『2020年6月30日にまたここで会おう』は就活生に効くクスリ
読書が捗る生活を送る中で、生まれて初めて瀧本哲史の思想に触れました。切れ味鋭いその思想は目を覚まさせてくれるようなものでした。というか寝ている人を起こした上で叩き切る。オーバーキルしてきます。
題記『2020年6月30日にまたここで会おう』は2012年6月30日に実施された瀧本氏による東大講義を書籍化したものです。別の方のnoteで「肉声が伝わるようだ」と評されていましたがまさにその通り。臨場感溢れる筆致で瀧本思想が流れこんでくるわけですから、受取手によっては劇薬になりうる危険な本とも言えるでしょう。
この本を読み終えて誰に薦めたいかなと考えたとき、思い浮かんだのは就活生でした。
「バックグラウンド」が差別化要因になる
ひとりの学生が氏に向かって質問をしました。「起業するアイディアがあるんです。盗まれたくなくて人に話せずにいます。でも仲間が必要だし…」。それに対する回答は簡単でした。きっとそのアイディアは君以外にも思いついています。でも誰もが思いつくアイディアを自分のものにできるかは、自分の人生と結びつけられるか否かによって決まります。
例に出されたのはオーディオブック事業です。オーディオブック事業とは、書籍を朗読しその音源を提供するサービスのことです。Audibleなんかが有名ですね。このオーディオブック事業を別々の場所で別々の2人が着手しました。かたやアイディアの新規性だけでオーディオブック事業に乗り出す人、かたや自分の身内が緑内障だからオーディオブック事業をやりたいという人。後者の方が実現可能性が高いことは感覚で分かると思います。ちょっとやそっとの障害じゃ挫折しない精神や人の心を動かし協力を得られるストーリーがそこにはあります。言いたいことは、各自の人生には価値があるし武器になる、ということです。目の悪いおじいちゃんも、昔自分をいじめていたあいつも、やたらと熱心だった塾の先生も。全部自分の武器にできるかもしれません。
氏の回答を聞いて私は、自分の就活時代を思い出しました。手前味噌ですが面接は得意な方で就職活動もそれほど苦労はなかったです。でもその時から自分の人生を武器にして戦っている同志をみて「ああ勝てないな」と小さく挫折した経験があります。「生まれつき聴力が弱い弟がおり、小さいころは絵を描いてコミュニケーションをはかりました。その経験から、誰にとってもわかりやすいバリアフリーなデザインを作りたくて御社を志望しています」とか集団面接で隣の女の子が言った日には、思わず採用!と言ってしまいたくなりました。私も就活生でしたけど。
もちろん自分の人生がオールマイティな武器ではありません。でも有力な武器。自己分析は、そんな武器を見つける手段です。面接で上手くいかないのであれば一度立ち止まって、自己分析をやり直しましょう。そう、あのキャリアセンター の人にやれやれ言われるけれどイマイチぴんと来ない自己分析のことです。今までどんな人生を過ごしてきたのか。志望している企業になぜ惹かれているのか。自分の人生とその企業が交わったきっかけにはどんなものがあるのか。考えてみてください。なんとか自分の人生と志望理由を結び付けられたら御の字です。それを使って面接に臨めば、いつもと違った面接官の反応を得られるかもしれませんね。
※何事もそうですが休憩が大事です。疲れたら少し休む。休んだらまた行く。生きるのはこの繰り返し。一生懸命頑張るのと同じくらい、一生懸命休むのも大事なことですよ。
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