うきた【本と言葉がすき】

このよでいちばんすきなのは ほんをよむことねむること

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短編小説「だれかの花」

私の家は都会ではないが田舎の特徴も持ち合わせていない中途半端な地域にあった。団地の一角にあるどこまでも普通の一軒家である。私は生まれたときから都内の大学通うために家を出るまでこの家で育った。家族もごく普通のどこにでもいる家族だと思う。両親と2歳下の弟の4人暮らしで母は穏やかで感情をあらわにすることは少なかった。父も寡黙な人で休日にはレジャー施設に連れて行ってくれたが父自身の趣味というのは本を読むことくらいだ。そんな両親は互いに会話することが少なく惹かれどのように仲を深め結婚に

    • 自然から得ること

      私は自然と人間との関係について学んでいる。 バイオフィリア仮説というものを知っているだろうか。 自然のある場所へ行くと心が安らぐ、不安や悲しい気持ちが取り除かれ、前向きで明るいな気持ちになるといった経験をしたことがある人は多くいるだろう。それを説明することができるものが「人は生まれつき自然を求める」というバイオフィリア仮説である。 そして実際に、 植物を見る、自然の音を聴く、自然のにおいを嗅ぐ、自然光を入れる、など自然の要素を生活に取り入れることでストレスの減少、集中力の

      • ショッキングピンクのおばさん

        また、バイトに落ちた。 3月ごろからの就活は心が痛いもので スーツを着た偉い人たちは並べられた学生たちの中から一番甘くて新鮮でおいしいものを選ぶのだ。 就活に専念するためにアルバイトを辞めていたが貯金が底をつき始めたので新しいバイト先を探すことにした。 就活のトラウマか、面接や履歴書という言葉に鳥肌が立つ。 何とか選んだバイト先に履歴書を持ち面接に訪れた。 面接をしてくれた人は温かった。 就活の偉いスーツの人とは違って私の良いところを探そうとしてくれた。 ただのバイト

        • ×猫派vs犬派  〇猫派and犬派

          前回、「ふとん」というタイトルで猫について語った。 あの投稿を読むとまるで私が猫好きのように思えるが、私は猫は好きだ。 世の中には犬派vs猫派という論争がある。 その論争に参加する際は必ず犬派側で参加する。 昔から親戚のおうちにいるわんちゃんが大好きだった。 人にやさしくて吠える声をきいたことがない。ご飯を食べているときにうっかりなでたりしても怒らないやさしい子だ。 この子の影響で私は永遠の犬派である。 今考えると、幼い私が好きだったのは犬ではなく親戚の優しいわんこだっ

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        短編小説「だれかの花」

          ふとん

          生まれ変わったら何になりたいか。それは猫一択。 田舎の車通りの少ない家で放し飼いされる猫になりたい。 適当な時間に置き、朝ごはんくれと人間の頭の上に尻を乗せて飼い主を起こし、器用な手で水道の水を出し、流れている水を飲むという贅沢をし、水道の閉め方を知らず、水道料金が高くなる原因を作る。 外へ出せと鳴きネズミや小鳥を追っかける。はれた気持ちのいい日には道路の真ん中で日向ぼっこをする。 しかし車の音には敏感だ。道路を渡るときに飛び出したりはしないし車が来たら遠くへ行く。

          人生の矛と盾

          春の終わりそうな気温に毎朝、腰を抜かし、怯えをなす今日この頃。。。 季節の変わり目があやふやになり、春夏秋冬、どの季節が好きかという質問が通用しなくなりそうで将来に不安をしかない。 もしも、10年後に春や秋がなくなろうと、私の「好きな季節は?」という質問の答えは変わらない。冬だ。 まず、クリスマスにお正月、節分などに加え私の誕生日がある。 誕生日ケーキにクリスマスケーキ、おまめ、お餅、お雑煮、なぜかケンタッキー、、、私の食い意地が存分に発揮される冬は幸せな季節である。

          味覚の過信

          宮崎辛ラーメンというものを食べた。宮崎に行き有名店に朝から並んで食べるような辛ラーメンじゃなくて一番近くのスーパー(ウェルシア)で買った袋麺だ。辛さは5段階中の4。 夕日を見ながらるんるんでスーパーにラーメンを買いに行き、辛ラーメンを買って帰ってきた。いざ食べようと1週間以上前から冷蔵庫の上の野菜入れに忘れ去られていたしなびたニンジンをいちょう切りにし、長ネギを千切りにしたやつを冷凍したやつを容器から引っぺがす。乾麺を入れ3分間(計るのが面倒なので適当時間)立つとおいしい辛

          文章の葛藤

          電車では人々は皆、スマホ派or読書派or睡眠派 に分別される。私はだいたいの場合読書派に所属していることが多いが果たしてこの三大派閥におけるナンバーワンはいずれであろうか。いつの日か、暇を持て余した際に、こっそり調査を行いたいと思う。その時はこれを読んでいる人もぜひ協力してもらいたい。 そんな三大派閥の一つである読書派であるが、世の中には「電車で読んでいけない本」というものが存在する。その本を電車で読んでしまった日には私の周囲1mのパーソナルスペースを図らずとも作ることにな

          「怠惰の美徳」中間感想文・前科について

          怠惰の美徳を読んで気になった部分があるのでそこについて忘れないうちに 人の前科についてのお話である。  戦争を体験していない私でも創造に難くないことであるが戦時中はあらゆるものが不足していた。食料や衣服、住む場所など国の決める法、正しいことだけをしていては自分が生きていくことができない状況にあった。  そのような状況に置かれた人は自分の命や家族の命を守るために時に法を犯すこともあっただろう。闇市で食料を買い求めたり盗むことや奪うこともあったかもしれない。現代において法を

          「怠惰の美徳」中間感想文・前科について

          現実逃避

          この世の中、生きていたらうれしいこともあるけれど悲しいこともある いつもの生活から逃げたいと思ったり、朝が来ることが嫌だったり。 夜に眠っている何も考えないときが一番幸せだと思うこともある。 そんなときは現実逃避をする。 そうはいっても私たちには常にやらなければいけないことが迫ってくる。 仕事に課題、家事や育児、やらなければそれらが溜まり社会に取り残されてしまうように感じる。 だから行動は変えずに現実逃避をする。変えるのは考え方。 たとえば 徒歩でスーパーに向かうとき

          大人の読書感想文「世界はうつくしいと」長田弘

          詩、それは、 むずかしいもの。 センスが必要なもの。 私には読めないもの。書けないもの。 そんな固定概念を吹き飛ばしてくれたのは長田弘さんである。 万葉集を読む時はこう考える。「この部分が○○用法で△△だからつまりこの句は~~ということを表しているのだ」と。 絵画を見るときはこう考える。「この部分は○○の象徴で△△という時代の~~を・・・した感情を表現しているのだ」と。 音楽を聴くときはこう考える。「この部分は○○という楽器を△△していて~が・・・で素晴らしい」と。 こ

          大人の読書感想文「世界はうつくしいと」長田弘

          大人の読書感想文「海辺のカフカ」

          想像力とは厄介なものだ。 森羅万象を多彩に色づけることができる一方で憎しみも絶望も恨みも生み出す。 冷酷な自然に身を置く多くの動物はたとえ感情を持っていようとも想像力は持たないだろう。自身以外の物事によりつけられた傷は傷でしかない。えぐれた皮膚もそこから滴る血もあらゆる元素の集積でしかない。 人の身体は動物のそれとは異なる。脳は厄介なつながりを持ち過去を記憶し今を観察し未来を想像することができる。中途半端な想像力を持つ私たちはそれゆえに個人に都合の良い未来を想像する。人が

          大人の読書感想文「海辺のカフカ」

          朝の三日月

          私はパン屋さんでアルバイトをしています。 チェーン店ではなくて地域のパン屋さんという雰囲気の 素敵なバイト先です。 バイトのある日はだいたい4時に起きて5時にバイトが始まります。 真夏は4時半には明るくなっていたけれど 9月に入って私の出勤時間は暗い時間になりました。 早い時間のバイトを始めて気が付いたことですが 早朝の空気というのは東京でも人の気配が少なく、 私のことを拒んでいるように感じます。 バイトに行く道は1度だけ曲がるのですが曲がる前の道は目の前に 月が見え

          大人の漫画感想文「凪のお暇」

          あらすじこのような感じで悪と戦うわけでもなく鬼に食われるわけでもなくスポーツに青春をささげるでもない物語です。 選んだ理由この漫画は、途中までアプリで読んで最後の3巻をTSUTAYAで借りて読んだ。 日常系?(っていうのかな?漫画詳しくないからジャンル分けが分からない)ってなんだかほのぼのして自分の生活に与える影響が少ないだろうと思って読むことを避けていたのだけれど。つまり私は漫画を人生の教訓を得ること、自分の堕落した生活に喝を入れること、を目的に呼んでいたのだけれど。こ

          大人の漫画感想文「凪のお暇」

          大人の読書感想文「シュガータイム」

          あらすじ三週間ほど前から、私は奇妙な日記をつけ始めた。春の訪れとともにはじまり、秋の淡い陽射しの中で終わった、私たちのシュガータイム。青春最後の日々を流れる透明な時間を描く、芥川賞作家の初めての長編小説。                            文庫本背面より 一人の大学生が奇妙な食欲と彼女の周囲に起こるありきたりな「変化」。 その流れが誠実に描写し、過剰なほど美しく描かれている。 選んだ理由私は好きな作家さんは?という質問に「小川洋子さん」と即答できる。

          大人の読書感想文「シュガータイム」

          「借りぐらしのアリエッティ」久しぶりに見たので感想書いてみる

          「借りぐらしのアリエッティ」を通して見て最初に思うことは緑の美しさである。 アリエッティの登場シーン、翔が寝転ぶ庭、二階から見える庭、アリエッティの部屋にある花々、、、 どの場面を切り取っても青々とした緑と色とりどりの花々の美しさが潜んでいる。 実際、緑は美しいものばかりではないと思う。生き物の死骸が転がっていることもあれば枯れた花、草もある。虫食いでみじめな姿になった葉も。 そのみじめさに生き物の神秘が隠されていると私は思う。 しかし、アリエッティで描かれる緑の美しさは

          「借りぐらしのアリエッティ」久しぶりに見たので感想書いてみる