私の感覚を理解するのは私だけ #30
太宰治『走れメロス』についてだけ #22
みなさんに悲しいお知らせがある。
私もこんなことを伝える時が来ようとは…辛い。
Oh…!!
ついに、メロスが、メロスが…
ダメだ、立つんだ!立つんだメロス!!!
確かに川は激しかった、山賊も想定外の体力消耗だった。
で、でもメロス、君はなぜシラクスに向かっているのだ?
竹馬の友だろ、セリヌンティウスだろ!
君は時間を得るために親友の命を身代りにしたのだ。
私の手元の文庫本では、ここから2ページ弱、メロスの頭の中での懺悔と言い訳が長々と繰り広げられている。
私は努力した、私だからできた、セリヌンティウスいつもありがとう、あーぁ、王の言ったとおりになってしまったよ、まあ、正義とか?愛とか?めんどくさー、ほんとくたびれた、あとで妹夫婦の元へ帰るか?
ぐっちゃぐちゃ、ぐっちゃぐちゃ言っている。
これはちょっとかったるくて、なんとなく体調も悪いような気がしている私が会社を休んでしまおうかどうかベットの中で考えている時とよく似ている。
自分で自分に言い聞かせてなんとなく、自分もその気になってくる。
(ちなみに、私は仕事に支障がないと判断すれば割とサクッと休む)
ここで、輝くヒーローだったらセリヌンティウスとの約束や暴君ディオニスとのやり取りが頭の中を巡り、グググ…と起き上がるのかもしれない。
メロスは王にタメ口を使うほどの勇者だ。
信じるという事を疑わない真っ直ぐな男だ。
けれども人間なのだ。
もうほんと、おっしゃる通り。
でも、私たちは納得はしない。
怒りを感じずにはいられないひともいるだろう。
これは持久走大会ではないのだ。
自分だったらどうするだろう…と無意味な想像をしてみる。
想像できるわけない笑
しかし、約2ページに渡るメロスの懺悔と言い訳は、きっと時間にしてみると数十秒から1分ほどで駆け回っているのだろう。
人間っぽい。
ごくごく個人的には異議ありのシーンだが、人間本来の姿が滲み出ている。