「苦手は克服しないざんす。」
「苦手は克服しない」
あたし、道を覚えられないのよ。
ずっと、覚えられないの。
そうね、病かってくらいね。
まあとにかくエグいのよ。
今はとても便利な時代ね、ららら〜
方向音痴にも優しいアプリってのが
溢れるほどあるわね。
ええええ、もちろん
あたしのスマートフォンにも入ってございます。
ひとつダウンロードしては使ってみる、
そして、次こそは!と思い
またダウンロードして....と。
いつしかあたしの画面は
道案内のアプリで埋まってしまいましたわいな。
あの手この手を使いましても
必ず迷うのですもの、
もうねぇアンタ、別の方法を考えるしかないわよねぇ。
なので、あたし初めてのかたには
その旨よーくよーくお伝えすることにしたの。
〜アタクシ ビョウテキナ ホウコウポンコツ
こんな風にお伝えして、
最近では、あたしが病的な方向音痴だと認識してくださる方も増えて参りまして、
とてもスムーズになりましたわ。
中には、
「迎えにゆきますゆえ、そこで待っててください!」なんて"Oh〜!あなたはナイトなの⁉️"
って方までいらっしゃるのは、とてもとてもありがたいのです。
それに甘んじてる訳でもなく、
本当に心から申し訳なく思っているのよ、あたし。
でも、やっぱり
恐ろしいほど道に迷うこともあるのです。
ええ、自分でも怖くなるほどね。
集中しても迷うし、
何とかなるわーと思ても迷うし、
どないしたもんかーとも思うのだけんど。
迷うこと前提で早めに動いたとて、
どうしようもなく迷うときは
途方に暮れるのよ。
嗚呼、もう二度と辿り着けないのだわ、あたしって....
あたし、思ったのだけど、
もう生まれた時からこの歳になっても
あいも変わらず道を覚えられないのだもの
それはもう、「苦手」のレベルを逸脱してるわなってな。
そうよね、
苦手なものを克服するより、
相手にとって、
あたしにとって、
自分の得意なことでベストな方法を編み出すのが良いのだわね、きっと。
あたしには、あいにく
よく喋るこの口がありますもんですから、
相手を不快にせず、
電話でナビって頂くって方法を編み出すことに成功したのよ。
呆れてるのかもしれないけんど、
お会いした時、不快な気持ちを払拭できるほどのパフォーマンスがあればいいと思うのよ。
会えて良かったと思って頂くことで
道ポンコツをカバーよ、奥さま。
それがあたしの得意なことなのですもの。
苦手は克服しないけど、
人を幸せには出来るわ、あたし。
それで良しとしよう。
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