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ここ最近の倦怠感について

旅に出て、早2ヶ月。
ここ最近の私はなんだか自信と自己肯定感がめきめきと減っている。
観光をしてもぼんやりしているし、日課だった読書と勉強もやる気が起きずに放置してしまっている。


私は他人の感情に敏感なタイプだ。

目の前にいる相手が今どんな感情なのか、何をしたいのか、何を言おうとしているのか、心の中で何を考えているのか、直感で自動的に察してしまう。
もちろん理性では直感すべてが正しいとは思っていない。良くて75%くらいの精度だと思っている。それに最終的には態度より言葉を信じたい方だ。

けれども、どうしても日々感じてしまう、小さな摩擦がある。

コミュニケーションのすれ違い。
気にするほどでもない悪意。
ぼったくられたり、利用されたり。

日本にいた時も、程度の差はあれ、似たようなことはたくさんあった。
その度ごとに好きな音楽を聴いたり、本を読んだり、気を紛らわせて回復していた。
しかし、同じ事をしていても近頃はどうにも治りが遅い。

傷が治る前に再び傷付き、蓄積されて、点と点が繋がるように、いつの間にか自尊心にまで届く深い刺し傷になっている。

旅が原因なら、なぜ今頃になって?
旅立ち直後はアドレナリンが出ていたから鈍くなっていたのか?
それとも旅の刺激に慣れてきたから、自分自身に目が向くようになったのか?

考えていると、ネガティブな感情が溢れ出してくる。

どうしてこんなに嫌な思いをするのだろう。
仁義礼節は信条だ、誰に対しても無礼な振る舞いはしないよう心がけている。それなのに、こんな経験をするのは……。


見た目。国籍。言語。人種。

海外滞在経験者が必ずと言って良いほど、ぼやく壁。

これか、と全ての原因を押し付けそうになったところで、首を振る。
曲がっていた背筋を伸ばす。
そんなに大きな問題じゃないはず。

摩擦を感じた人々の顔を思い出す。
様々な表情をしていたけれど、彼らの目は真っ直ぐ私に向いていた。

これは人と人との問題だ。
個人と個人の対話だ。

個人。

そういえば、ここ最近は個室に泊まっていない。円安パンチが重く響き、節約のためにずっと安いドミトリーに泊まっていた。

はっきり言って相部屋はガチャだ。

確率が最も高いのは、基本は会話しないが、目が合えば微笑み、軽く挨拶だけするような静かな人。私にとっては大当り。

レアなのはコミュニケーションをとってくる人好きなタイプ。やや気を遣うので疲れるが、話した後は不思議とポジティブになれる。

いびきをかく人は上記2つが特異進化したもの。
迷惑ではあるが、天災と思って受け入れるしかない。
罪を憎んで人を憎まず。耳栓またはイヤホンで自衛する。

当たって嬉しくないのはSSR。
最も衝撃を受けたのは、ニュージーランドに泊まったドミトリーにいた、全裸と半裸で1つのベッドで寝ていたカップル。全裸なのは女性の方。隣のベッドなのが運の尽き。

とにかく女性が破天荒だった。
深夜、大きないびきをかいていた他の宿泊客の男性に、
「うるさい!自分でわからない!?」
と注意しに行ったり(さすがにバスタオルを巻いていた)
ナイトクラブから響く音楽についてフロントに電話でクレームをつけたり、対応に納得いかずに大騒ぎしたり。
どれも深夜3時の出来事。隣の私は当然、眠れない。

さすがに翌日は部屋を移ったかと思えば、普通にいらっしゃった。
しかも夜になると女性の方が「彼氏が突然どこかにいった。連絡もつかない」と言って、ヤケ酒をしながら涙ながらに愚痴と下ネタを大いに含む思い出話を長々語ってきた。
英語は得意じゃないよと伝えたのに。

結局、夜になると彼氏はしれっと帰ってきた。そしてイチャイチャし始めた。
彼氏がシャワーを浴びに行くと、彼女はニコニコしながら、
「彼はクレイジー!まるで子ども。わたしが面倒を見てあげている!」
と言った。私は苦笑いしかできなかった。


そんなこともある相部屋。

最後に個室に泊まったのはいつだろう、とスケジュール帳を確認してみると、何と25日前ではないか!

全てに合点がいった。
1人の時間がないとダメな私が、1ヶ月近くも常に誰かと一緒にいたわけだ。
なるほど、これは病む。納得、納得。

ここに至るまで、こんなにも気分が落ち込む理由をあれこれと考えていた。
人とのコミュニケーション以外にも、

34年ぶりの円安と所有している株の暴落。
帰国する必要が出てきて、世界一周の中断を決めたこと。

などなど。思い当たることは色々あった。

しかし、冷静になるとどれも違った。(多少は影響を受けているかもしれないが、どれも少し運が悪かっただけのこと)


今の私に必要なのは個室だった。

自分のためだけの時間と、安全な空間。

今後、2週間に1回は個室をとることにする。


(余談)
個室に宿泊しながらこの文章を書いていたらみるみるうちに回復してきた。

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