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遍路の始まり〜四国遍路日記 1日目〜

高速バスに乗って徳島に来てしまった。
到着したのは朝6時。

荷物を整理して、軽く着替えて、駅構内のコンビニでおにぎりを買い、6:37の電車に乗って坂東へ。

通学中と思われる学生がチラホラと乗車していた。

JR高徳線、6時〜7時ぐらいまで30分に1本くらいの電車が出ているが、7:05の電車に乗り遅れると1時間45分待ちぼうけである。

さすがローカル線。
もちろんSuicaは使えない。

坂東駅前にて

7時ぐらいに坂東駅を降りると、同じく遍路っぽい人が2名程居た。

片方は若めの人で、ドイターのリュックを背負っており、歩き遍路疑惑である。

ちなみに私は今日一日、歩き続ける予定だ。


坂東のすぐ近くの休憩所でおにぎりを食べ、霊山寺(1番)に向かう。

割とすぐに着いた。

霊山寺の売店で菅笠と経本を購入し、作法について簡単な説明を受け、本堂へ向かう。

手際が悪すぎて、滅茶苦茶ぎこちなかった。
この先どうなるのかと思いやられる。

ロウソクを付けて、線香焚いて、お経を全部読んだ。

納め札を事前に書いていなかったので、霊山寺で慌てて書いた。

(まぁ卒論とか、実習のレポートとか、アカペラの編曲とか……全部出発日の前日に詰め込んだからね!! ←おい)

納め札には願意を書くところがある。

願意とは?

私の願いは何だ?

私が遍路計画を立てた理由は「現実逃避」である。

計画を立てる過程のアレやコレやの時間により、現実の問題から気を逸らすことが目的だった。

つまり、「計画を立てたから来ただけなので、願意が思いつかない」


そもそも、寺で願いごとをする必要があるのだろうか?


霊山寺を出たのは8:30頃。
あれ? こんなに長居するつもりは無かったのだが。

1番札所 霊山寺の写真を撮り忘れたことに気づき、慌てて撮った。

途中のコンビニでおにぎりを2個、おやつを1個買った。

20分後、極楽寺(2番札所)に到着した。

極楽寺の入り口

寺の境内は庭園が素敵だった。紅葉が綺麗。極楽を意識したのだろうか? ぎこちなくも納経して次へ。

3番札所までの遍路道。見ての通り田舎である。

1時間後、金泉寺(3番)へ。

唐突に現れる金泉寺の仁王門

個人的に初日で一番お気に入りのお寺である。とにかくイチョウが綺麗。ゆったりまったりした時間が流れていた。

金泉寺の境内

剣に巻き付いた龍の像が気になった。
「なんか凄そう」という雑な感想を持った。

金泉寺の黄金の井戸を見そびれた。

まぁいいや、だいぶあそこでゆっくりしたし。

次に大日寺(4番)へ向かう。
金泉寺を出た後、大日寺・地蔵寺の方向を示す看板があった。

一瞬、「歩き遍路はこちら」の看板が逆向きになっていて違和感を覚えたが、そのまま進んだ。

そして後々やらかす。


道は段々広くなり

歩道が無くなり

林が増えてきて

そこそこキツめの上り坂と下り坂が交互に

「歩道なし、カーブあり、傾斜あり、車通り多め」の危ない道を数キロに渡って歩き続けた。

車が思いっきり私を避けながら通っていく。
色んな意味で申し訳なくなった。
そして怖かった。

とはいえ、案内板はコンスタントに登場する。

どうやら私は車遍路用の道に入ってしまったようだ。

向かい側から仙人のような風貌のお遍路さんが現れた。

俗に言う職業遍路だと察した。

応援の言葉を掛けられたが、あの人は一体。
(後に伏線は回収される)

この道を歩いた時、確かに景色は綺麗だったが、歩くのに必死過ぎて写真を撮り忘れている。

やっと山を抜けて、案内板を発見したことに安心して撮った写真。

加えて道にも迷い、大日寺に着いたのは昼の1時頃。しかも、ゲリラ豪雨に見舞われる。

予定より遅くなってしまった。

雲行きが怪しい大日寺

やむを得ずトイレの中で雨宿りし、ゲリラ豪雨をやり過ごす。

雨が落ち着いた後、境内へ。

ここまで来るにあたり、ちょっと坂を登った。後ろには山


納経後、おにぎりを1個食べる。

地蔵寺(5番)に向かい、イチョウが綺麗なお寺に到着する。

お詣りしようとしたら、拝観料を払って下さいとの立札。どうやら、五百羅漢という別の寺だった。

五百羅漢境内の様子

階段を降り14:40頃、地蔵寺に到着。

裏から地蔵寺に入る

この日は16:30に十楽寺公明会館に宿泊予定である。

まずい時間になってきた。

でも、この時の私は
朝→おにぎり1個
昼→おにぎり1個

流石にキツかった。

地蔵寺でおにぎりを食べた。

地蔵寺を出るときに仁王門を撮った。

16:00、安楽寺(6番)に到着する。
ゆっくり見ていきたかったが、そんな場合ではない。

安楽寺の仁王門 
安楽寺の境内
安楽寺の中になぜかある橋

安楽寺の境内が綺麗だったもので、写真を多めに撮った。

納経後、すぐに十楽寺(7番)へ向かう。

この時、私は色んな意味でピンチだった。

霊山寺(1番)の手前を最後に、郵便局を見かけない。

宿代を払う現金がない。

とはいえ、奇跡的にお金を貸してくれる人が現れた。

住所と電話番号を書いた紙を渡された。この住所宛に貸した金を後日送ってくださいとのこと。

納め札を渡したら、食べかけのプリッツを接待された。

遍路初のお接待、食べかけのプリッツ



本日の宿は十楽寺公明会館。急いで十楽寺に向かう。

ちょっと遅刻したが、十楽寺に到着。

とはいえ、金銭面以外に私は別の危機にも直面していた。

朝昼と食事と言っていいのかわからない食事をしている癖に、

宿を予約する際、今晩の宿代をケチっての夕飯を抜いてしまった。

十楽寺の手前にある自販機コーナーでカロリーメイトを購入し、余ったおやつと合わせて夕飯となった。

1日目から波瀾万丈である。


宿の洗濯機を利用する時、洗剤を入れ忘れた。200円払ってしまったので諦めてそのまま回収したが、

なぜか洗剤のにおいがした。



歩く途中、金泉寺から大日寺までの車用ルート利用について、遍路道に行くべきだったのかと、思い耽った。

あの道を行ったことに関して、私自身も危険だし、ある意味地元住民の迷惑でもある。

そんな時、当時の私はスマートフォンのメモにこんな文章を残していた。

山の中、それはそれは綺麗な紅葉。
通常の遍路道では見る事の出来なかった光景。

本来なら楽に、安全に行けたはずの道。
その道を通っていたら、この綺麗な紅葉は見れなかっただろう。

綺麗な紅葉という景色を知ってしまったが故に、ここは危ない道だったけど、この景色を見れて良かったと思っている自分も居るだろう?

再び機会があるとするなら通りたくないけど、得たものもあるだろう?

綺麗な紅葉を見れたこと

遍路道が歩きやすいように整備されていることに気づけたこと

地元住民に迷惑をかけたくないという想いに気づけたこと

生きている以上、人は誰しも迷惑をかけるもの。その上で背負う責任は何か?

人生に例えてみよう。

楽な安全な道と
大変で危険だけど得るものが多い道

さてどちらが良いのか。


私(あなた)の人生はどちらだ?

スマホに残された謎のメモ


初日だったので疲れていたのだろう。


私はこんな調子で高知県まで行けるのだろうか?

◇ プランニング◇

徳島 6:37 → 坂東 6:57
○高徳線 板野方面330
坂東駅→1→2→3→4→5→6→7【十楽寺公明会館】

☆本日の歩数☆

34831歩

*本日の出費*

おにぎり 140
食べ物 570
菅笠 1650
経本 550
納経 300×6
お賽銭 15×6

洗濯 200
宿 8800 (十楽寺公明会館 朝食付き)

計 13600円



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