短編小説「だれかの花」
私の家は都会ではないが田舎の特徴も持ち合わせていない中途半端な地域にあった。団地の一角にあるどこまでも普通の一軒家である。私は生まれたときから都内の大学通うために家を出るまでこの家で育った。家族もごく普通のどこにでもいる家族だと思う。両親と2歳下の弟の4人暮らしで母は穏やかで感情をあらわにすることは少なかった。父も寡黙な人で休日にはレジャー施設に連れて行ってくれたが父自身の趣味というのは本を読むことくらいだ。そんな両親は互いに会話することが少なく惹かれどのように仲を深め結婚に