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発達障害~「目」から見た本当の原因~
発達障害によって生きづらさを感じている人は近年多いそうだ。周囲の理解不足や自己評価の低さから、社会生活の中で孤立感を抱えることも珍しくない。その原因は一般的に脳の構造や遺伝的要因にあるとされ、治ることは基本的にないと認識されている。認知療法や薬物療法を通じて症状と向き合いながら、どうにか日々を乗り越える。これが現代社会の発達障害に対するアプローチだ。しかし、もしその原因が脳ではなく「目」にあるとしたらどうだろうか。
私の場合、発達障害の原因は目だった。
最初にこの可能性に気づいたのは、視覚に違和感を覚えたからだった。頭痛や集中力の低下が長く続いていた。脳の問題だと考えられていた症状が、実は目から来ているというのは意外だった。だが、専門家の診察を受け、詳細な検査を行った結果、確信に至ったのだ。
視覚と脳の負担
視覚は、僕たちの情報処理の大部分を占める感覚だ。日常的に目を通じて膨大な情報が脳に送り込まれる。ところが、視覚の不均衡があると、脳がその調整に過剰なエネルギーを使ってしまうことがある。例えば、僕のケースでは、左右の目が異なる視点を持っていた。本を読むとき、右目では10行目を追っているのに、左目は5行目を見ている。視覚のズレが生じ、脳はこの不一致を補正するために余分な負荷を強いられる。その結果、本来は他の認知活動に使われるべきリソースが視覚処理に消費され、ワーキングメモリーが圧迫される。
この状態は、マルチタスクの苦手さや集中力の低下、さらにはコミュニケーションにおける困難として現れる。発達障害とされる多くの症状が、実はこの「脳内視力」の負荷に起因している可能性があるのだ。
社会的要因と検査の簡略化
ここで注目したいのは、眼鏡という存在が医療器具から雑貨へと扱いが変わったことである。かつて、眼鏡の処方には精密な検査が求められ、視覚のバランスや脳との連携を考慮した処方が行われていた。しかし、現代では利便性が重視され、検査は簡易なものになりがちだ。この変化が、視覚不調を持つ人々の症状を見逃す要因の一つになっているのかもしれない。
例えば、視覚のズレによって引き起こされる頭痛や集中力の低下は、多くの場合、ストレスや疲労のせいにされる。さらに、視覚の問題が発達障害と関連しているという認識が薄いため、原因不明のまま放置されるケースが多い。僕自身、正確な診断を受けるまで長い時間を要した。
視覚処理と発達障害の再定義
視覚処理の問題が発達障害の原因である可能性を無視することはできない。脳の情報処理能力が視覚に奪われることで、発達障害とされる症状が現れる。例えば、視覚のズレがあると、物事を「全体像」として捉えることが難しくなり、一度に複数のタスクを処理するマルチタスク能力が低下する。これらは、発達障害の典型的な症状と一致する。
もちろん、全ての発達障害が視覚の問題に起因するわけではない。しかし、この視点を取り入れることで、新たな治療や支援の可能性が広がるのは間違いないだろう。視覚の問題を解消することで、症状が改善したり、生活の質が向上する例も報告されている。
今後の課題
視覚と発達障害の関係を広く認識するためには、医療や教育の分野での啓発が必要だ。視覚検査をより精密に行い、視覚処理の不均衡を早期に発見する仕組みを整えることが求められる。また、視覚の問題に対する適切な治療や訓練を提供することで、多くの人々が抱える「生きづらさ」を軽減できるはずだ。
発達障害の原因は、単純に脳の問題や遺伝的要因だけではない。視覚という要素を見過ごしてはならない。