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ラストマイル雑感想

考察とかは頭の良い人にお任せします。
これは自分が感じたことのメモ。
※当然ネタバレあり
※私はアンナチュラル、MIU404履修済みでMIU404にかなり狂わされた人間

■赤のエレナ、グレーの孔
赤はエレナの象徴。絶対意味がある。どこかで言及してたら教えてほしい。強い感情?怒り?
孔は黒でも白でもない曖昧なグレー。
ダサい感じにしたいのに何でも着こなせてしまってスタッフ陣が困ったらしい岡田将生。顔が美しすぎるし色気ありすぎる。
佐野親子が荷台側から映るカットがあって、そのときはお父さんが白で息子が赤なんだよね。絶対意味がある。
誇りを持って誠心誠意「お客様のために」仕事をしているお父さん。折り合いややりがい、腹落ちしてない息子。やっぱり、怒りの赤?

■すし詰めのバスとタクシー
モノレールの線路のアップ。モノレールで運ばれていくエレナ。
ぎゅうぎゅうのバス、ブルーパスを受け取るために長蛇の列をなす派遣社員たち。
を、横目にタクシーで乗り付けてホワイトパスでスマートに出社するエレナの対比。
靴脱いでコーヒー片手に待ってる孔かっこいい(5秒に1回岡田将生かっこいいと言ってしまう病気にかかってます)

■刈谷さんと毛利さん
刈谷さん相変わらずで嬉しい。
事なかれ主義っぽくてやる気もいまいちなさそうな毛利さんが面倒みてるのがかなり良い。足長コンビ。画になる。
毛利さんが、エレナが「やまさき」と濁らなかったことに気がつくところ好きすぎ。

■「伊吹藍」
後世に語り継ぐべき最高の劇伴「伊吹藍」アレンジverを劇場で聞けて感無量です。
ゾクゾクとワクワク。
鍵を受け取る志摩、先頭を突っ走っていく伊吹。
変わらず二人で、間に合わせるために2024年も生きて突っ走ってることが嬉しい。
志摩はすっかり伊吹の扱いに慣れているけど星野源が「やっぱり伊吹うるせえな」となってたのかなり良い(オフィシャルブックより)
伊吹の野生の勘を言及し、通訳する志摩ちゃん最高。勝俣くんに進言しようがない(うろ覚え)と言われてるのも良い。勝俣くん。伊吹が声をかけて「スイッチ」を押せた人。まっすぐ生きて、やり直してる。

■エレナと孔
欲もなく、仕事にときめきは求めてなくて、現状維持で良い孔。淡々として冷めていて、エレナの指示のもと奔走してるけどどこか虚で、無。
そんな孔が、エレナが山崎のデータを抹消したと気付いたときの表情!!
無だった孔の表情に、色がつく感じ。
岡田将生天才。最高。あの1カットのために何回でも見たいまである。
エレナと孔のヒリヒリはらはらドキドキするやり取り。
二人とも偽りの経歴を打ち明けて、危機を乗り越えて距離が近くなる二人、孔が「エレナさん」と呼ぶの良い〜
エレナが自分で買った、欲しかったもの。もう一度手に入れようとしているもの。「白い手帳」。
もしかして、白って、本当に欲しいものを手にしている人のことかな。

■0
稼働率を0にしたかった。
一度0になってもベルトコンベアは止まらない。
飛び降りる直前の、期待を、希望を抱いた?ような微笑みと、動き出したベルトコンベアを見たときの光の消えた瞳。
人が一人落ちても、会社は、社会は、止まらない。誰も止めない。
末端の人間が、板挟みにされた人間が声を上げても何も変わらない。
力を持っている人が、無理矢理にでも「せーの」で止めないと変わらない。
誰も、何もしなかった。
エレナが一歩踏み出して、エレナは解雇される。鍵は孔に渡される。

■UDIラボ
実家のような安心感。
「来る!」の中堂さんかわいい。アンナチュラル勢の出番少ないな?と思ってたけど終盤、核心にふれるのはご遺体と向き合う彼ら。
ミコトの言葉がまっすぐでまぶしい。
そんな根性なら必要ない。
でも、筧まりかは真相を知るために、ベルトコンベアを止めるために、罪を贖うために、スイッチを押した。
筧まりかの思惑、意図とは違うはずなんだけど焼身自殺って、何かを強く訴え、抗議したい人が実行する方法だと、綾野剛が出演していた「楽園」を見たときにいろいろ調べて読みました。

■安眠
アンナチュラルでは食べることは生きること、だったけどラストマイルは眠ることは生きること…のように感じ取った
職場に持ち込んだテントで眠る(眠れてたのかな。眠れてたとしても職場で眠ることはどう考えても健全ではない)エレナが、最後は警察車両で爆睡している。眠れてよかったね。
エレナが自らラストマイル、佐野親子に商品を渡し、お客様の手元に渡る。子が親を想って買ったプレゼント。人の喜ぶ顔。

■佐野親子
本当にこの親子良すぎる。裏の主人公。
これは人様の考察を読んで確かに〜!!となったんだけど息子はまだ配達始めたばかりで松本家とは認識がなく不審者扱いされるけど、お父さんは顔見知りで「小さなお嬢ちゃんがいるところ」と届けた先も分かるくらいに交流があって、顔を見たら「羊急便」さんだと分かる。
機械的で、合理的で、バーコードとPC、ITで管理された冷えきった倉庫と、配達員さんの人のぬくもりを感じる仕事ぶり。
どちらがいいとか悪いとかはない、どちらも必要なもの。

■五十嵐とエレナ
野木さんが絶賛してたけど五十嵐とエレナが会話するときの画角本当にゾクゾクした。
山崎と同じように寝転ぶ五十嵐。
何も感じなかったはずがない、でも、何もしなかった。大きなものに飲まれるだけ。レールに乗るだけ。

■渡された鍵
孔に「全部」が欲しいと話したエレナは、もう一度白い手帳、本当に欲しいものを手にするために孔に鍵を渡して去っていく。
傍観者だった孔に、容赦なく突きつけられる爆弾。
孔はどうする?五十嵐はどうする?
ここで終わるのでどうしたのかなんて知る由もなくて、我々にも同じことが問われている。
あなたならどうする?
重すぎるよ。

エレナと孔はただ目の前の事件に翻弄されて駆け抜けていってるから、あんまり人間味を感じないのかもしれない。
でもエレナのたくさんの指輪は自分を守る武装だし、ロッカーを見たときに溢れた涙も叫びも、ようやく眠れた彼女はきちんと人間だったと思うな。
孔はもう、無関係の顔をできなくなった。
真実を知り、爆弾の在り処も知っている。
赤でも黒でも白でもないグレーの孔は、どうするのか。最後の表情天才すぎる。岡田将生かっこいい。

以上、ザクッと感想。


■追記
台風が近づく8月29日の九州。
私が28日にAmazonで「ポチッた」荷物の配達予定日は31日だった。いつもは、対面で受け取るのが面倒くさいのでAmazonロッカーで受け取るけれど、ポチッた荷物はアロマなので危険物?扱いでロッカー受取ができなかった。
この時点で、台風きてるけど大丈夫かな、まあ遅れて届くか、と思っていた。
そうしたら「29日に配達します」と通知がきて、職場からの自宅待機指示で自宅にいたのでちょうど受け取れるタイミングだった。
置き配にしてたけど、家のチャイムが鳴って、宅配のおじさんが「今日は雨風強いので手渡しで」と言って届けてくれた。
そそくさと去っていくおじさんの背中に、「ありがとうございます!」と声をかけた。
佐野親子の姿が重なる。

私の、別に急いでもなかった「want」のせいでこの台風が接近する中配達させてしまった……という気持ちになった。
でも、「want」は罪なのか?
だれかの「want」がなければ経済は回らない。あの配達のおじさんだって荷物がなければ仕事がなくなってしまう。私がほしいと思ったアロマテラピー検定の教材も、たくさんの人が買わなければ成り立たなくなる。
大きな社会の問題に、一個人は何をしたらいいのだろう。
答えは分からないけれど、当たり前のことをあたりまえに、対面する人のことを考える気持ち持って生活するしかないんじゃないか、と今は思う。
再配達したならその時間に必ずいるとか、ゴミの分別はちゃんとするとか、不必要に、大量にモノを買わないとか、お願いします、ありがとうを言うとか、自分のものさしだけで相手を観ないとか。
なんかそういうのの積み重ねかなって、思った昼下がりでした。


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