
#196 意外と知られてない シーバー病
皆さん、シーバー病という言葉を
聞いたことがありますでしょうか?
運動やスポーツなどを行っている
お子さんの様子の中で、
以下のようことに心当たりはありませんか?
・運動中だけ痛み、休むと治る(痛みがおさまる)
・かかとが痛くて、つま先だけで歩いている
・かかと辺りが腫れている
お子さんがかかとが痛いかもと言ったら、
シーバー病の可能性がございます。
シーバー病(踵骨骨端症)は、
発育期の10歳前後の男児に多くみられる病気で、
かかとの骨の成長部分に炎症が起こる
疾患のことをいいます。
下の写真の踵骨軟骨の部分、
ラインが障害箇所になります。

シーバー病は成長期のお子さんに起こるため、
成長痛と捉えられる場合もありますが、
膝のオスグッド病と同じく、
スポーツ障害と捉えることもできます。
シーバー病は、
10歳前後の男児に多くみられますが、
女児にも生じる可能性があります。
片側の足に起こることが多いのですが、
両側の足で症状が出ることもあります。
シーバー病は、発育期の骨が弱い時期に、
運動などでかかとの骨の端(踵骨骨端部)に
負荷がかかり、
アキレス腱の引っぱる力が持続的に加わり、
炎症が起きることで痛みを誘発します。
これにより、踵骨に血流障害が起こり、
踵骨骨端核の壊死や骨軟骨炎を
発症してしまいます。
主な原因としては、以下のようなものがあります。
・スポーツなどによるかかとへの直接的な負担
・ジャンプや走ることが多く、踵に強い衝撃が加わること
・アキレス腱や足底筋膜などの軟部組織が硬くなっている
・扁平足(土踏まずがないような足)などのアーチ障害
・柔軟性の低下(股関節周囲筋・下腿三頭筋など)
・姿勢やフォームの未熟さ
・著しい体重増加
シーバー病は、
一度の運動で発症することはほとんどなく、
度重なるストレスで発症します。
「急に運動を始めた」「急に練習量が増えた」などがありますと発症しやすくなります。
特に、成長期の子どもが活発な運動やスポーツを
行う場合に多く、サッカーやバスケットボール、
バレーボール、長距離マラソン、剣道、体操などのスポーツをする人に多い傾向があります。
シーバー病の主な症状には
以下のようなものがあります。
・かかとの痛みや腫れ
・かかとを押すと痛い(かかとの両サイドまたは先端)
・歩くと痛いので、つま先歩きになる
・運動後にジワーっと痛い
・夜間の安静時でも痛みを訴えることがある
・朝起きたときにかかとが痛い
上記のような症状があり、
かかとにストレスが長期に及ぶことで
成長期のかかとの骨が
骨折してしまう場合があります。
そうなってしまいますと
良くなるのに時間がかかることも多いため、
早期発見と早期治療が大切となってきます。
シーバー病への対処法、
アプローチ方法としましては、
まず局所安静とし、過激な運動は中止して
経過をみていく形になります。
腫れや炎症がみられる場合は痛めて間もない時ではアイシングを行っていきます。
痛みが増加しなければ、温めて血流を良くして
局所の回復に努めていくことが大切になります。
シーバー病に関わってくる筋肉は下腿三頭筋、
足底腱膜が主になります。
かかとの骨である踵骨に付着するアキレス腱は
下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋)から
移行するもので下腿三頭筋の柔軟性の低下が
まず悪影響を及ぼしています。
また、足底腱膜も踵骨に付着しているため、
足底腱膜の柔軟性の低下により
足に掛かる衝撃を緩衝することが出来なくなり、
炎症を引き起こしてしまう恐れがございます。
まずは、下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋)の
ストレッチやマッサージ、
足底腱膜のテニスボールやゴルフボールなどでの
マッサージなどをセルフケアなども
行っていくことが大切になります。
加えて、歩行やスポーツ時の
身体の使い方が原因でかかとにストレスが
集中してしまっている場合には、
姿勢、動作・フォームチェック、
関節の可動域や筋力の評価を行い、
かかとに痛みの出ない
身体の使い方をめざしていくことも
長い目でみていきますと重要になってきます。
私見になりますが、シーバー病を含めた
足元にまつわる痛みがある場合は、
股関節の可動域制限か、これらの筋肉の
柔軟性の低下、筋出力の低下などが
存在することが多かったりしますので、
この辺のチェックも必要になってきます。
シーバー病は一般的に予後良好で、
骨の成長が終わりますと自然に良くなってきます。
踵骨の骨端線は15歳頃までには閉じてしまうため、これ以降に発症することは基本的にありません。
また、後遺症を残すこともありません。
シーバー病を予防するには、
以下のようなことに気をつけてみてください。
・運動前後・お風呂上りに、ストレッチしてアキレス腱や足底腱膜を柔らかくする
・運動後は、アイシングをする
・足にフィットした靴やクッション性のあるインソールを入れた靴を選ぶ
・正しい姿勢でスポーツをするように心がける
シーバー病またはセーバー病は、
意外と知られてなかったりする
子どもの障害だったりしますので
親御さんなどは頭の片隅に入れておいて
いただけますと幸いです。