子供嫌いだったわたしが育児に向き合うまで
私はずっと子供が苦手だった。
理屈の通じない生き物と向き合うのが嫌だった。
その小さな存在が私の生活を大きく変えるであろうことも恐怖だった。
しかし、子供がいない人生を選び抜くほどの強い気持ちもなく、半ば無責任にも妊娠した。
「できたらできたでちゃんと育てよう」という気持ちはあった。
産休のみ申請しようとした私に、同僚が束になって育休も取るよう説得してきた。全くもって余計なお世話だと思った。
その時点で私は、子供が生まれてもできるだけ早く保育園に預けてしまおうと考えていたからだ。
早めに仕事に戻りたかったのもあるが、当然、子供の世話をしたくなかった。
そして子供が生まれ、初めての育児が始まった。
育休などいらないなどと考えていた自分の浅はかさを、すぐに思い知ることになった。
子に向き合うことで愛情が芽生え、互いに成長するたびに絆が深まった。
眠れない夜も、予測不能なトラブルも、子とふたりで乗り越えていくような不思議な感覚を得た。
こうやって時間を共にして親子に、家族になっていくのかもしれない。
もしもあの時、育休を取らずにすぐに子供を保育園に預けてしまっていたら、子供嫌いのままの私が、形ばかりの親として存在するのみになっていたかもしれない。
子供に愛情を持てないままだったかもしれないと、今となっては思う。
育休を育業と表現したのは、確かに本質をとらえている。
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