【香港-7】※閉店 香港・Tsubasa Project~完成されたアイドル達~(第26回)


異国の地でライブを楽しもう!

 
ここは、正確に言うと「アイドルカフェ」なので、メイドカフェとはまた異なるコンセプトがありました。何より、香港という海外の地でアイドル達のライブが満喫できる稀有な存在なので、足を運ばずにいられませんでした。私はアイドルオタクではありませんが、十二分に満足。ましてやその道に詳しいオタクの皆様にはきっとたまらないお店だったなので、閉店したとはいえ是非紹介したいと思います。

最寄りは油麻地駅のA1出口。先に紹介した『Dreamy Home』がある恆隆大廈の真向かいのビル、『高氏大廈』がその舞台でした。
夜7時過ぎに来店しましたが、ちょうど同じエレベーターに同じ目的地の同志たちが複数人いらっしゃり、あいにく店舗前の写真を撮れませんでした。

入店すると同時にちょっとした違和感を抱きました。他の店と比べて内装が質素なのです。また、メニュー表らしきものが見当たりません。
通されたはいいものの(さてどうしたものか…)と思いあぐねていると、ほどなくして一人の女の子が私のテーブルへとやって来ました。やや恐る恐る、という感じでしたが、後に「日本人とお店で話すのは初めて」とのことで少し緊張気味だったとか。あるいは私の外見に問題があったのかもしれませんが(笑)

そんなことはさておき。「か、可愛い…」目の前に現れた女の子はあまりに可憐で、思わず絶句しそうになりました。学生時代に同じクラスに居たら間違いなく争奪戦が繰り広げられるでありましょう。
さらに言うと、カタコト具合も抜群。「身長150cm、この店で一番小さい。でも一番年上なの」…とのこと。正直に言わせてもらいましょう。様々な店を渡り歩いてきた私も、ここまでのレベルの子に出会ったことはありません。

気になるのはお店の形態。どうやらメイドカフェという分類ではないようです。「私たちは地下アイドルなの。Tsubasa Projectっていうんです」な、なるほど。
作詞・作曲もメンバーが手掛ける本格派。さらにその中でもグループが分かれ、それぞれ「Team 〇」というAKBグループっぽい名称が付いているという。接客してくれた子は、チームの一つでセンターを務めているよう。毎晩10時からお店でライブを開催しているらしく、日本でも過去2回ライブを行ったことがあるとのこと。
しかし完成度が高すぎやしませんかね…。接客してくれた彼女以外のメンバーも美少女揃い。我が国・日本の地下アイドルにはてんで詳しくはないのですが、仮に日本に本格進出したらたちまち話題を呼びそうに思えました。

知的な話とプロ意識の高さ


「ライブ観ていってね!」と言われ、一も二もなくOKした私。ライブまであと3時間あり、(間が持つだろうか…)と一瞬不安になりましたが、全くの杞憂でございました。
女神様が「今日は私のファンがいないから暇なんだ♪」と言い、ほぼ付きっきりで会話してくれたのです(異邦人に気を遣ってくれたかもしれません。申し訳ない)。何というサービス精神の高さ、距離の近さ。世の地下アイドルとはこういった感じなんでしょうか?

話はサブカルから香港の話にまで及びました。日本語検定はN5(比較的簡単なレベル)でありながら、時にはGoogle翻訳を使い一生懸命話を続けてくれる…プロだ。揚げ物とドリンクを注文し、飲食しながら話します。

中国・広東省のとある街が故郷で、祖父・祖母が日本出身という女神様は、アニメ好きになったきっかけが「ドラゴンボール」だとか。やはりこういったお店で働く子の例に漏れず日本文化好きで、砂金は「鬼滅の刃」「ラブライブ!」「ソードアートオンライン」がお気に入りだとか。
「リゼロ」のレムのコスプレをしている写真を見せてもらうと、童顔なのもあってか物凄く似合っています。可愛いしスレンダーなのに、体重を気にする発言も。大きなお世話だと思うが、健康のためにも無理なダイエットをしないよう伝えておきました。

歴史好きという意外な一面も見せ、私が香港歴史博物館を訪れたものの界隈でデモが頻発していたため休館だったことを伝えると「私、そこのVIP会員だよ!」とのこと。日本の博物館も好きだそうで、教養の高さが垣間見えます。
少なくとも目の前にいる、だらしがない顔の男よりはよほど賢そう(笑)。

基本的に話し上手なのもあり、私は「ふむふむ」と相槌を打ちデレデレしていました。が、一つだけ女神様に物申したことがあります。
「日本の物価は高いよ~」と嘆いていたことに対してです。「いやいや、香港の方が高いと思うよ?」「高くないよ~!」 この認識の差は何でしょうか。確かにMTR(香港の地下鉄)など公共交通の料金などは日本を下回っていますが、宿泊代や飲食代を見る限りでは香港の方が物価が高い気がするんですけどね…?
ペンギン好きだという女神様には、ぜひとも怯まずに日本の冬なども満喫してほしいと思います。もっとも、彼女にとって日本の冬は「信じられない寒さだよ!」ということなので厳しいかもしれないですが…。私の故郷・北海道を訪れて頂くのは、一層ハードルが高そうです。

ペンライトを振りアイドルオタクの一員へ


ライブが開幕するまでずっと話してくれた子、また近くにいた日本語の分かるオタクさんのおかげで、ライブまでの3時間は本当にあっという間でした。いつしか客席は満員となっており、時刻は22時過ぎ。いよいよメインイベントの開幕です。
ステージに立ったのは彼女を含めて4人お客さん全員にペンライトが配られます一人一人がメンバーカラーを持っているのは、日本のアイドルグループにそっくりです。

曲は全て日本の楽曲。世代が一回り違うので歌っている曲が分からないのが残念。歳を取りましたね。それにしても歌唱力は素晴らしく高かったです。特に女神様が一番上手いと思われました。
やはり一番年上(には見えないのですが)、しっかりした立ち振る舞いを魅せてくれます。コアなアイドルオタク達の歓声に包まれ、5曲ほど歌われたライブイベントはあっという間に終わりました。

「今日はありがとう! 勉強になりました」と言う女神様。「こちらこそありがとう」感謝の意味も込め、ツーショットのチェキ(宿題[翌日以降渡し]40香港ドル、通常[即日渡し]30香港ドル)をお願いします。日本語の記述はたどたどしさがありますがそこも良い。無茶苦茶丁寧にチェキをペイントしてくれ感激致しました。
❝プロの仕事❞とは何かを教えてくれた、可憐で素敵な女の子と出会えた一日でした。

地下アイドルのライブが楽しめる珍しいお店『Tsubasa Project』。日によって異なるチームの公演が見られました。
なお、かの女の子はその後別のグループに移籍しアイドルとして活躍しましたが、2024年に解散してしまいました。解散直前のライブでの特典会で、もちろん私のことなど覚えていなかったですが、少しだけ彼女とお話しできたのが幸いです。彼女の幸せを心より祈願します。


★開店当時のお店の情報★

アクセス:MTR油麻地駅A1出口徒歩2分
住所:旺角彌敦道577A號 高氏大樓9樓B室
営業時間:平日18時~22時30分 土曜・休日15時~22時30分


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