父親の涙
僕の父親は寡黙だ。寡黙というとかっこよく聞こえるかもしれないが、無口というのが正しいのかもしれない。
僕の病気を聞いたとき、いつも感情に揺さぶられず、動じない父親は、ひたすらに泣いて謝っていた。
『俺だけが苦しい思いすればよかったのに。ごめんごめん。』
と言いながら、ひたすらに抱きしていた。
22年間で初めて見た父親の涙だった。
決して、父親を責めるつもりはないが、遺伝性の病気を自分の子どもに背負わせてしまったという責任感は、十二分にわかる。
あの日の光景がいまだに僕の記憶に残っている。