37歳、Uberおじさんがゆく③〜ドキドキの初配達〜
これまでの記事はこちらから。
今回はいよいよ初の配達をしたという話です。
(前回の記事でフォロワーさんから嬉しいコメントいただきました。ありがとうございます。励みになります。)
土曜日の朝8時過ぎにヘルメットを被り、Uberバッグを背負い、スマホをセットして家を出た。Uberのアプリをオンラインにして、いつでも配達を受けられる状態である。
自転車で都内の方に向かった。30分ほどすると大きな川を渡る。県境を超えて、そこは東京である。
それでもスマホは鳴らない。
Uberのアプリには売り上げの推移を時間帯で見ることが出来るのだが、8時台の売上はそこまででもなさそうであった。
もう少し待機しないといけないかなぁーと軽い気持ちでスタバに寄った。自転車をテラス席に寄せてカバンを椅子に置き、店内に入る。
30分のサイクリング後で、体は少し火照っていて汗ばんでいる。店内のエアコンが身体を冷やしてくれる。
甘党の私は、スタバに来たら決まって頼むものがある。"ダークモカチップフラペチーノ"である。
もう一度言おう。
"ダークモカチップフラペチーノ"笑
オードリー若林さんの著書で“スタバで「グランデ」と頼めない”問題に関して「これを頼んでる自分、なんかオシャレぶってんなと思われているのではないか」「身の丈と合っていないような気がする」などの過剰な自意識からくるものという話があったが、私にそんな自意識はないのである。
店内ご利用でしたら、グラスのご用意でよろしいですか? と店員さん。
はい と答える私。
前に何名かお客さんがいて、ボクノフラペチーノはまだ作る前であった。
そんな時、突然スマホが鳴った!
慌てて見ると、Uberのアプリで見たこともない画面が。よくわからないが、私は反射的に"承諾"のボタンを押していた。
配達が来て、仕事を受け入れたのである。
初めて配達のオファーが来て嬉しかったのか、わからないがすぐ反応していた。そして、今の状況を把握して焦るのだ。
「フラペチーノどうしよう?」
すぐさまレジの店員さんに「まだ作らないで!」と声をあげていた。
若い女性の店員さんは、これまでそんなオーダーを受けたことがないのだろう。(そりゃそうだ)手を止めて、私の方を不思議そうに見つめている。
隣の青年店員さんが声をかけてくる。
「ごめんなさい、まだ作ってなかったら後で取りに来るのでいいですかー?」と私は無茶な依頼をしてみた。
え?ぇえぇ?と戸惑いながらも理解をしようと努める青年店員。
「わ、わ、わかりました!すぐですか?ボクちゃんと覚えてますから!」と快諾?してくれたのだ。
そんな言葉に背中を押され、番号が記載されたレシートをポケットに入れて、店を出た。
すぐさま店の前のテラス席からUberカバンを取り背負って、自転車に乗る。
その始終は店員さんの視界に入っていてもおかしくない位置のため、状況は理解してもらえたのでは?と淡い期待をしてしまう、(その後確認はしてないが)
まずは商品のピックアップである。
スタバから自転車で10分離れたマクドナルドに向かう。
気持ちが妙に昂っている。ペダルを漕ぐ力が自然と強くなる。
目的があるって素晴らしいなぁ!と思いながら店に向かう。
マクドナルドに着いたら、(若林さんの)見様見真似でやってみる。
「どーもー!Uber eatsでーす!」笑
おそらく間違いだ。
番号を伝えて、商品を預かる。カバンに商品を入れて、中で暴れないようタオルなどでしっかりと押さえる。(これも東京ドームライブの若さんフリートークから学んだ)
そして、Uberアプリの"受取完了"のボタンをタップすると、配達先までの案内をGoogle mapで見ながら向かう。
ふと、大学時代にしていたピザ配達のバイトを思い出す。今から約20年前のことだ。
当時、お客様の住所を事務所の壁に貼ってある大きな地図から探して、そこまでの道順を頭に叩き込んで、バイクに乗って向かっていた。時には道順を忘れて、迷子になったり、事務所に電話をかけてナビを頼んだら怒られたりした。あまり良い思い出はない。
でも令和の時代には"地図アプリ"という強い味方がいる。
気になって、地図アプリについて調べたら2010年がはじまりのようだ(Wikipedia調べ)そりゃ私がピザ配達した時にはまだないわけだ。
そんな強い味方のお陰で、迷うこともなく初の配達先に到着した。
置き配かと思いきや玄関先で手渡しということで、インターホンを鳴らした。
「お待たせしましたぁー!Uber eatsでぇす!」
はぁーい。とローテンションで商品を受け取ったお客様はすぐドアを閉めた。私とのテンションの高低差に耳がキーンとなりそうだ笑
無事配達を終えた。正味、15〜20分の出来事である。アプリには"¥320"と表示された。
この金額が高い安いという話ではない。
目的に向かって、ペダルを漕ぎ、自身の体力向上と少しダイエットになったらという淡い期待が結果的に誰かの役に立てたことが妙に嬉しかった。普段日常で働いていると給料日に決まった金額が振り込まれるため、一つ一つの仕事の価値は見えづらいように思える。この配達に対しての、対価が¥320ということに私は働いた感があったのだ。
そのあと先程行ったスタバに戻る。
自身の商品をピックアップするために。
店に戻ると青年店員さんが「終わりましたか?それじゃ(フラペチーノ)作りますね!今度はプラのカップにしますね」と温かく迎えてくれた。
その温かさに思わず、ただいま!と言いかけてその言葉を飲み込んだ。
いつも飲んでるはずの"ダークモカチップフラペチーノ"は一段と美味しく感じた。
Uber eats、私の性質には合っているかもしれない。