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超絶技巧、未来へ@山梨県立美術館 身近に美術館がある幸せ
早いもので、山梨で暮らし始めて丸10年が経ちました。
その前は南カリフォルニアで22年、駐在員のお子さんを教える仕事をしていました。
南カリフォルニア暮らしは快適な面も多々ありましたが、
美術館に行きたい欲を満たすのがなかなか大変でした。
年間会員を数年続けたLACMA(Los Angeles County Museum of Artロサンゼルス郡美術館)では、
伊藤若冲の蒐集家ジョープライス氏設計のPavilion for Japanese Art(日本館)で、
高村光雲の老猿を見ました。
LACMAの日本館は、仄暗い光で見るのが最適な日本美術作品を調光しやすい環境で見られるよう、設計されたと聞きました。
3階までエレベーターで上り、
そこから壁に沿った大きな弧を描く螺旋状の緩い坂を下りるようにしながら、
壁沿いに展示された日本の美術作品を見られる設計の日本館で、
期間限定で一階の中央に置かれた老猿を、
作品の上方360度方向から、緩い坂を下りるように様々な高さの視点から見られたのは
本当に貴重な経験でした。
でも、家からLACMAまでは60マイル(およそ100km)、およそ90分運転しての到着、
うっかり帰宅ラッシュに巻き込まれると、帰りは3時間かかりました💦
ウィリアム・モリス・コレクションや、
グーテンベルク聖書やオーデュボンのThe Birds of America(アメリカの鳥類)などの貴重本、
日本庭園を含む広大な植物園で有名な、
鉄道王の邸宅だったハンティントンライブラリーも、
ローズガーデン内のアフタヌーンティーが楽しめるティーハウスが大好きで
10年以上年間会員を続けましたが、
やはり90km離れていて遠かったのです。
ハンティントンライブラリーの近くには
アメリカのアーツアンドクラフツの最高傑作と呼ばれるギャンブルハウスもあり、
インドの仏像を含む多くの彫刻作品やドガコレクションでも有名なノートンサイモン美術館もあり、
これらの美術館が集中するパサデナに行くのは大好きでしたが、やはり遠くて💦
でもカリフォルニア暮らしで満たされなかった美術館に行きたい欲を、
日本に戻り、山梨県甲府市で十数年空き家だった祖父母の家を改修して塾を始めて、
一気に取り戻した感があります。
暮らし始めるまで知らなかったのですが、
山梨県は人口あたりの美術館博物館数が日本でもトップレベルだそうです。
中でも、
1978年の開館時にはミレーの種蒔く人が収蔵されることが大きな話題となった山梨県立美術館は、日本の美術館ブームの先駆け的存在。
ジャン・フランソワ・ミレーの作品を中心に、
多くのバルビゾン派の作品が収蔵されていて、
ゆっくり美術作品と対面でき、
いつ行っても豊かな気持ちになれる場所です。
https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/collection/millet/
こちらのリンクから収蔵品が高細密画像で見られますが、
色合い、油絵具の凹凸、画面全体から描いた人の気持ちの伝わってくる空気は、本物と対峙してこそ、、
そんな本物に触れられる美術館まで、
自転車で15分の場所に暮らすこの幸せ。
そして、山梨県立美術館は、特別展も毎回素晴らしいのです。
2024年11月20日から開催されているのは、
超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA
https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/exhibition/2024/1332.html
一年前の秋、
三井記念美術館で開催されているのをものすごくみたかったけれど見逃してとても残念に思っていたら、
なんと山梨で長期開催、しかもパワーアップして!!
先日ようやく見に行けたのですが、
最初のお部屋の彫刻作品を見るだけで45分掛かってしまい、
お隣の文学館で開催の講演会に間に合わない、と退出。
その日はハイヒールを履いた僧侶で有名な西村宏堂さんの講演会に申し込んであったのです。
でも、大丈夫。
山梨県立美術館+文学館+博物館+考古博物館の四館共通年間パス、ミュージアム甲斐in券を持っているので、いつでもまた来られます。
この四館共通年間パスを利用して、2021年山梨開催のテオ・ヤンセン展には五回来ました。
なんと、この年間パスはプレゼントできる仕組みもあります。
でも、いつでも行けると油断して、
うっかり見そびれる事のないように気をつけないと。