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善行も悪行も結局は自分のため【科学が証明している人間の行動原理】

脳内ホルモンの奴隷としての人間

人間は脳内ホルモンによって支配されている。
外からの刺激を利用し、それに反応する形でドーパミン、アドレナリン、セロトニン、オキシトシンなどの化学物質が分泌される。それによって、人は幸せを感じたり、不幸を感じたり、怒りや悲しみに飲み込まれたりする。
自己犠牲に見える行為でさえ、突き詰めれば「脳内ホルモンを最適化するための選択」に過ぎない。

脳科学に沿って考えると、ボランティア活動をして他人を助ける行為は、他者のためではなく、自己のためである。人を助けることでセロトニンやオキシトシンが分泌される。その心地よさを知る者は、より多くの善行を積み重ねようとする、という仕組みだ。ここで重要なのは、「他人のために行動している」という意識があるかどうかではなく、脳内ホルモンのシステムが報酬を求めて行動を促しているという事実である。

他人は脳内ホルモン分泌のための道具

善行が自己のためならば、悪行もまた自己のために行われる。パワハラ上司が部下を怒鳴るとき、怒鳴ることで自分の優位性を確認し、ドーパミンやアドレナリンが脳内でドバドバ分泌されているのだ。その瞬間、彼の"脳"は快楽を感じている。で、それが習慣化すれば、パワハラは上司にとっての「ドラッグ」と化す。

イジメも同様だ。自分の優位性を確認し支配欲を満たすことでドーパミンが分泌される。加えて、女子高生が見た目のキモいオジサンを見下し蔑む目で見る光景。あの瞬間、彼女の脳は脳内ホルモンを出して快楽を得ている。その行為が日常化しているのであれば、彼女は依存症だ。そう、キモいオジサンに依存しているのだ。
しかし稀に、女子高生に蔑む目で見られることで、逆に快感を得ているヤバいオジサンもいる。その場合は、おじさんも女子高生に依存している。つまり、両者には共依存の関係が成り立っている。
いずれにしても、習慣化した行為は、脳の報酬系によって強化された一種の依存症である場合が多い。

3. 他人に頼らず幸せを生み出すことは可能か

人は本当に「自分のためだけ」に幸せを作り出すことができるのか?
これは難しい問題だ。なぜなら、人は基本的に他者と関わることで脳内ホルモンを分泌させるように設計されているからだ。

しかし、他人に頼らずに幸福を生み出す方法も存在する。それは「内的報酬システムを鍛える」ことだ。たとえば、瞑想や深い思索、芸術的創造、スポーツなど、自分一人で完結する行動の中に喜びを見出す。こうした行動は他者の評価や承認に依存しない形で、セロトニンやエンドルフィンの分泌を促す。これが習慣化すれば、外部の刺激に依存せずとも、持続的な幸福感を得ることが可能になる。

4. 善悪の基準は幻想である

結局のところ、善行も悪行も、すべては脳内ホルモンの奴隷としての行動であり、「他者のため」「社会のため」という価値観は幻想に過ぎない。人間は自分の快楽のために動いている。

この事実を知った上で、社会や他者との関り、自らの脳内ホルモンを調整する。しかし、そのメカニズムをもっと深く理解し、意図的に操作できるようになれば、我々はもっと自由になれるのかもしれない。

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