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僕の女の子〜星組博多座『ME AND MY GIRL』

金曜日。
夕飯を食べながら、スカステで星組『ME AND MY GIRL』博多座公演のビル=マイティ(水美舞斗)版を見ました。

旦那さまはわたしが何度もミーマイを
観るので、もうすっかり覚えてしまって、先回りしてセリフを言ったりします。ちょっとかわいい💓
そして何度も観てるのに、要所要所で笑ってる。何度観ても楽しいミュージカルってことですよね!

ミーマイで昔から気になってるのが、ビルがサリーを指して言う「僕の女の子」ってセリフです。要するに「オレの彼女」ってことなんだろうけど。
昔の演歌の時代のオッサンたちなら「オレのコレ」とか言って小指を立てたり、「オレの女」って言ったりするところかなぁ。ビルは下町育ちでお品がない設定だから、きっと清く正しく美しい宝塚歌劇にはふさわしくないスラングとか表現があって、それを避けるために謎の「僕の女の子」って言うようにしたのかなぁと、深読みしてたんですが。
よくよく調べてみると『MY GIRL』は「お気に入りの女の子」程度の軽い表現だったみたい。それこそ、総理の言う「タイプなんだ」って感じ?だったらもっと単純に「僕の好きな子」とかでもよかったんじゃないかな。初演当時、このシチュエーションに合う日本語の表現はまだなかったのかしら。

それはさておき。へアフォード邸のホールに飛び込んできたサリー@なこ(舞空瞳)ちゃんは、明るく元気でちょっとやんちゃ。お品が足りない。ビル@マイティ(美水舞斗)に子犬のように懐き、じゃれつく姿がとっても愛らしい。

赤い水玉のワンピースと短い茶髪のカーリーヘアがなこちゃんによくお似合いです。マイティとなこちゃんの「ミーアンドマイガール」のナンバーは、軽やかでかわいくて、

さすがダンスに定評あるお二人。

サリーは出会った誰もが思わず笑顔になってしまうような魅力的な女の子だけど、ここの住人の方々のお眼鏡にはかないません。

お屋敷でビルが叔母さんのマリア@あいこ(小桜ほのか)ちゃんに貴族にふさわしい振る舞いを身に着けるための特訓を受け、莫大な遺産がお目当ての従妹のジャッキー@かりん(極美慎)に迫られたりしている間、マリアは近くのパブで時間をやり過ごします。最初はビルを渡さないと、ジャッキーと張り合ったりしたサリーでしたが、やがてビルが少しずつへアフォード卿の名にふさわしい振る舞いと教養(知識?)を身に着けるのにつれて、自分はビルにふさわしい人間でなく、愛するビルのためには身を引いてランベスに戻るべきだと思い始めます。それは、マリアに脅されたり強制されたわけでもなく、自分で決心したことです。

思いに任せぬ恋は、少女を大人にします。サリーも大人になりました。大人になったサリーは、もう赤い水玉のワンピースではなく、落ち着いたモノトーンのワンピース姿です。駄々っ子のように「別れたくない」とマリアを責め続けるビルを残し、一人へアフォード邸を後にします。

サリーのビルへの健気な愛は、頑なだったジョン卿の心を動かし、勇気を与えました。

ジョン卿はサリーの味方になっただけではなく、何が理由かわからないけれど壁を越えられずにいたマリーへのプロポーズを決意します。

そして、優雅な貴婦人へと生まれ変わったサリーとビル、勇気をもらったジョン卿とマリー、さらにはジャッキーとジェラルド(は、若干野蛮なやり方みたいだけど)の3組のカップルが生まれ、ハッピーエンドを迎えます。

生まれ変わったサリーの凛とした美しさに見とれていると、「人は正しい扱いを受けると、心を動かされがちになるのです」と謎の言葉が耳に飛び込んできます。このセリフも昔から聞くたびに ???!.! となります。どういう意味?
受け入れられるような正しい振舞をすれば、人々も受け入れてもらえるようになるものです、とかってことをいいたいのかなぁ。元の英語では何と言っているのかなぁ。と、頭の中がグルグルします。謎が地球を回らせる??

ともあれ、最初のころの無邪気なサリーと、叶わぬ恋とビルとの別れに思い悩む大人の女性のサリー、ビルの幻想の中のマリー、そして貴婦人に生まれ変わったサリー。それぞれのサリーを、なこちゃんは絶妙に演じ分けています。無邪気なサリーはただひたすら可愛く、大人のサリーはしっとりと切なく。

思いのこもった歌に軽やかなダンス。どのサリーも申し分なく素敵。

こんなサリーを知ってしまったら、これから先、どんなサリーを見ても物足りなくなってしまうじゃないかなと思ったりしました。


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