見出し画像

お気に入りの曲を聴きながら読書する秋『ノートル=ダム・ド・パリ』



NHKの番組「100分で名著」はサクッと観られる番組。
短時間で名著の概説を知ることができ、見逃したものをオンデマンドでも観ることができる。
フランス文学者・鹿島茂さんの出演回に感銘を受けた事もあって、
100分で名著ブックス/デジタルで『ノートル=ダム・ド・パリ、大聖堂物語』
を読んだ。

パリの風景がまるで映像のように描かれていることが、鹿島茂さんの解説でよくわかった。

また、第一編に描かれるパリの『奇跡御殿』に暮らす人々の描写についての鹿島茂さんの解説が興味深い。

 ユゴーは中世のパリに潜在的に存在したこうした下層民衆の強烈なパワーをなんとしても作品に取り入れ、それに現代的な意味を与えたいと考えていたようです。階層の底辺に潜む人間の本能的な欲望が上層を脅かす、という社会モデルが、ユゴーの小説の特徴の一つですが、作劇的にも、物語の終盤で起こる貧民たちの暴動を、一八三〇年の七月革命と重ね合わせるために、彼らを前面に登場させたと考えることができるのです。

天才ユゴーの驚くべき小説、鹿島茂さんが
読む『ノートル=ダム・ド・パリ』
NHK出版デジタル

ここに描かれる「奇跡御殿」の人々の様子はレ・ミゼラブルで描かれる民衆の様子にも通じるものを感じた。

「人々」と一般化せずに、それぞれの人物像を丁寧に描くところにユゴーの偉大さを感じる。
それぞれに一人一人の背景・人生があり、人間としてのドラマがある。 

話は変わるが、
「ノートル=ダム・ド・パリ」のカジモドがエスメラルダを愛する姿は、「レ・ミゼラブル」のエポニーヌがマリウスを思う姿と似ていると思った。

フランス語を知らない私には原著までは手が出ないが、機会を作って訳本は読んでみたい。

読書の秋。
長編を読む時間はなくても、
デジタルなら気軽に読書できる。
入り口としてありがたいことだ。


今年の夏は、もう冬は来ないのではないかと思うほどの猛暑だった…

夜は長袖にジャケットを羽織り、
昼は最近まで半袖で過ごす日もあったが、さすがに冷え込むようになってきた。
気候は不順でも暮れるのは早くなってきた秋の夜長。
お気に入りの音楽を聴きながら、本を読む学びの時間を作っている。







いいなと思ったら応援しよう!