けまして
紹介していきたいと思います。

①足の厥陰肝経:太衝
②足の少陽胆経:丘墟

①足の厥陰肝経:太衝
太衝の位置としましては
【足背、第1・第2中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部、足背動脈拍動部】
となります。

ご自身で探していただく際は
足の第1趾と2趾の間にある溝を親指の骨に沿って
足首方向になぞっていきますと指が止まるところがツボとなります。

太衝を刺激することによる効能としましては
・血流を促進して冷えを改善する
・精神的・身体的疲労を和らげる
・ストレスを解消、コントロールする
・全身の緊張を抑える
・無意識に力が入る痙縮(けいしゅく)を改善する
・体内に偏った熱を下げる
などがあったりします。

太衝は、肝臓、筋肉、眼などの日頃酷使している
部分と深い関係のある肝経に属しているため、
肉体疲労や精神的ストレス、眼精疲労、肝臓の疲れでも痛いことがあります。

②足の少陽胆経:丘墟
丘墟の位置としましては
【足関節前外側、長指伸筋健外側の陥凹部、外果尖の前下方】
となります。

ご自身で探していただく際は
足の外くるぶしの前の斜め前下のくぼみが
ツボになります。

丘墟を刺激することによる効能としましては
・股関節の痛み
・胸脇痛
・下肢の運動麻痺
・側頭部の痛み
・目の病気
・胆嚢炎
・足関節痛
・腰痛
・坐骨神経痛
などがあったりします。

胆経は胆嚢で胆汁を貯蔵する機能以外に、
肝で判断し、胆で決断するというように
影響し合っておりまして、
決断力や実行力の源とも言われております。

ツボはピンポイントに思われがちですが、
500円玉ぐらいまでの大きさの範囲があるとも
言われておりますので、触っていただきながら
痛気持ちいいところを探していただければ
と思います。

ツボ押しの「コツ」は少し強めに押すことです。(強刺激には要注意)
5秒くらい押したら5秒離すを1セットとして、
3~5回を目安に繰り返してみてください。

継続して行っていきますと、段々と痛みや
コリコリしたものが薄れていきます。

原穴を刺激して、より良い日々をお過ごしいただけますと幸いです。