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角川映画祭「犬神家の一族」
ただいまシネリーブル梅田で開催中の「角川映画祭」。
今回の目玉作品である「犬神家の一族」、ようやく観に行けました!
とは言っても、その目玉である"4Kリマスター版”は、上映劇場が限られており、残念ながらシネリーブル梅田は"2K”でしたが・・・。
ですが、角川映画の名作を映画館で観られる貴重な体験。
DVD鑑賞とは、やっぱり違うな〜♪
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美麗で鮮やかな色彩
映画館で見応えのあった点といえば、やっぱり色彩。
市川崑監督の「金田一シリーズ」は、色彩表現の見事さが挙げられますが、真っ暗な劇場で鑑賞すると、より一層コントラストが際立ちます。
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たとえば、この臨終のシーン。草笛光子さんのインタビューによると、2日間かけて撮影されたそうです。
その理由が「バックの金襖の色が本物に見えない。塗り替えて、明日また撮る。」
この監督の一言からも、色彩への並々ならぬこだわりが感じられますね〜。
金屏風などの色彩だけでなく、白黒のコントラストも、真っ暗な映画館ではより鮮明な見え方に。
飛び散る血しぶきの赤も、ビビッドで美しい!
市川監督が追い求めた“色”を感じるなら、やはり劇場へ足を運びたいところです。
着物、そして衣摺れの音
市川×金田一で、特に重要なカギとなるのが「着物」です。
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時には、帯が凶器となったり、着物の裾が遺体発見の手がかりになったり。
そういった特徴的な使われ方だけでなく、年齢や性格、心情までもが、着物のデザインや着こなしで表現されています。
で、色彩の鮮やかさの話は前述しましたので、ここでは2点目として「衣摺れ」に言及してみます。
シュッ!!!
ていう、あの衣摺れ(音)です。
冒頭、坂口良子演じる旅館の女中が、襖に洋服の裾を挟んで、シュッと引き抜くシーンがあります。
こうした衣摺れ、劇場の音響ではよりハッキリと耳に残るんですよね〜。
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(ネタバレになりますが・・・)この作品では犯行に着物の帯締めが使われていたりもするので、着物の衣摺れをシアターならではの音響で体感するのもいいかもしれません。
こうしたメタファーとしての着物や衣摺れは、金田一シリーズの中でも傑作と名高い、次作の「悪魔の手毬唄」でさらに昇華。犬神家と合わせて、改めてシリーズを見直したくなりました。
・・・ってなわけで、今回「犬神家の一族」の映画鑑賞を、存分に味わった次第です!!
ちなみに「犬神家の一族」は当時、先進的な「メディアミックス」の宣伝を採用したことで、かなり功を奏し、この「犬神家〜」もヒットしたとか。
角川映画祭パンフレットに、塚本晋也監督が「犬神家〜」公開当時を思い出し、有名な「二本足ニョキ」のビジュアルを用いたポスターについて、こう語っています。
そのインパクトが当時の高校生からすると、「日本初の超カッチョいい、すごく観たくなるポスターだよ」的なものだったんですね。
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このポスターが貼られていたら・・・そりゃ塚本少年ならずとも沸き立つでしょうなぁ〜。
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最後に、「犬神家の一族」DVD-BOX付録の『決定稿』における市川監督の走り書きを記しておきます。
昨日の自分を超える。
人を幸福にする映画を。
映画的な映画を。
オリジナルの面白さを、そのままに。
幻想 妖美 怪奇
巧緻なトリック
親と子の願望と愛憎
それを殺人の美学と交錯させる。
自分の最後の作品に出会えた思いた。
この見事な横溝さんのつくりものを、
どこまで本当らしく見せるか
▼角川映画祭、シネリーブル梅田は1月13日まで。
https://cinemakadokawa.jp/kadokawa-45/theater04.html