チャンスがあれば学生に戻りたいか【ビジネス】
私の周りには、社会人を数年経験した後に、もう一度学生に戻る人が結構いる。
多くは学部卒で社会人になり、専攻を変えて大学院を受験するパターンだが、大学院ではなく専門学校を選ぶ人も数人いる。特に、アートや服飾系に多く、お金にならない、あるいは親に許してもらえなかったなどの理由で一般的な大学を卒業したが、夢を捨てきれずに専門学校に行くというパターンが、私の周りには多い。
このように学生に戻る人が周りに多いからこそ、よく聞かれるのが「あなたも学生に戻ったりしないの?」という質問だ。
実を言えば、私は新卒で会社に入社した時、3年程度で会社を辞めて学生に戻るつもりだった。
私もどちらかと言えば、アート系の道に進みたかった1人であり、もっとアートを極めたいと思っていたからだ。
しかし、3年経った時の仕事がとても楽しく、やり甲斐もあり、将来性も感じていた。そして、今の仕事を得るキッカケにもなったので、学生に戻る選択肢は全くなかった。
そこからさらに3年も、キャリアとしては絶頂期。アウトプットばかりでインプットする時間がなかったため、何かしらインプットの時間は欲しいと思っていたが、社会にダイレクトに貢献できる「社会人」が面白かったし、たくさんではないがお給料だってもらえる。学生に戻った周りの人たちを見ていると、やはりお金には苦労しているようで、学生に戻るという考えは全く浮かばなかった。
しかし、その後は自分の望む道ではない方向に少しずつズレ始め、ちょうどそのタイミングで妊娠・出産を経て今に至る。
つまり、今までなかった学生への選択肢が浮上し始めた。
ただし、やっぱり学生に戻りたいかと言われると、2つの意味でNoである。
第一に、今は子供がいるから。
周りを見ていると、会社からお金をもらって学生をしているケースを除き、ほとんどの人が社会人とは違う金銭感覚で生きている。要は、お金がない状態だ。
子供がいる今、時間もなければ、教育費にもお金がかかる。学生だと(我が家は保活激戦区なので)保育園にすら入れない。そうなると学業どころではない。仕事を続けて、稼いで、子供を保育園に入れて、帰ったらお世話をしなくてはならない。そうなると、お金も時間もない学生よりも、少なくとも今の仕事はブラックではないので、お給料もあり、仕事の時間に全てが終わる社会人の方が子育てには向いている。
ただし、もっとお金にゆとりがあれば、子供がいても「No」の理由にはならないかもしれない。
第二に、学校の専門性と仕事の専門性が直結しない。
以前、下記の記事を書いた通りだが、学生に戻ってその専門を勉強したところで、その仕事ができるわけではない。日本企業のほとんどが「総合職」を求めているからだ。
海外で就職できれば、それはそれで万々歳だが、ビザの問題などもあり、その薄い可能性のために、子供との時間や教育費を犠牲にするのかと言われると、学生に戻るのはなんて効率の悪いやり方なんだろうという考えに至る。
海外の大学院なども考えてみたものの、学費も、教育費も、住居費すらも、日本で暮らすより遥かに高額となる。
そうなると、学生に戻るという選択肢は、少なくとも私にはベストな選択とは言えないのだ。