民は免れて恥無し
政治家の不祥事を嘆く庶民の声。
さういふのを聞くと、わたしは
免れて恥無し
といふことばを思ひだしてしまひます。
孔子曰く、之を導くに政を以てし、之を斉うるに刑を以てすれば、民免れて恥無し。之を導くに德を以てし、之を斉うるに礼を以てすれば、恥有りて且つ格る、と。
(政令や刑罰によって人民を統制しようとすると、人民は法に書いてなければ何をやってもいいと思ひ、罰を受けなれば自分は正しく生きてゐると思ふやうになる)
政治家がわるいこと、つまり法律で罰せられるやうなことをしたことがマスコミに報じられると大衆が大騒ぎするのは、大衆が刑罰を怖れてやれないでゐたことを政治家がこっそりやってゐたからだと思ひます。
芸能セレブの不倫に腹を立てるのと似てる。
他人の不倫に腹を立てるには、「うまくやりやがって」といふ嫉妬羨望の気持ちが無いと無理です。自分の伴侶とかいった関係者が当事者でもないのに、他人の性生活に関心を寄せるとしたら、(覗き趣味でなければ)嫉妬羨望だらうと思ひます。
それ以外のことで関心を引くとしたら、不倫をする夫婦がどんどん増えてゐるといふ事態だらうと思ひます。
今の日本は、一夫一妻制を基盤にした家族が国家構成の最小単位となってゐるから、「セックスは夫婦に限定する」「貞操」「純潔」「性と愛の不可分」といったロマンチック・ラブ・イデオロギーが揺らぐと国が危ふいと心配したり、やっと恋愛を絆とした男女関係が結婚と夫婦といふ(国家による)擬製を打ち壊す日が来たと喜んだり、まあ、いろいろと反応は違ふけど、社会の問題となって多くの人が関心を寄せる。
政治家の不祥事の場合でも、それが、多くの人が看過できないやうな社会の問題なら、それをどうするかを国民が考へるべきだと思ひます。
特権階級に対する大衆的な嫉妬羨望による批難でないなら、社会問題であるなら、それならそれは国民自身の問題といふことなる。
なんたって民主主義の日本なんだから。
国民主権。
主権者sovereignって君主、王もしくは女王。究極のruler(支配者)と英語の辞書には書いてあった。
日本では国民ひとりひとりが王様女王様です、アメリカ人が書いた日本の民主憲法によると。
王様女王様って国情を嘆くだけど自分は何もしない、ってのが仕事ではないはず。
今、この国の王様女王様はそれが仕事になってるみたいですが。
国のことをほったらかして3Sしてたらギロチンに掛けられて、革命が起きる。
わたしはさうなってもいいと思ってますし、さうなってほしいくらゐです。でも、わたし以外は誰もがそれはいかんと思ってゐるはず。
だとすると、国政に参加して、国の在り方をどうするか、自分たちひとりひとりが責任を持って取り組まないといけませんね。
そんな面倒なことは、わたしは、イヤ。
だから、民主主義なんてどうでもいいんです。