未来へ

Kaikoura Station

かつてもう生きていることさえやめて、
もう楽になりたいと思ったことが、
僕には何度もある。

生きている意味が分からなくなり、
誰も信じられなくなり、
生きる場所を見失った。

信じられていた人に裏切られ、
大切なものを全て失って、
途方に暮れていたあの頃。

今思い出してもその悲しみに、
涙が溢れてくる。

絶望。

僕はあの日生まれて初めて、
その言葉の本当の意味を知った。

早く消えてなくなりたい。
そう心から思っていた。

もう誰も信じたくない。
もう何もしたくない。

この世界のどんな意味があるのか。
ここにいることに何の価値があるのか。

そんな思いばかりがぐるぐると、
頭の中を駆け巡っていた。

早く楽になりたい。

そう心の底から願っているはずなのに、
僕はなぜかその苦しみの世界に、
まだ存在し続けていた。

そしてその苦しみの中で、
ゆっくりとだけど分かってきたことがある。

それは苦しみにもいつか、
終わりの時がやってくるということ。

どんなに辛い夜も、いつかは開ける。
どんな激しい嵐でも、いつかは終わる。

苦しみの中にいるとき人は、
それが永遠に続くと錯覚してしまう。

でもそれは真実じゃない。

どんな苦しみにもいつか終わりの時が来る。

そしてその終わりの時は過去じゃなく、
いつも未来の中にある。

未来。
そこにはどんな時でも、
一筋の光が含まれている。

未来。
そこにはきっといつも、
僕たちの希望が待っている。

だからどんなことがあったとしても、
たとえ絶望しか見えない夜でも、
未来だけは信じていたい。

漆黒の闇の中に差し込む、
未来という名の一筋の光を探して。