天皇とは何か?―試験的私見④


日本の国体とは何か?

昭和天皇は、米英に降服する決意をした理由として、
「このままでは国民がどんどん殺されてゆく。民の安寧が先祖の神々から託された天皇家の使命であるのに、このままでは神々にあはせる顔が無いと思った」ことを上げてゐました。

敗戦前の日本では、天皇は、国体の象徴とも言へる存在でしたが、その国体とは、天皇であることの役割の中では、「天皇が安寧を約束した民の集合体」だったわけです。

昭和天皇にとって、
日本の国体とは、天皇だけでもなく、人民だけでも無かった。
神々に民の安寧を祈る天皇をいただくことで、その祈り(=神道の祈り)によって統括された、或る種の宗教的共同体となってゐるのが、日本の国体だと昭和天皇には理解されてゐたのです。

わたしも、日本の国体とは、そんなものだったと思ひます。
つまり、或る特定の現象ではなく、事物や存在を生み出すダイナミズム(可能態デュナミス)だったのです。


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