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ドイツ生活 家事はカルシウムとの闘い

僕が住んでいるフランス・スイスに程近いドイツ南西部では、水道の蛇口から出る水はそのまま直接飲めます。

注意すべきなのは、この地方の水はかなりの硬水であるということ。ふだんはあまり意識しないけれど、例えば日本滞在中に水を飲んだとき、その水の味の違いに気づいて驚くことがあります。

硬水・軟水という言葉がありますが、例えば、日本の水は軟らかいという表現はとても合うように僕には思えます。それと比べると、ここの水の味は確かに硬い。

ここの水にはカルシウム成分が多く、それで硬水になっているのですが、このカルシウム成分、家事をする上ではかなり厄介なものです。

例えば、グラスを水道水で洗った後、布巾で水を拭き取らないと、グラスに残った水が乾燥するとカルシウム分だけが残り、グラスが白く曇ってしまいます。

洗濯機で洗濯する時には、僕は洗剤と一緒にカルシウムを溶かす洗濯機専用タブレットを使います。このタブレットを使わないと、洗濯機の中や排水チューブにカルシウムがびっしりついてしまい、故障や排水チューブの詰まりの原因になります。

食洗機についても、食洗機の中・ヒーターや排水チューブにカルシウムが付いてしまって故障の原因になるため、食洗機には、洗剤タブレットに加えて、カルシウム対策のための食洗機専用の塩、それからグラスの曇りを防止するための液体洗剤を同時に使います。

食洗機に塩を入れるのって、ちょっと意外に見えるかも知れません。普通、食洗機には塩を入れるところがあって、食洗機用の塩(スーパーなどに売っています)をサラサラと(かなり)入れて定期的に補給しています。

シャワーのキャビネットや洗面所も、カルシウム対策用の水回り洗剤を使って掃除しないとあっという間にカルシウムで白く曇ってしまいます。

水道水自身はそのまま飲めて安全なのですが、例えばお茶やコーヒーを淹れる場合には、水道水をそのまま沸かして使うと極端な硬水のため風味が変わってしまいます。このため、僕は市販の活性炭フィルターに水道水を一度通し、お茶やコーヒーまた料理に使っています。一度フィルターを通しただけでも風味はだいぶ変わります。

スーパーの洗剤コーナーには、食用のお酢のスプレーが並んでいます。お酢なので食べられますが、かなり強烈なお酢で、このお酢のスプレーで食器やキッチンのカルシウム汚れを掃除します。このお酢のスプレー、食品を洗いたい時にも使えます。食用のお酢なので食品に使っても安心・安全。

家事にはその地方独特の特徴や生活のコツが端的に現れているようで、僕には面白く思えます。家事は毎日の生活に関わることですから身をもって経験できること。その土地の気候風土や生活文化を理解することにつながっているように思います。

家事がうまくこなせるようになる、ということは、ひょっとしてその土地の生活に慣れてきたという証拠なのかも知れません。