プリキュアとアイドルのオタクを10年している人間が「アイドルプリキュア」について喋る
11/29、東映アニメーション公式よりXにて来年度放送のプリキュアシリーズのタイトルが発表となりました。
タイトルは「キミとアイドルプリキュア♪」。
界隈では略称がどうのこうのややこしいことになっているみたいですが、たまたまそこら辺に10年近くプリキュアとアイドルのオタクをしている成人男性が転がっていたのでテキトーに駄文を綴ってみます。
「プリキュア」と「アイドル」
筆者は中学2~3年生のかなり多感な時期から今まで「プリキュア」と「アイドル」の両方に熱中していました。
はじめて視聴したTVシリーズは「Yes! プリキュア5!」、はじめて知ったアイドルはあまりにも全盛期すぎるAKB48でした。
その後今に至るまで約10年にわたり双方に時間と金銭を消費し、いわゆる「オタク」をしてきました。
熱しやすく冷めやすい性格のおかげで双方に高い熱意と解像度を保てていたわけではありませんでしたが、ここ3年くらい自分以上にプリキュアが大好きなアイドルを推していたので双方にかなり高めの熱意がありました。
もちろん過去シリーズを復習した際には表に出るお仕事をしているプリキュアやアイドルとして活動するプリキュアも存在していましたがあくまで架空の話。だってアニメじゃん。
現実のアイドルが悪と戦って世界を守ってたら、びっくりじゃん。
「2次元」と「3次元」のコンテンツである特性上、両者の良いところと同時に両者に欠けているものが明確に実感できると考えています。
またそれ故にどちらかに依存せずに長く熱量を保ち続けることができた、とも言えます。
プリキュアって小さい女の子向けのアニメなんです。
ほとんどの女の子が物心ついた頃から憧れるのがプリキュアなんです。
きっと、夢や憧れを実現させるエネルギーが生まれるくらいの存在なんです。
そこにアイドルというテーマが加わる。
そしてそれが多くの女の子のもとに、同時にプリキュアに憧れた幼少期を過ごしながら大人になった人たちのもとに届く。
どんな反応があるのか。
10年近くプリキュアとアイドルのオタクをしている成人男性はどのように感じるのか。
アニメ業界、アイドル業界には何か影響があるのか。
今から放送が楽しみで仕方ありません。でもわんぷり終わって欲しくないです、マジで。
歌とキャラクターのパーソナリティ
TVアニメシリーズとして長年人気を誇るプリキュアには、当然ながら「プリキュアの歌」が存在します。
OP・ED・劇中歌・劇場版テーマソング・キャラクターソング…etc。
また、作品によっては劇中において「歌」が効果的な演出として使用されることも少なくありません。
同時に、多くの場合アイドルにとっても歌はパフォーマンスにおける最重要項目です。世間一般におけるアイドルの定義において、ひいてはアニメのタイトルに引用されるような「アイドル」という単語の定義において歌は切っても切り離せない関係にあるといって差し支えないでしょう。
アニメOP・EDはもちろん、BGMを含むあらゆるプリキュアの楽曲は作品のテーマとキャラクターに強く準拠します。主人公がアイドルと言う設定もしくはアイドルが登場する作品であれば、当然それらの楽曲は主人公ないし登場キャラクターがアイドルであることを前提とした楽曲として制作されることが予想されます。
果たして主人公はどんなキャラクターなんでしょうか。
ファン、マネージャー、ライバル、親友はいるのでしょうか。
誰がどんなきっかけで変身するのでしょうか。
それぞれの変身のきっかけは何なんでしょうか。
そのきっかけや言動・行動は誰にどんな影響を与えるのでしょうか。
アイドルと、アイドルを取り巻く環境に置かれたキャラクターそれぞれの心情やキャラクターどうしの関係性の変化をプリキュアシリーズにおいてどのように描くのか、あるいは苦悩や困難をどのように描くのかといった点は非常に楽しみな要素のひとつです。
周囲の人々のみならず時には敵さえも巻き込んでしまうのがプリキュアの大きな魅力であり、その存在はストーリーにおいても極めて重要な役割を果たすケースが多くあります。
歌が作中においてキャラクターのパーソナリティに大きく影響することも少なくありませんし、ときには物語のキーワード的に扱われることもあります。
もしアイドルというテーマのもとにキャラクター構成をしたならば、付随する歌にもそのパーソナリティが大きく反映される可能性があります。
同時にプリキュア楽曲における挿入歌やキャラクターソングの完成度は相当高いものがあり、筆者のようなコアなファンも多く存在しています。
歌・ひいては楽曲への影響も大変楽しみな点の一つです。個人的にはめちゃくちゃノリノリなアイドルソング全開って感じのED楽曲が欲しいです。
グループで活動するアイドルにとってソロでの歌が重要なものであるように、それぞれのパーソナリティが大きく反映されるキャラクターソングのひとつひとつにおいてはこれまでにない高い解像度で制作される可能性があるのではないでしょうか。
ライブと2.5次元へのミックス
かなりメタ的な話になりますが、ここ10年アニメをはじめとしたメディアミックス作品においては2.5次元へのミックスが大きなブームとなっています。
「アイドルをモチーフにしたアニメ」があれば、声優さんがライブに出演して歌うのは当たり前。アニメ本編とのリンクはアニメを含むコンテンツの制作において重視されるポイントでもあります。
プリキュアシリーズにおいても作品によれど2.5次元へのミックスは少なくありませんが、一般的な「アイドルをモチーフにしたアニメ」ほど色濃くはないように感じられます。
後述するライブシーンにおいても同様に、2.5次元へのミックスが成功した場合にこれまでのプリキュアシリーズになかった革新的かつ魅力的な演出が実現する可能性があると考えています。
例えばプリキュアの握手会があったら。
もし劇中でアイドルグループであるプリキュアが握手会イベントをしていて、現実にも声優さんを含むキャストを起用した全く同じイベントがあったら。
「プリキュアに会える」という体験にも新たな可能性が生まれるかもしれません。
先述した内容とも重複しますが、「プリキュア」と「キャラクター」の解像度をより一層高める可能性を秘めています。
アイドルという要素をプリキュアというアニメ作品にどこまで強く含むのか、どのように組み込むのか、どのように演出するのか、どのようにプロモーションするのか、そして声優さんを含むキャストとキャラクターの距離をどこまで近づけるのか。
そのひとつひとつが作品において大変重要な意味を持つと考えます。
また、プリキュアシリーズの大きな特徴として年に2回のライブイベントが実施される点が挙げられます。
これまでの「プリキュアライブ」はあくまで『プリキュアの音楽を生で聴くことができるイベント』といった形でしたが、ここに「アイドル」の要素が介入してくるとなると…。
もしもプリキュアが、プリキュアであると同時にアイドルグループでもあったら…?
「プリキュアのライブ」が、「アイドルグループのライブ」という形を取ったら…?
あくまで推測の域を出ませんが、従来のプリキュアライブになかった革新的な演出や楽曲が実現できるでしょう。
もしそういったテーマに沿ったライブを開催する場合でも、メインターゲットは小さい女の子であるというプリキュアシリーズの絶対的条件をクリアしなければなりません。これはシリーズにおいても過去に類を見ない大きな挑戦ではないでしょうか。
もちろん演出やコンセプトによってライブの見え方は変わると思いますが、プリキュアとアイドルがリンクすることによって「目の前にプリキュアがいる!」「プリキュアに会えた!」みたいな感覚が一段階高い解像度で実現する強い可能性を秘めているものであると考えます。
筆者が個人的に大好きなこのイベントを「ライブ」と定義してよいのかは大いに議論の余地がありますが(プリキュアライブにカテゴライズされるべきではないと思います)、作品テーマはともかく魅力的な演出のおかげで「目の前にプリキュアがいる感覚」を味わうことができた興奮と感動は忘れられないものがあります。
「プリキュア像」とのリンク
「プリキュア」って小さい女の子向けのアニメなんです。
きっとほとんどの女の子が物心ついた頃から憧れるのがプリキュアなんです。
今年はそこに「アイドル」というテーマが加わる。
多くの女の子のもとに、同時に「プリキュア」に憧れた幼少期を過ごしながら大人になった人たちのもとに届く。
アニメのキャラクターは架空のもの、という障壁が取り払われれば、子供にとっての憧れはより一層身近なものになるかのしれません。
「私も変身できるかも!」「僕も格好良く戦えるかも…」
同時に「私も多くのファンの前で歌いたい!」「僕も人気になりたい!」といったようなアイドルの要素が介入したことによって発生する憧れも発生するかもしれません。
現在アイドルとして活動をしている方々の多くはプリキュアシリーズを視聴した経験があるでしょうし、今でも高い熱量を保っている方もちらほら見かけます。
あるいは推しているアイドルがシリーズを好きだからプリキュアを視聴してみた、というファンの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「アイドルをテーマにしたプリキュア」は現実におけるアイドルとファン、アイドルを取り巻く環境に生きているあらゆる立場の方にどのような受け取り方をされるのでしょうか。
ストーリー・キャラクター・変身アイテム・楽曲・イベント・プロモーション…これらは、どのように作用するのでしょうか。
そして何よりリアルタイムで視聴する女の子たちにはどう受け止められ、どんな憧れを抱くのでしょうか。
「プリキュアに憧れてアイドルになりました!」
数年後には、珍しくない光景になっているかもしれません。
もちろんプリキュアの界隈もアイドルの界隈も知ってしまっているので多方面にネガティブ寄りの懸念もなくはないんですが、今はそれ以上にわくわくする気持ちが強すぎるので心の中に留めておきます。
とにかく来年が楽しみでたまりません。
果たして、「完璧で究極のプリキュア」は誕生するのでしょうか。