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hanausagi33
『星を掬う』を読んで思うこと
星を掬う
著者 町田そのこ
おめでとうございます。芳野さんの思い出を5万円で買い取ります。そんな連絡を受けた千鶴
ラジオ番組の企画に出来心で送ったメール。
『夏休み』というテーマに、小学1年の夏。母とふたりで旅した楽しかった思い出
その話がラジオ放送されたあと会いたいと連絡をくれたのは自分の母をママと呼ぶ女性、恵真。
千鶴の元夫がお金を奪って行く。隠れても逃げてもその場所を探しだしやってくる。夫の暴力で、痛め付けられた姿をみてDVに気がついた恵真は、自分を捨てた母のところで一緒に暮らそうと誘う。
千鶴が再会した母は昔とは全然ちがう姿だった。
思い出に残る母と放浪とも言える楽しかったふたり旅、1ヶ月もしたころ祖母と父が迎えにくる。喜んでうちへ帰るが母はそのまま帰ってくることはなかった。
そして、今、祖母も父も亡くなった。元夫のDV。うまく行かないのは、何もかも 自分のを捨てた母ではのせいだ、そんな風に思っていた千鶴。
心の奥では母を求め、恋しがり、好きだった。それなのに私を捨てた母。やっと会えたと思ったのに、わたしの前からいなくなる。これからどうするのだろう。
いくつかの母と娘の物語
子を捨てた母、子に捨てられた母
10代で妊娠、男には逃げられ行く父や祖父母に見捨てられ宛がない娘を引き取る母
誰かを理解できると考えるのは傲慢で、寄り添うことはときに乱暴となる。大事なのは、相手と自分を両方守ること、相手を傷つける歩みよりは迷惑でしかないし、自分を傷つけないと近づけない相手からは、離れること。
恵真にそう話したという母。それを棘を立てたハリネズミを抱いても傷つくだけだし、ハリネズミも刺したくないものを刺して苦しむのだからハリネズミになる前に離れるのだろうと母のことを理解する恵真
なぜ、母は自分のことを捨てたのか、なかなか近づくことが出来ない親子の姿
そして、自分の人生に責任を持つことの大切さにも気づかせてくる1冊