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かぞく こども 私達の選択 ーゆりさん、ゆいさんの場合ー(後半)


−−以前のインタビューでは親戚まわりに出産のことなどを伝えるのは難しいかな、とおっしゃっていましたが、今はどうですか?

ゆりさん
いとこには伝えています。おそらく親戚の半分程度に対してはカミングアウトしています。
子どもが産まれたことは伝えているのですが、パートナーのことなどはちゃんと言えていない親戚もいます。

ゆいさん
自分の場合は、里帰りしたので親戚達に否応なく知られる状態になりました(笑)。
ご近所さんにも知らず知らずのうちに公開されているような感じです。親戚には会うタイミングで伝えるようにしています。皆、びっくりしながらも平静を装っていそうな印象はありますね。子どもが産まれる前と後で比較して周りの反応は特に変わりません。叔父や叔母は高齢なのでちゃんと理解しているかどうかは分かりませんが・・・。

−−子育て環境はどうですか?どう考えていますか?

ゆいさん
ゆりの出産時は2人で大阪に住んでいて、大阪で子育てをしていたこともあります。
自分的には、今住んでいる高知の方が環境的に素敵だと思っています。自然もあるし、義理の母たちも一緒になって育ててくれるので、幼い子どもにとってみればこういう環境が良いのではないかと思います。
そもそも人があまりいないので、人への迷惑などを特に何も考えずに出かけることができるし、子どもが泣いても平気です。大阪にいるときは夜間の泣き声なども結構気にしていたので・・・。

−−以前のインタビューで、『子どもが徐々に大きくなるに連れて色々な世界を見せたい』という思いがあったかと思うのですが、「教育」に関する考えはお変わりないですか?また、実際に出産してみて意外とこうだったなといったギャップなどはありましたか?

ゆりさん
そうですね。こういう子育てがしたいな、というこれからへの思いは以前とは特に変わっていません。

ゆいさん
今まで、自分たちが同性カップルとして生きる上での不都合は特に感じなかったのですが、子どもができてから色々なことを考えるようになり、様々な面で格差を感じるようになりましたね。
普通に結婚できていれば考えなくてもよいようなことも考えるようになっています。

−−将来へのビジョンは変わっていないとのことですが、大切にしていること、心がけていることなどはありますか?

ゆいさん
やっぱりゆりが産んだ子どもはゆりに懐いていたり、ゆりファーストになっていたりしている部分があって・・・自分も同様にそうなっていくのだとは思うのですが(笑)。でも自分が産んだ子どもがメインにならないように心がけています。時間帯によって見る子どもをチェンジしたりとかして、なるべくどちらかに偏っていかないようにしようと思っています。

−−なるほど。2人の関係性においてはどうですか?

ゆりさん
子育てしていると衝突が増えますね!結構バチバチとしてしまうことが増えて、喧嘩が増えた印象があるのですが、お互いに思っていることをちゃんと話す、伝える時間は作るようにしています。
ちゃんと対話の時間を作って、言いたいことを溜めないように、問題を逐一解決するように、疑問を疑問のままにしないようにしています。

−−喧嘩が増えましたか!(笑)ちなみに最近喧嘩したトピックは何ですか?

ゆいさん
例えば昨日だと・・・かぞく4人で一緒に時間を決めて出掛けようとしていたのですが、決めた時間までに準備が間に合わなかったんですね。でも先にゆりが準備を終わらせて車で子どもを遊ばせていたから、なんで手伝ってくれないの?って怒ってしまいました(笑)。
自分にしてみたら準備の手伝いをして欲しかったので喧嘩になってしまいましたね。

−−例えば自分たちが別れる・別居するということになった際に子どもはどうするか、とかそういった話はされていますか?

ゆいさん
今までそういう話はしたことないですね・・・そうなったらそうなったで、そういった話をしたらよいと思っています。子ども2人ともに対して同じように愛情があるし、自分が産んだ子どもだから自分の手元に置いておきたいと言った気持ちではないです、かぞくなので。

−−お2人とも産休中とのことですが、急に2人で共有する時間が増えて変わったことはありますか?

ゆりさん
ゆいが産休に入るまでは1人で子どもの面倒を見たりかぞくのことをしていて、自分は専業主婦のようになっていました。
でもゆいが産休に入ってからは2人で子どもを見られるってとても楽だな、と思うようになりました。
地域の支援センターのママ友からも「女2人で子どもを見られるってめちゃラッキーだね」とか「羨ましいな」と言われますね。自分にとってはメリットしか感じないです。

ゆいさん
産休までは出勤時間などでも自分1人の時間が作れていたので、産休に入って自分1人の時間が取りにくい部分はあると思います。でも、『子どもと過ごす時間』というまた違う時間の過ごし方ができるようになったことは嬉しいことだと思いますね。

−−以前、「子どもへ自らの出自を伝えていきたいと思っている」とおっしゃっていましたが、お子さんへの伝え方は何か考えていらっしゃいますか?

ゆりさん
実は妊娠中に絵本を作成していまして、これを読み聞かせて子どもに伝えようと思っています。最初の読者が自分の子どもになる予定です。
これは最近出た案なのですが、義理の母が保育士をしていてイラストがとても上手なので、義理の母にイラストを書いてもらって、自分が文章を考える予定です。
子どもの成長において適切な時期に、この絵本を読み聞かせて伝えようと思っています。

−−最近、世間がざわざわするようなニュースなども多く、まだまだ日本の社会は未熟で変えていく必要があると感じる部分も多いと思いますが、何を思いますか?

ゆいさん
同性婚ができたら、制度的にも環境的にもカミングアウトする土壌ができて、暮らしやすくなるのではと思っています。また、自分の子ども達はいわゆる日本人と外国人のハーフという形になるのですが、近所で散歩中などに不躾に「この子ハーフ?」と聞かれることもあります。
そういったエピソードも含め、自分達がどういう対応をしていくべきか考える必要があると感じますし、社会全体も当事者の目線に立った対応ができるように変わっていけばいいなと思っています。

ゆりさん
自分も同じように感じています。同性婚もそうですし、制度的にも整って欲しいと思います。

−−子どもを持ちたいなと思っている同性カップルへのメッセージはありますか?

ゆりさん
「同性カップルで子育てなんて不可能だ」とか「ドラマだけの話でしょ?」と思っている方も多いかもしれませんが、夢は諦めないで欲しいです。私たちのように同性同士で子どもを持ち、子どもを育てることは可能なので、絶対に夢は諦めないで欲しいと思います。

ゆいさん
そもそも子どもを持つということに対してハードルが高いと思っている方が多いのではないかと思いますが、意外とやってみたらできた!みたいな感覚があるので、トライしてみても良いのではと思います。
子どもを持ちたいと考えているのであれば、同性愛・異性愛に関わらず子どもを持つことに対してチャレンジして欲しいです。
また、こういった同性同士の子育ての情報にアクセスできる環境にあるのであればなおさらよいと思いますし、こどまっぷさんの活動があって有難いと思っています。

−−では最後に、お2人にとって『かぞく』とはなんですか?

ゆりさん
かぞくは、新しい価値観を与えてくれるもの。
今まで自分の人生を自分ファーストにしてきた部分もありますが、自分の命を投げても守りたい存在ができたと思っています。子どもが成長する中に自身も成長させてもらえて、良い刺激をもらって、価値観を変えてくれる、そんな素晴らしい存在です。

ゆいさん
かぞくは、安心できる存在であり、安心できる場所。
1人で生きていくこともでき、1人で生きていった方が煩わしいこともないのだと思うけれど、一緒に成長することができるし、何よりも将来や少し先の未来を楽しみにできるような存在です。

−−他に伝えたいことがあれば教えて下さい。

ゆりさん
『同性カップルの子育て』をトピックとしたブログを書いています。
同性同士で子どもを持つことが不可能だと思っている方が多いということを話しましたが、その原因が情報不足である点が否めないと思っています。実は情報を探せば、同性同士で子どもを持つことは可能ということを知れるのではないか、と思って更新を続けています。
同性同士で付き合っていて、子どもを持ちたいと思っている方がいらっしゃるのであれば是非私たちのブログを覗いてもらえると嬉しいですし、ロールモデルにしてもらえたら嬉しいです。

次の夢は海外移住!と高らかに宣言するお2人。
2人が1人ずつ子どもを持ち、4人かぞくとなられたあとも尚、理想のかぞくへと2人の夢を次々と実現していかれる姿はとても輝かしく、また、型にはまらず自分たちの道を切り開いていく姿は頼もしくもあり、目が離せません。
海外移住の際にもまた是非、お話を聞かせて下さい!


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ラブメイクスファミリー編集部
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