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◆鑑賞No.155 映画 千と千尋の神隠し
🔶感想🔶
◆作品No.135
<視聴日>
◆管理再視聴 2024.7.22
●過去視聴済 年月日不明
<評価:S>
※評価は物語・好みで付けています。
(各評価+、-)
S:面白い・大好き
A:面白い・好き
B:普通・可も不可もない
C:面白くな~い
<感想>
**ざっくりものがたり**
神々の集う湯屋で、名を取られた少女が自分を含む様々なもの達を自立させちゃう物語。
本作は映画ではなくTV放送で何度か視聴しました。
ジブリ作品の中でも日本歴代興行収入第1位を獲得するほどの人気作で、現在は舞台化もされている。
ふわっと見ていたのでどんな内容かもあまり解ってなかったのですが、改めて見ると成長へのメッセージが入っており自分に重ね合わせながら楽しみました。
考察もジブリの色ですが、放映当時も色々な考察が飛び交っていたし公式でも設定などの見解を出しているので、今更考察はしなくてもいいと安堵しています笑
<感じた伝えたい事・テーマ>
本作で感じたテーマは「自立」です。
◆テーマ:「自立」
・物語の主軸になるのは、千尋が未知の土地で四苦八苦しながら元の世界に戻る為自分で行動をするということ。10歳の千尋は親の力が必要な歳だが、油屋で仕事をこなし問題解決に挑み親も助ける。周りの助けが多少あるが自分で決断し動く。車でいじけていた姿とは180度変わる。自分が感じた千尋の自立は、ハクを助けたいと銭婆の元へ行くと決意したこととカオナシの誘惑を断るところでした。流されるのではなく自分がどうしたいのかを決める決断力。人の意見や空気に流されやすい社会でちゃんと自分の意志を伝える行動は良いなと思いました。自立した千尋はとってもかっこよく見えるしそんな姿にカオナシも坊も惹かれ自分も変わろうと一緒に行動することにしたのかな?と想像しています。(自立は他者の助けを借りないのが本来の意味だがそこは大目に見てくださいw)
成長もイコールで、仕事でいうと雑巾がけすら満足にできなかったのに大仕事を成せるようになっていた。成長と自立をしている千尋への羨ましさも含めて自分を鼓舞する作品だなとも感じました。
宮崎監督がこの物語を通して「大丈夫、あなたはちゃんとやっていける」を伝えたかったと語っているそうです。どんな場面でもきっとなんとかなるとこれも監督から視聴者への鼓舞なのかなと。
<気になった事(良し悪し)>
・都市伝説で千尋が初潮を迎えた噂があるみたいですが、話の流れ的にそれは本当に都市伝説なのかなと思いました。優しいハクと出会い言われたとおりに湯婆婆の元に行って雇って貰ったがめちゃくちゃ他人行儀なハクを見て2人いるのかとリンに聞いて1人と答えてきた後にお腹が痛くなっている。気持ちわるいって言葉からもハクの二面性と環境の不安からの胃痛と思われる。あれを何故生理って事になったのか?ww
しかも生理はあんな急に腹痛はこない。なる数週間前から鈍痛がはじまるのだから。
うん。。。ないない。ストレス性急性胃腸炎。
・ハクとオクサレ様は環境問題。ハクは自身の川が埋められてしまっている。オクサレも名は分からないが湯婆婆の台詞で名のある川の神様とされている。ドブのような悪臭と見た目は人間が川へ不法投棄したものやゴミが詰まった結果だ。これは宮崎監督が川掃除をした実体験を入れているそうです。都合よく人間は捨ててしまうもんね。水に流して無かったことにしているけど、そのしわ寄せが必ず帰っていくるのと綺麗にすることで良いことがあるという注意喚起かなと思う。自然との共存はジブリの総合テーマなので今回はここに入っていたと感じた。
・おにぎりと食堂や湯屋の食事は食問題。ハクが千尋へ渡すおにぎりのシーンは印象的。稲作民族の日本人とお米は繋がりが深い。豊作を願い神へ感謝し祈る。お米や稲には神様が宿り、「神様が込め(米)られたもの」と考えられてきました。命へ感謝して食す。古き良き日本の考えは好きです。現代は廃棄食が出る程食べ物を粗末にしている。そういう観点からも豪勢に有り余るほどの食よりおにぎり数個が白くて美しい食べ物に見える。父が食べていた食堂でも床に落ちた食べ物はまずそうに見えた。力飯といわれるほど日本の米は世界でも類を見ないうまさだと思っている。千尋のあの涙はやさしいハクだったこととおなかが空いていたからそんな安堵の感情から感極まったんじゃないかと。程よく感謝して食べようということかなと。
・本作は個々別にテーマが描かれているように思えるが全ては繋がっている。八百万の神様もこれは神道の考えで日本古来の宗教観。一神教ではなく生きとし生けるもの全てのものには神と命が宿る。神へ感謝し共に生きようって素敵な考えで個人的に好きです。
「昔の日本人は、森羅万象に神の存在を認め八百万神として敬ってきました。」
ジブリには古き良き日本の姿の勧めを感じています。説教臭いなと感じるかもしれませんが便利になった世の中も勿論良いが、精神や振る舞いなど現代の心の疲弊に注目させているとも感じる。
・双子の魔女、銭婆と湯婆婆。見た目はそっくりな2人だが性格が全く正反対。比較の面白い所で、この世界での都心に住み金目のものに目が無く短気で厳しい湯婆婆と静かで自然豊かな森に住み魔法でなく手作りに拘り温厚で優しい銭婆。湯は湯屋を経営してるからとも思えるが銭が付く銭婆は金に興味がない。名前反対なんじゃないかと思う。そして銭婆の台詞で「あの人ハイカラじゃないじゃない? 」ハイカラは洗練された生活様式なのだがどう見ても都会に住んでいる湯婆婆の方がハイカラに見えるがお金に執着せず魔法も使わず手間をかけて手に入れる方がこの世界では最新式と言っているようだ。銭婆からすると欲だらけの湯婆婆は古いと表現している。これは古き良き時代を薦めるジブリのメタファー(使ってみたかった~w使い方合ってる??)なのだと思った。
<謎、疑問>
◆千尋の両親は元々ああなのか?
→父の好奇心から不思議な神が集う世界に迷い込んだ。トンネルまでの父の行動は明らかに様子がおかしい。あの御神木の鳥居から始まっていたと思われる。鳥居は神と人間の世界の境界線の役目がある。そして祠は神を祀るもの。そこを越えたことで何か憑依していたのか神様のいたずらなのか。。あのスピードの出し方は怖いww
そして母親が冷たい。
冷たい理由とハクの正体の考察は岡田斗司さんの解説が好きなので添付します。
◆ハクとはいったい何者なのか?
→ハクの正体はコハク川の神で名を「ニギハヤミコハクヌシ」という。
ハクが魔法を得たかった理由は不明だが、コハク川は埋め立てられている事からハクは川を復活させたかったのかもしれない。
ハクのモデルと噂されている神様は日本神話に出て来る下記の神様だ。
*饒速日命(ニギハヤヒノミコト)
*速秋津彦(ハヤアキツヒコ)
ニギハヤヒ神はニギハヤまで一緒なので近い気もするが詳細を知ると水に関する神ではないので少し疑問は残る。ハヤアキツヒコはハヤコが該当し河の男神なのでハヤアキツヒコ神の方が近いと個人的には思う。
そしてコハクは下記の神様が含まれているのではないかと感じた。
*朝鮮の神話の河伯(かはく、ハベク、하백)
*中国の黄河神の河伯(かはく、ホーポー、Hébó)
ハクの神体は龍で龍神は水の神でもある。そしてハベクもまた龍体をしている。ホーポは人体だが、白い亀・あるいは竜が曳く車に乗っているとされる。白い体がハクと共通する。
河伯は日本だと河童とされ河童は龍神の化身と言われている。ハクの髪型がおかっぱも無理矢理こじつけたくなるww
「か」じゃなくて「こ」だろとも思うが音が似ているのと朝鮮語のハベクの中にハクが入っているので無関係とも思えなかった。
ハクの正体が千尋の兄という考察があって千尋の幼少期に溺れた時のシーンで手だけ出てくる。上記に添付した考察を知ってから最後のシーンでハクと千尋の別れでハクの手だけが最後残る。つまり別れを惜しむ描写でもあるが、あの川に伸ばした手だけのシーンと重ねることが出来る!!わぁああああ!!お兄ちゃん!!って私の中でなにかがはじけましたw恋愛なのかとも思ったが兄妹愛だったのかもしれない。
◆なぜ舞台が湯屋なのか?
→宮﨑監督が「日本中の神様を呼びお風呂に入れ元気にするという非常に面白いお祭りがあるんです。」と言っていたそうです。
モデルになったのは、遠山の霜月祭(とおやまのしもつきまつり)。
旧暦の11月(霜月)に行われるの湯立神楽で、昼間が最も短く生命力の弱まった冬至の頃に、全国の神々を招きお湯でもてなし、太陽と生命の復活を祈る儀式と考えられている。
夜に行われる祭で神は昼まではなく夜に迎えもてなし、送り返すというのが日本の祭の古い形から夜に神々が船で現世からやってくる設定なんだと納得した。
都市伝説で風俗というのも目にしましたが、それは神様というよりは人間の願望のようなものなのかなとwww
◆カオナシとはいったい何者なのか?
→これは100%みんなが思う疑問wインパクト強のあのキャラ。喋るわけでもなく「あぁ・・あぁ・・」としか言わず隅っこに居てぬらぬらしている。存在感の無い感じだけど存在感はあるよねw
監督曰く「カオナシなんて周りにいっぱいいますよ。(中略)ああいう誰かとくっつきたいけど自分がないっていう人、どこにでもいると思いますけどね」
このことから居場所がはっきりせず、自分の意志もはっきりせず、仮面を被って本当に自分が分からないそういう人たちを表しているもの。カオナシは神様ではないのは湯婆婆が「何か嫌なもの」と言っていたので精神的な闇の塊のようなものなのだろう。
千尋の優しさに触れ千尋への執着と居場所にしたいがためにまあしつこいwwだが10歳の千尋にとって、大切なものはカオナシが出した金や札ではなく、両親とハクなのです。自分を受け入れてくれた千尋に喜んで貰いたくてしたことだけど、方法をそれしか知らないから過剰になり拒否されたことで悪い方向に行った。自分の思い通りに行かないことに腹を立て次第には暴れ出すがやはり自分を受け入れてくれた千を諦められなく追いかける。元は純粋な思いだったけど思い通りにならない部分が子供、わがままなのだ。当時ってキレル若者みたいな表現だった??
◆千尋は両親が並べられた豚の中にいないと分かったのか?
→湯婆婆が現実へ帰る千尋に向け豚の集団から両親を見つけ出せと問題を出します。全部同じに見える豚さんだが、千尋はいないことを見抜く。監督曰く「これだけ経験を経てきた千尋は両親がいないことがわかる。なぜわかるか、でもわかるのが人生ですよ。」と語った。経験を重ねたこともそうだが、自分はやはり親子だから分かったんじゃないかと感じています。でも分かるのがって言葉が理由じゃなく勘や空気というのかそういうはっきりしないけどそうだと断定できる不思議な現象だと思う。逆に湯婆婆は自分の子供が変わった事に気が付かなかった。親子なのにさっき言った事がつじつまが合わないじゃないか!
これは相手をちゃんと見ているのか?という部分が肝心なんだと。ド過保護しているが実はちゃんと坊の事を見ていない。これも比較の面白さで千尋は両親をつねに思い見ている。この差だと思う。ちなみに坊のあの奇妙なでかさは、心が子供のまま体が大きくなってしまった事の表現なのだそうだ。
<声優及びキャラ>
・千尋の両親今気が付いたけど、科捜研じゃんww宮崎監督科捜研好きとか?w
・おしら様は子供好きの神様だから千尋を助けてあげたんだね♡
🔴作品紹介🔴
放送・放映期
2001年7月20日 夏
上映時間 125分
スタジオジブリ作品No.12
character
▼荻野家
荻野 千尋(おぎの ちひろ)、千(せん):柊瑠美
荻野 明夫(父/おぎの あきお):内藤剛志
荻野 悠子(母/おぎの ゆうこ):沢口靖子
▼湯屋「油屋」
湯婆婆(ゆばーば):夏木マリ
ハク、ニギハヤミコハクヌシ:入野自由
坊(ぼう)、坊ネズミ:神木隆之介
頭(かしら/緑頭)
湯バード(ゆバード)、ハエドリ
釜爺(かまじい):菅原文太
リン:玉井夕海
父役(ちちやく):上條恒彦
兄役(あにやく):小野武彦
番台蛙(ばんだいかえる):大泉洋
青蛙(あおがえる):我修院達也
▼「沼の底」
銭婆(ぜにーば):夏木マリ
▼霊々(かみがみ)
おしら様:安田顕
河の神(かわのかみ)、河の主(かわのぬし)、腐れ神(くされがみ):はやし、こば
春日様(かすがさま)
牛鬼(うしおに)
オオトリ様
おなま様
お台所さま
石神様(いしがみさま)
一言主様(ひとことぬしさま)
のの様
あんが様
▼その他
カオナシ: 中村彰男
理砂(りさ)
無名:脇田茂、斎藤志郎、山本道子、塚本景子、中村彰男、得丸伸二、山像かおり、香月弥生
浅野雅博、林田一高、山本郁子、目黒未奈、石橋徹郎、椎原克知、片渕忍、鬼頭典子、鍛治直人
助川嘉隆、太刀川亞希、山谷典子、松尾勝久、木津誠之、大野容子、東幸枝、安田顕、佐藤重幸
佐古真弓、添田園子、冨平晶子、増田美奈子、小野香織、山田里奈、高地美和、竹内裕美、奥真紀子
監督
・宮崎駿
脚本
・宮崎駿
キャラクターデザイン
・安藤雅司、高坂希太郎、賀川愛
アニメーション制作
・スタジオジブリ
主題歌
「いつも何度でも」-木村弓
★あらすじ★
10歳の女の子、千尋は、無愛想でちょっとだるそうな、典型的な現代っ子。 両親とともに車で引っ越し先の家へと向かう途中に、いつの間にか迷い込んだ「不思議の町」。町の屋台にあった料理を勝手に食べた両親は、豚に姿をかえられてしまう。ひとりぼっちになってしまった千尋は、「千尋」という名を奪われ「千」と呼ばれながら、生き残るためにその町を支配する強欲な魔女・湯婆婆の下で働き始める。湯屋とは、この日本に棲むいろんな神様やお化けが疲れと傷を癒しに通うお風呂屋さんのこと。そこで、千尋は怪しい神様やお化けに交じって生まれて初めて懸命に働く。ハクや河の神などと出会い、様々な経験とふれあいを重ねるうちに、千尋は徐々に成長していく。何重にも守られて育つ現代の子どもたちが、突然ひとりぼっちになったら?はたして千尋は元の世界に帰れるのか・・・?
💙画像💙
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