鏡の中のうつくしいひと/戸田真琴
ふと、鏡の前に立ってみる。AVデビューして半年くらいの頃に、自分の身体を客観視できたほうがいいのではないかと思って買った、天井にも届きそうな、やたらと大きい鏡。汗で濡れた服を一枚一枚脱いでいくと、見慣れた裸が目の前に現れる。年齢と同じ数だけの年月を共に生きてきた身体。ただぼうっとそれを眺めるとき、それは親しい友人のようにも感じられる。ここ最近は首から肩にかけてのカーブが浅く首が短く見えるね、毎日パソコンの前に座って文字を打ったり、それをリュックにつめて重たいまま街を彷徨って