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災害時のあかりのはなし #5

2016/08/16 @気仙沼 A先生

A先生は小学校の先生です。先のMさんと同じく”小泉Coolなおやじの会”として、夏祭りの再開にご尽力されていました。

現在気仙沼の小学校にお勤めのA先生は、東日本大震災発災当時、南三陸の小学校に勤務されていました。

勤めていた南三陸の小学校は高台にありましたが、地震が起きたあと、校長の判断で子供たちをつれて更に高台の学校に避難しました。津波の土埃で空が黄土色になりました。当時は小学校4年生の担任。女の子たちは泣いていました。毛布に8人くるまって寝たりしていたのですが、地域の人が発電機を運んできてくれたり、スタイロを敷いてくれたりしました。
初日の夜は、理科室のろうそくを集めてトイレで灯し続けました広い場所はさほど明るくなくてもよいのです。まずは仮設トイレが暗いことが大きな問題。誰かしら常に火の番をするようにして、トイレのあかりを一晩中絶やさないようにしました。
3日目に小泉地区の体育館に行きましたが、マニュアルが小泉公民館から流失してしまった中で自分たちで考えて運営が組織化されており、感心したのを覚えています。自宅から発電機を持ってくる人がいたり、大工の人は台所を小学校の入り口付近に作ったり、婦人会は炊き出しをしたり、みんなそれぞれ得意なことを活かしていました。みんな土足で出入りするので不衛生になってしまう問題がありましたね。
地域の結束が強いこと、DIYでいろいろなことができる人が多いのは非常時に大きな強みだったと思います。避難所の間仕切りは、必要ないという判断で設置しませんでしたが、仲良くしすぎるのも問題があると感じてはいました。
焚き火に必要なので斧があると便利でした。燃えやすいものは杉の葉、松ぼっくり。都会だったら、ロウがついている牛乳パックがいいですよ。プロパンガスの家は、停電でも使えるのがよかったですね。
自宅は残りましたが、情報や物資は避難所どまりなので、家族は避難所で過ごすことにしました。ただ、学校への通学で、場所が近すぎると生活が単調すぎるので、子供たちのことを考えて避難所を移ることにしました。

一晩中順番で仮設トイレの火の番をされたこと。都市型の災害時には到底存在しえないような地域の地力が被災直後から発揮されていたことに驚きました。

またA先生は、2016年4月に起きた熊本地震のがれき撤去のボランティアとして現地に入られていました。

九州に行くと、東北が被災をした時にこんなに遠いところから支援をしてくれていたのか!と改めて思いました。熊本は仮設住宅を優先したので、がれき撤去などはまだこれからの状態でした。               神戸の震災での教訓が東北の震災で活かされていなかったし、東北の震災でわかったことが熊本に活かされていなかった。失敗からきちんと学ぶことが大事です。悪かったことのシェア、良い取り組みのシェアをして、普通の日常を送れているときから被災した場合の状況について意識をもつことが需要だと思います。

震災で自分たちが経験したことが全てではないので何か押し付けるような形になってはいけないけど、とA先生は断りながらも、被災地で起きた知恵の共有は非常に重要ではないか、とお話しされていました。

また、A先生はこれからの地域の在り方にも強い思いを寄せられていました。

自立のためには無料の支援には頼りたくない気持ちがあります。支援慣れしてはいけないので、自分たちでできることは自分でしたい。小泉地区に昔からあった花火大会や、八幡まつりを復活させたのも、地域を自分たちの手で盛り上げたいという思いからです。被災した人たちの自立のためにも、災害ボランティアの引き際も重要だと思います。また、ボランティアの名もとに自分たちがやりたいものを押し付けるようなこともあってはならないことですよね。
あかりカフェはとてもよいと思いました。あかりカフェに集まって特にプログラムが無くても話せればいい。目的の無い会話をすることがいいと思うのです。お盆のしっとりとした雰囲気にもあうと思いました。
(災害時あかりのはなし #3 で登場した)前浜地区はいろいろな世代の人が活動していてすごいと思っています。前浜では昔から【とっておきの文化祭】を開催してますし、"地域の盛り上がりは、普段から生涯学習をしている人がいるかどうかに関わっていると思います。
まちづくりにはいろいろな分野の人が関わる場が必要だと感じます。自分たちでワークショップを開いたり、レクチャーをお願いしたりして防潮堤や高台移転についてのことを検討していますが、話し合いをどう行うかが手探りなので、地域に任せるだけではうまくいかないのではないのでしょうか。まちづくりには、公費でファシリテーターを入れることが必要だと思います。

あかりカフェについては温かい言葉を頂いたものの、ボランティアとして被災地に関わらせて頂くときの在り方として、必ず心に留めなければいけない言葉がお話の中でありました。

個人としての日常を取り戻すべくそれぞれが奮闘されている中、それと同時並行で地域の復興にも取り組まなければいけない状況だということ。”地域に任せるだけではうまくいかないのでは” という言葉は、渦中におられる方からの重い言葉だと思いました。


今回のお話からわかったこと

‐ 避難所で広い場所はさほど明るくなくてもよい。

‐ まずは仮設トイレが暗いことが大きな問題。

‐ 被災経験においての悪かったことのシェア、良い取り組みのシェアは大事


A先生、どうもありがとうございました。


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