室戸岬でスマホを失くす ~四国遍路日記 9日目~
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荷物をまとめていると、民宿のおばあちゃんにびっくりされた。
「あんなに沢山荷物があったのに、全部このリュックに収まったの!?」
基本的にリュックに入る分しか持ち歩いていないが……。と思ったがまあいいや。
今日はバスに乗る! と決めていた。ただ、バスの時間に少し余裕があったので歩いてみた。
バス停がボロボロ過ぎて文字がほとんど見えない。
このとき、バスに乗りながら書いたメモがある
このエリアは歩き遍路最大の難所と呼ばれ、コンビニもトイレも宿も休憩所も乏しく、歩き遍路経験者は口を揃えて「東洋町から最御崎寺までの道のりが一番キツかった」と言っていた。
そんなキツイエリア、バスに課金してしまえ! と、私は思った訳であります。
遍路中に立ち寄りたかったスポットの1つ。むろと廃校水族館に来た。
ただ、こんなところ、遍路でもないと行きにく過ぎる! って場所にある。
公式アカウントにも「どこから目指しても遠いです」と書かれている。
なんか、リレーのバトンにウツボが入っている展示もあった。
近くにエイやゴンズイの水槽もあった。
人が近づくと、近づいてくる。
奥のプールにはウミガメも泳いでいた
一通り見終わったところで、また歩き始める。
ここから室戸岬までバスが出ている。
今日の宿をまだ取れていなかったので、金剛頂寺の宿坊に電話を入れてみた。当日の予約はダメだと言われた。
まずい、宿難民になりそうだ。
始発のバスに乗り込み、スマホを見ながら今後の計画を立てていたら、運転手さんから声をかけられた。
「さっき乗車したお遍路さんだよね? まさか廃校水族館からここまで歩いてきたの!?」
相当驚かれたが、水族館からジオパークまで、たったの3㎞しかない。
毎日20km近く歩き続ける遍路としては大したことないのだが……。
多少はショートカットしたい
室戸の海岸線を歩きたい
むろと廃校水族館に行きたい
その全てを叶えるために今日の計画を立てたのさ!
バスが発車し、私は「御厨人窟」のバス停で降りた。
スマホに挟んだ乗車券を渡し、料金を支払い、御厨人窟の空海像を撮影しようとして私は気づいた。
スマホがない!!!
降りる直前までスマホを手に持っていたので、バスの料金箱に置きっぱなしにしたのだろう。
さて、どうしたものか。
その辺に居た観光バスの運転手を捕まえて、状況を説明したところ、高知東部交通の営業所に電話をかけてくれた。
営業所の人曰く、「14:40に道の駅とろむの近くにある営業所に来てください」とのこと。
観光バスの運転手に観光マップを渡され、その場を離れた。
御厨人窟は素通りしてしまった。
まだ昼前だったので、室戸岬の先へ行き、最御崎寺に向かい、その先のどこかでお昼を食べて、営業所に向かおうと考えた。
しばらく歩くと室戸荘という宿の前にきた。近くにあった観光案内所は閉まっていた。
そのまま岬の遊歩道を歩き、海を眺めた。
なお、写真はない。
スマホを失くしたからな!
その後、遍路道へ入り、最御崎寺へと向かう。
南国っぽい植物が多く、目新しい感じがした。
最御崎寺に着いた。
もちろん、写真はない。
宿の予約を取るために電話を借りようと納経所に行って事情を説明したら、「すぐに営業所に行こう!」と言われた。
お参りすらしていないのに納経帳を回収され、納経済みの納経帳を返され、車で営業所まで送ってくれた。
もう既に営業所に連絡済みだと言っても聞かなかったので、乗せてもらった。
この時、遍路中初めて男性と2人きりで車接待という状況に陥った。なにごともなかったが。
バスの営業所に着いたら、案の定電話した時と同じこと、つまるところ「14:40にまた来てください」と言われ、もう一度最御崎寺に戻った。
最御崎寺に戻った後、一応、本堂でも太子堂でも般若心経を唱えた。
そして、私は遍路中初めての願掛けをした。
「私のスマートフォンと今日の宿が見つかりますように! 御礼参りは恐らく出来ません。仮に出来ても高野山になるかもしれません……。」
納経代込みで500円玉を賽銭箱に入れた。
私は原則、遍路中の願掛けはしない主義だったのだが、ここでは願掛けした。
こうして私は最御崎寺を後にした。
この日、最御崎寺の奥にあるへんろセンターも閉まっていた。
12月はオフシーズンだからだろうか?
最御崎寺から下る際、スカイラインを下った。
車接待の時も通ったが、かなり見晴らしがいい。
歩道がなく、急カーブが続き、そこそこ高く、見晴らしもいいいのでちょっと怖い。
なお、写真はない。
スマホが無いからだ。
もし、室戸岬の雰囲気を知りたければ、別の遍路体験記を見るといいだろう。
↑ こんなのとか
私は冷静になりつつあった。
このままスマホが見つからなくても、帰りの高速バスは予約済みだ。
翌日高知駅に着きさえすれば、帰宅はできる。
これまで撮ってきた写真はロストしてしまうかもしれないが、無事に帰ることが最優先だ。
まぁ、何とかなるだろう。
そんなことを考えながら歩いた。
ハイビスカスの通りを過ぎ、「休業中」と書かれた飲食店の看板を横目に、55号線沿いを歩いた。
「うまめの木」という場所が営業していたので入った。
エビピラフを注文した。
雰囲気も良く、食事もおいしく、まだ時間がありそうだったので、のんびり過ごした。
会計時、宿の予約がまだなので電話を借りれないか訊いてみた。
電話を借りることができた。
まず、太田旅館に電話を入れてみた。
……今日は透析の日で休業だそうだ。
次に民宿うらしまに電話を掛けた。
予約が取れた!!!
営業所に向かい、少し時間があったので、道の駅とろむに寄った。
ほぼ閉まっていた。オフシーズンだからだろうか?
営業所に着き、14:40。
バスの中からスマホは見つからなかった。
電話を借りて、自分のスマホに電話を掛けたが、なぜか電話がかからない。
家族に位置情報を見てもらおうと、家族に電話を掛けたが誰一人繋がらなかった。
バスの運転手さん、私のことは覚えていたようで、バスの中であの子はスマホを持っていたと証言していた。
降りてすぐスマホがないことに気づいたので十中八九バスの中にスマホを忘れたと思われる。だが、見つからないようだった。
営業所の係の人から、警察に連絡することを提案された。
警察に電話を掛けたところ、どーやらそれらしきスマホが挙がっていたらしい。
警察署に向かうと、失くしたスマホがそこにあった。
自分のスマホに電話を掛けれなかったのは、警察署で電源を切られていたからのようだ。
スマホが見つかったのは岬ホテルのバス停前だそうだ。
たぶん、料金箱の上に置きっぱなしにして、バス停に停車した際に、バスから落ちたのだろう。
15時頃、私のスマホは帰ってきた。
警察署にスマホが挙がった時刻は最御崎寺を出た後のようだ。
宿もスマホも見つかった。
願掛けの効果は恐ろしい程に早くでた。
次の札所、津照寺へと向かう。
納経後、歩いていると、おじいさんがチラッとこっちを見てきた。
おじいさんが居た辺りの前を通るとおじいさんが急に現れた。
「高知名物ミレーだよ」
民宿うらしまではお遍路さんはあまり居なかった。
スーツを着ている人、観光客っぽい人、よくわからんおじいさん、色んな人が居た。
夕食はそこそこボリュームがあり、食べるのに時間がかかった。
牛すじでお肉がおいしく感じる魔法が切れかかったが、頑張って食べた。
この店には人懐っこい猫が居て、「うら」というそうだ。
「しま」も居たが、最近見かけなくなったそうだ。
今日も長い一日だった。
◇プランニング◇
民宿とさ→
野根港分岐 8:50 → むろと廃校水族館 9:16
〇高知東部交通
むろと廃校水族館 → 室戸世界ジオパークセンター(※徒歩)
室戸世界ジオパークセンター 10:49 → 大師像前 10:56
大師像前→24→25
→民宿うらしま
☆本日の歩数☆
(20776歩とスマホに記録されているが、途中スマホを失くしたのでもっと歩いていると思われる)
*かかった金額*
バス代 1000+400
エビピラフ 800
むろと廃校水族館 600
納経 300
接待 -300
賽銭 520
宿 7000 (夕食朝食付き 民宿うらしま)
計 10320円
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