中国の創作物における人外キャラの名づけ方
といっても私もそんなに詳しくないので、概要くらいの内容になる。(雑解説という事)
人外キャラの姓
狐
狐のキャラの姓はたくさん種類がある。
・胡(コ)
狐と中国語では全く同音であることから。
・有蘇&蘇(ユウソ・ソ)
妲己はキツネであると言われ、その姓が有蘇であったことから。
・涂山(塗山)&涂(塗)(トザン・ト)
禹の妻の涂山氏の先祖が狐であると伝説に残っているから。
・独孤(ドッコ) カッコいいからだと思われる。よく見ると狐ではなく孤であることに注意だ。
そのままの狐姓は実在しているけれども、あまり使われない。
龍(蛟も含む)
これもいくつか種類がある。龍の種類によるものもあるので注意だ。
・敖(ゴウ) 西遊記などに登場する龍の姓。一番多い。
・応(オウ) 神話の応龍という龍から。
・元&龍(ゲン&リュウ) 龍が沢山出てくるといる。
虎
・陸(リク) 陸吾という虎の妖怪から。
・虎(コ) そのままのやつ。姓としては多分存在しない。
他の動物の姓(そのままのやつなど)
牛 ・牛(ギュウ) 牛姓が存在するのでそのまま使われる。
熊 ・熊(ユウ) 熊姓は実は結構多くてよく見かける。熊キャラも多い。
猪(豚) ・猪と朱は何度も言っているけれども全くの同音。
鹿 ・鹿(ロク) 白い鹿はイケているので別の姓を名乗ることが多い。
狼 ・郎(ロウ) 狼と郎は(Lang2)で全くの同音。
孔雀 ・孔(コウ) そのままのやつ
亀 ・烏(ウ) クサガメの事を中国語で烏亀というため。
キャラクターとして見たことはないけれども、羊姓、魚姓、燕姓、猫姓、駱姓、(鴉の)烏姓などが存在する。あと、馬姓。
毛色皮膚の色など
人外キャラに多い姓としては、元の姿の毛色や皮膚の色などを姓としたもの、特に白姓が多い。白蛇や白竜、白狐は白姓であることが多い。茶色い毛色の場合は黄姓。また、黒色の場合は墨姓など、ちょっと近い漢字にすることもある。
出身地
出身地を姓にする場合がある。狐の姓のところにある「涂山」などがそれ。ある程度、教養がないと付けられないので省略する。
姓がない
姓のない人外キャラも多い。人間社会などに関わらなかったり、人と慣れあう気がないなどの場合が多い。人間と同じ姓を名乗るのは、社会性や最低限の常識があるからなので、姓がないという事は社会性や常識がないという事につながるのだ。
中国の物語の人間の登場人物でも、姓がない者もいる。社会から排除された者や、社会を捨てた者、つまり、僧侶や世捨て人、魔道や邪教の者、中国社会に馴染むつもりもない外国人である。
たまに中国物っぽい物語で人間のキャラにも姓が存在しないものがあるけれども、中国の文化などに詳しくない場合は、むしろ積極的に姓を付けた方がいい。姓がないのは人ではないくらいに思ってくれ。
人外キャラの名
その人外キャラの人間界への馴染み方や、理解度によって変わる。
順番の数字など
人外キャラは人間界の教養がないため、「一、二、三、四」「甲、乙、丙、丁」「伯、仲、叔、季」などの順番を表すものが名前になっていることが多い。特に男性キャラは主要な人物(?)でもこの順番の数字を使った名がついている。
ただ、こういう名のついている人外キャラは人間界の常識は無くても、少なくともその一族や人外キャラ内での序列や決まり事があって、独自の社会性はあることが多い。
日本の童話などで、ネズミに「ちゅうたろう」「ちゅうじろう」みたいな名前がついているものと同じである。
時代やキャラクターに合っていない名前
人間界の常識が分からないので、時代やキャラクターに合っていない名になっていたりする。
日本で例えると、現代の物語で、見た目も服装も現代人なのに「お滝です。」と名乗る美女がいたらとても怪しいと言えば分かるだろうか?
古臭い名については「中国人がダサいと思う名(有料※まだ書いていなる途中)」や「名前に使ってはいけない漢字(有料※まだ書いている途中)」を参考にして欲しい。
これは名だけではなく姓でも同じで、例えば、張姓の解説の記事で「男性キャラに使われることが多く、何か特別な理由がない限り女性に使われることは珍しい」と書いた。その特別な理由の一つに人外キャラがある。張姓+ちょっと古臭い名の女性が登場したら多分人外キャラだと判断できるのだ。
普通の名
最も人間社会に馴染んでいて、社会性もある人外キャラに付けられる名前である。特に男性の人外キャラはとても普通の名前であることが多い。女性向け作品だとちょっとキラキラしていることもある。
可愛い名前
人外の女性キャラで、教養があったり人間と親和的である場合は可愛い名前がついていることもある。ただ、日本人に可愛い名前をつけることは不可能なので、可愛い名前はあきらめて欲しい。
おまけ。人外への罵倒の仕方
人外を罵倒したり悪口を言ったり、見間違えて人外に怒られた表現をここで紹介する。日本語に適当に訳したものなので、中国語での表現ではない。
・虎に対して「猫」「子猫(ちゃん)」
・狼に対して「野良犬」「子犬」
・狐に対して「犬」
・龍に対して「虫」
・正体不明の女の妖怪に対しては「クソババア」
虎や狼、狐などは日本人の感覚でもなんとなく理解できると思う。
龍に対しての「虫」は雑に解説すると龍の種類に「蟠龍」「蛟龍」「虬龍」など虫偏が付くものがいるためである。見たことはないのだけれども、たぶん水龍に対して「小魚」みたいな罵倒はあると思う。
女の妖怪に対する「クソババア」は、妖怪というのは基本的に長生きしているため、少なくとも若者ではないからである。女の妖怪は大抵男をたぶらかす美女が多く容姿に自信があるので、この罵倒はよく効く。
普通の人間が妖怪を罵倒する場合は「妖孽(魔物くらいの意味)」、どう呼んでいいか分からない場合は「妖物」「妖女」「妖怪」などが多い。