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怪文書
オフィスの改装がありまして、それを機にデスク内の断捨離をしました。引き出しの奥の方から見慣れない封筒が出てきたので何かと思って見たら、15年前に貰った差出人不明の僕宛の手紙、つまり怪文書が3通出てきたんです。差出人は恐らく同一人物の従業員。捨てたと思っていたんですが、こんなものを大事にとってたんだなぁ…(笑)
「あんたなんか早く辞めろ、あんたは何も出来ないお荷物だ、殆どの社員が辞めて欲しいと望んでいる、社員の声を聞くなどといったヒアリングなど仕事の邪魔なのでやらないでくれ、アンタはまともに働いたことがないから現場のことなどわかるわけがない、事務所を偉そうに歩きやがって…」などなど、もう笑っちゃうぐらいの罵詈雑言のオンパレード(笑)
これ書いた人ももう何を書いたか忘れていると思いますが、人はここまで人を憎めるもんなんですね。そんなに酷いことはしてないつもりですけどね。
まぁしかし乍ら当時は、随分と憎まれたもんだなぁと思いましたし、まあまあ傷付きました。悔しかったし辛かった。もらった日は家族にも言えず、メシが喉を通らなかったのを覚えています。書いた人はこんな気持ちなどわからないでしょう。15年ぶりに読んでも、何とも言えない辛い気持ちになりました。この気持ちは一生消えないと思います。
でもね、こんなものを無記名で送ってきて正しいことを言っているつもりなんだなぁと思うと、なんてことなくなってきました。因果応報、こういう汚い人は回り回って絶対に幸せにはなれないと断言できます。当社にもかつてはこんな社員もいたんです。オレは苦労など一切していないと思われがちか知りませんが、僕もまあまあ苦労してます。
僕が今の会社に入ったのは26年前の1998年で、代表者になったのは17年ぐらい前でしょうか?引き継いだ当時は確かに会社の財務状況は厳しかったですし、組合からもストライキをちらつかせられたり、泣く泣くボーナスを下げたこともありました。こんな手紙を貰うぐらいですから随分と恨まれたようにも思いますが、でも多くの社員さんは腐らず頑張ってくれました。リストラは一度もしませんでしたし、不正行為などには毅然と対応してきました。僕なりに社員のことを思い、ズルい人間が得をするようにはしたくない、正直者がバカを見るようにはしたくないと思って経営してきました。今、本当にそうなっているかはわかりませんが。
ようやくここ数年はこんな怪文書も届かなくなり、不正行為もなくなり、収益も安定し、従業員満足もまずまず上がり、企業風土も少しずつですが良くなってきました。どれもまだまだ道半ばですが。
こんな手紙、捨ててしまおうと思いましたが、こんな酷い手紙を貰うような時代もあったかねーと時々思い出すのも悪くないかなと捨てずにしまいました。ま、でも実は、この怪文書も誰が書いたかは大体わかっているんですよ、実はね(笑)そっと僕の中で査定の材料にしています。その人には結構良くしてさしあげたつもりなんですけどね。
不正のない、頑張っている社員が報われるような、お互いが協力し助け合えるいい会社にしていきたいと本気で思っています。社員が互いの仕事を理解しあい、協力できれば会社ってもっと良くなるはずです。俺はそういうことを、単なる理想の綺麗事だとは全く思っていませんよ。