曲のコード進行を分析する方法
今回は、既存曲のコード進行を分析する方法を記事にしました。コード進行を学ぶ中で、体系的に学ぶのも大事ですが、実際にある曲のコード進行がどのように作られているかを分析するやり方も効果的です。そのため、今回は私の行う既存曲のコード進行の分析のやり方を紹介します。
今回分析するコード進行
今回分析するのは以下のコード進行です。(図1)
分析前の下準備
分析を行う前に、以下の手順で下準備をします。
1、調の判別
最初に曲の調を判別します(図2)。この曲は、出だしのコードとCメジャーキーのダイアトニックコードが多く使われていることから、Cメジャーキーと考えました。
※調の判別については、以前の記事で紹介していますので、そちらもご覧ください。
2、ダイアトニックコードとノンダイアトニックコードの区別
次に、ダイアトニックコードとノンダイアトニックコードを区別します。
Cメジャーキーの3和音のダイアトニックコードと、スケール上の4和音のダイアトニックコード(図3)をまるで囲んでいきます(図4)。
3、度数をつける
囲んだコードに対して度数を書きます。(図5)
※度数表記に関して、例えば「Am」は「Ⅵm」とも表記しますが、この記事では「Ⅵ」とします。
※度数について詳しく知りたい方は、関連する記事「I-3. 和音(コード)」をご参照ください。
4、和音の機能をつける
ダイアトニックコードの各コードにトニック、サブドミナント、ドミナントの和音機能を記します。(図6)
※機能和声については、「I-3. T、D、Sにおける具体的な和音」に関する記事も参考にしてください。
5、カデンツを見つける
コード進行の中で軸になるのは、基本的にダイアトニックコードです。
なので、黄緑色で示された部分だけを見てカデンツを見つけます。
そうすると、このコード進行の軸は、カデンツ第一型(T-D-T)と、カデンツ第2型(T-SD-D-T)でできていると解釈できます。(図8)
※カデンツについて詳しくは、関連する記事をご参照ください。
ノンダイアトニックコードの理由を推理する
6、ノンダイアトニックコードの理由を推理する
ここまでで、コード進行の骨格が見えてきました。次に、今まで触れていなかったノンダイアトニックコードの役割について考察していきます。これらのコードは、隠し味的な役割で、コード進行の彩りを増しています。
7、一小節目の四拍目の「E7」の理由
最初に気になるのが一小節目の「E7」です。(図9)
ここで、私が注目したのが、その後ろの「Am」。(2小節目の頭)
その後に続く「Am」をIの和音と考えると、「E7-Am」の進行は「V7-I」であり、セカンダリードミナントと解釈できます。(図10)
さらに、E7の前の「Bm7-5」はAマイナースケールにおいてⅡの和音です。2小節目の頭の「Am」から考えると、ツーファイブワンの流れとなります。(図11)
余談ですが、ノンダイアトニックコードでセブンスの和音が出てきた場合、高確率でセカンダリードミナントかツーファイブワンであることが多い印象です。
8、二小節目の「Gm7」と「C7」について
次に「Gm7」と「C7」について考察します。3小節目の「F」をI度の和音と考えると、これもツーファイブワンの流れです。(図12)
分析結果
このコード進行は「C-Am-F-G7-C」というカデンツ第二型(T-SD-D-T)を軸に、間にツーファイブワンを2箇所加えていると解釈できます。これにより、全ての和音に理由を説明することができましたので、一旦、ここで分析を終了とします。
作曲への応用
実は、これを作曲に応用していくのは、ここからなんです。
その内容についても、今後機会があれば記事にしていきたいと思います。
ちなみに、この内容はかつて自身のYouTubeチャンネルで「コード進行分析準備」という動画で取り上げたものを記事化したものです(動画内0:18〜)。動画の後半では分析結果の応用についても話しているので、興味があれば参考にしてみてください。
関連資料
記事内でもいくつかリンクを紹介しましたが、楽典についての知識があまりない方は、YAMAHAのホームページにある「コードについて学ぶ」という記事も参考にしてみてください。基本的な知識はこれだけでもかなり学べると思います。
いきなり全てを理解する必要はなく、さらっとこんな感じのことがあるのかなぁくらいで概要を把握するだけでも学習の助けになると思います。
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