「友達のとおるちゃんの話し」
〜とおるちゃん(偽名)
「20代の頃に余命宣告を受けた時、
結局、苦しみは自分にしかわからないと思ったんだよ。」
〜治らない病を抱え、
誰にもその苦しみを吐き出すこともできず、
彼が選んだ道は、
自分で命を立つことだった。
「死のうと思ってね、
富士の樹海に入ってったんだよな、俺。
あてもなく彷徨って、
しに場所を探してた。」
〜結婚したばかりの20代で、
治らない病が見つかった。
奥さんにも迷惑がかかるし、
病気も辛いし、
それで、なんとなく、
ただ、なんとなく
しのうと思ったそうだ。
「いい枝があったからさ、
そこに、ベルトを引っ掛けて
首を吊ろうと思ったんだよね。
そしたらさぁ、
ベルトがね、
切れたんだよね、
ブチってさ......
しねないんだーと思ってさ、
また彷徨ってさ。
あ、樹海って知ってる?
本当に出られないらしいのよ。
途中、気が変わって
しぬの怖くなってもさ、
出れないらしいのよ、迷っちゃってさ。
俺はその時はまだ
しに場所を探してたんだよね。
どーしようかなー しねないなーって
彷徨ってたのよ。
そしたらね、
なんか、道に出てたの。
山道にさ。
で、ひたすら歩いてさ、
麓までたどり着いたときに、
どうせしねないし、
生きるかなーって思ったのよ。」
〜なんとなく、無意識に
明るい方へ歩いていったのだそうだ。
「看病してくれてる人、世話してくれる人、
それは、本当に凄い覚悟がいるなと思ったよ。
勿論、感謝もしてるんだよ、ありがたいなぁって。
でも、結局のところ
その病で苦しむのは自分じゃない?
看病がどれだけ大変でもさ、
そこから目を背けることだって出来る訳だから。
そんなこと言うと.....あれなんだけどね。
でも、その苦しみや痛みは
自分しかわからないんだよね、結局。
本当のところ、
その人の苦しみは、その人しかわからないわけで。
だからね、
わかってもらおうとしないことだと思ったんだ。
だって、わからないから。
色んな物の考えかたをする人がいるってだけで、
それは、その人の物じゃない?
だから、
あー、そんな風に思う人もいるんだなーくらいにし
か思わなくなった。」
〜そう穏やかに話す彼。
この刹那的な言葉からは、
到底、想像もつかないほど、
温かく、優しいとおるちゃん。
世の中に期待をしていない。
それなのに、
人をほっとけないという矛盾を抱えていると言う。
彼の言葉は人を癒す。
そのトーンは
何か特別な周波数で話しているみたいで、
あっと言う間に時間が過ぎるから不思議。
しにたくなるよな悲しみを抱えている人は、
一度 彼と話しをしてみるといい。
樹海を抜けられるかも知れないなと......
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