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シニア層が児童文学を読み、子や孫に手渡すという流れ。
私が編集を担当する「生活と文化の研究誌『報徳』」にて、児童文学を紹介するエッセイ「物語の中のことば」を連載することになりました。
ドイツ文学者で、第九代社長の鷲山恭彦社長(元東京学芸大学学長)から「小川さん、せっかく児童文学を書いているのなら、面白い本を紹介をしてよ」と言われていたのですが、ようやくスタートできました。
「生活と文化の研究誌『報徳』」は明治35年創刊、現存する月刊誌としては『中央公論』『三田評論』に続いて3番目に古い雑誌です。
読者はほとんど会員さん(個人、企業、地域報徳社)で、年齢層も高めです。
その方たちに向けて児童文学の紹介をするの?
それってターゲットが違うんじゃない?
いえいえ、そんなことはないんです!!
私が『ライラックのワンピース』(小学校6年生が主人公)を出版したとき、「小川さんが本を出したなら、読んでみるかな」と身近にいる多くの大人の方たちが読んでくれました。そして、「字が大きくて読みやすかったよ。それに久々に胸がキュンとしちゃった。初恋の頃を思い出しちゃったよ」という感想をいただいたのです。
ということは、つまりは児童文学はシニア層にぴったり、ということです。
・まず字が大きい。
・難しい漢字にはルビがふってある。
・あまり本が厚くなく、すぐ読めるし、読みやすい。
・だけど、生きることの王道が描かれている。
・子どもの頃の気持ちを思い出して、じんとくる。脳の活性にもいい。
・初恋の話には、胸がキュンとする。心も活性化する。
しかも、こうして読んで下さった方々は、読んだ本をお子さんやお孫さんに勧めてくれているのです。
子どもの数が減り、児童書の出版も大変です。でももしかしたら、児童書はこれから、同時にシニア層に向けて書かれてもいいのかもしれない、とも思いました。というか、子ども向けと限定する必要はもともとないのです。
児童書は、これからを生きる子どもたちに「生きることは、生きるに値するんだよ」「世界は広くて美しいよ」と、人生や、私たちの生きる世界を肯定するものだと私は思っています。
大人になって、年を取って、もう先はそんなに長くないかもしれないけれど、それでも生きることを肯定したい。これからの人生に希望を見出せたら……。だからこそ、よけい心に響くこともあるのだと、私は思ったのです。
『報徳』7月号からのスタートです。順次、「物語の中のことば」を紹介していきます。
紹介した本が読みたくなって、読んでおもしろくて、お子さんやお孫さんに紹介してくれるといいなーーー。そんな願いを込めて。身近なところから少しずつでも。
■電子書籍も販売しています。
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■鷲山恭彦社長の巻頭言もnoteで読むことができます。
https://note.com/washiyama/