201702201327167461_ページ_1

災害時のあかりのはなし #2

2016/06/16 @気仙沼 Mさん、Tさん

2012年7月に気仙沼市本吉町であかりカフェを行った際の現地NPOメンバーだった方にご紹介いただいたMさんとTさん。東日本大震災発生時、Mさんは学習塾の先生として、Tさんは在気仙沼の美術館職員として勤務されていました。お話を伺った当時、お二人は気仙沼のまちづくり支援に携わるお仕事をされていました。

Mさん:                              津波で家を流され、実家となりの神社に避難しました。電気復旧まで2ヶ月を要し、その間は神社のろうそくと、焚き火で過ごしました。焚き火は昼夜絶やすことはありませんでした。                   4月7日の大きな余震の際に、避難所でパニックになる子供がいました。明るいところに連れ出して落ち着かせましたが、暗闇に恐怖心を抱いていました。
必然的に大きな空間の中でも人があかりに集まっていました。家族の仲が深まった印象を持っています。電気復旧後はそれが無くなって切ない気持ちもありました。
エリアごとに復旧の速度がことなり、自分立ちのエリアはかなり遅めでした。結果、電気なしでの暮らしにかなり順応することになり、電力復旧後、まちに出てコンビニでものを買うのにためらうほどになっていました。
Tさん:                              自宅で過ごしました。電気復旧まではひと月程度。
停電の間はろうそくを活用しました。こちらは自宅に神棚や仏壇がある家が多いので、日常的に家にはろうそくがあるように思います。火を点けている間はその場を離れないなど、都会での暮らしを送る人に比べて、火の扱いの注意は浸透しているように思います。懐中電灯はいざというときのため使いませんでした。
(Mさんの”人があかりに集まっていた”という話をうけ)人は光が弱い場所のほうがコミュニケーションをとろうとするように思います。今もそうすればよいかもしれないですね。
地震発生時は美術館にいたので、備品のパラフィンをろうそくがわりに使いました。シーリングライトに銀紙を張り、下にろうそくを立てて光を反射させたりしました。
エリアごとに復旧の速度が違いました。送電線との距離の関係で、美術館があった場所は早くに電力復旧しました。しかし、逆に光がある場所で貴重物が狙われかねない施設なので、用心のため美術館の中にバリケードをはって光が漏れないようにしました
電気に限らず、何かが先に復旧すると、行政関係だと特別な力が働いているのではと勘ぐられ、非難されるような状況でした。行政関係の方々はしばらく仮設住宅にも入居できなかったということです。
情報源はラジオ(災害FM)でした。電気の復旧などについては情報がなく、ある夜に外をみて街灯がついていたことから、停電が解消されたことを理解しました。家が無事な人は避難所には行きづらいので、情報が入ってきにくい状況だったと思います。公民館などの対策ばかりでなく、自宅にいる場合にどうやって状況をしのげるかも非常に重要だと感じました。    緊急時の光も(白いLEDランタンとかより)やわらかい光のほうが安心できるように思います。

<これからについて>

Mさん、Tさん:                          地域創生と復興の両者をつなげると、まちとしての力が強まると考えています。今の復興の過程において、新しくまちびらきをする地域での、コミュニティ作りが大きな課題です。災害公営住宅は、(独居・高齢者が多く)仮設よりも外に出てきづらい環境となってしまっており、そういう方々の外出のきっかけを作るのは、地域の人でなく外部の人の呼びかけのほうが効果的である場合もあるかもしれません。 その意味において、あかりカフェのようなプログラムは非常に良い機能になり得ると思います。
いろいろ思うところはありますが、自分たちの経験が他の土地で必ずしも役立つわけではないので、他の被災地に対してのアドバイスは慎重さをもつことを心がけなければと思っています。


地震発生からまだかなりの月日、寒さを耐え忍ばなければならなかった被災地域。避難所で焚火の周りに人が集うのは、もちろん暖をとるためもあったと思いますが、停電下においてあかりが持つ求心力は、避難する方々の ”井戸端"として重要な役割を果たしたのでは、とお話を伺って感じました。

電力復旧のスピードの差異は、ものすごい警戒心を掻き立てられる状況であったということ。単に自分の地域の復旧が早いからといって喜べる事態ではなく、反対に”防御”をとらなければならない状況であったこと。お話を伺って初めて理解する事態に、やはり極限の状況というのは座して想像することで及ぶことのできるものではないということを感じました。


今回のお話からわかったこと

‐ 焚火、あかりが停電下での井戸端機能を果たす

‐ 自分のところだけ光が点いていることは防犯的にNGな状況と考えられる

‐ 新たなまち開きの際にはあかりカフェのようなプログラムは有用かも


Mさん、Tさん、どうもありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!