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【B級映画かと思ったら傑作だった】映画「ツイスターズ」ネタバレあり感想&徹底考察

どうもTJです
今回は先日公開された「ツイスターズ」をネタバレありで徹底レビューしていく
観る前は全然期待していなかったが、この暑い夏にもぴったりな予想以上の快作だった
是非最後までお付き合い願いたい

あらすじ・キャスト

ニューヨークで自然災害を予測して被害を防ぐ仕事をしている気象学の天才ケイトは、故郷オクラホマで史上最大規模の巨大竜巻が連続発生していることを知る。彼女は竜巻に関して悲しい過去を抱えていたが、学生時代の友人ハビから必死に頼まれ、竜巻への対策のため故郷へ戻ることに。ケイトはハビや新たに出会ったストームチェイサー兼映像クリエイターのタイラーらとともに、前代未聞の計画で巨大竜巻に挑む。

https://wwws.warnerbros.co.jp/twisters/about/

監督:リー・アイザック・チョン
主演:デイジー・エドガー=ジョーンズ
その他:グエン・パウエル、アンソニー・ラモスほか

※TJメモ
リー・アイザック・チョンは前作「ミナリ」でアカデミー賞6部門ノミネートを果たし、現在ハリウッドでも注目を集める監督の1人
YouTuberのタイラー役を演じたグエン・パウエルだが、「トップガン・マーヴェリック」とキャラが同じ過ぎて笑った

登場人物の造形と整合性

予告やプロモーションを観る限りはただのおバカB級ディザスター映画かと思っていたが、開始10分でその懸念は吹き飛んだ
プロローグでは、大学生であるケイトと仲間たちが竜巻を止めようとする青春姿が描かれる
彼らがビデオカメラを使って撮影し合うところでは、観客に自然な形で時代感を伝えている

https://www.imdb.com/title/tt12584954/mediaindex/

ケイトたちの永遠に続きそうな青春だが、竜巻によって一瞬で瓦解する
この竜巻のVFXの迫力はもちろん、主人公のケイトにカルマを背負わせることで完全なストーリーラインを作り上げた
つまりはこの映画はただの台風を追うおバカ映画ではなく、仲間たちを亡くしたカルマを清算する物語となることを冒頭で既に示したわけである

大人になったケイトは唯一の生き残りである友人ハビに連れられ、また竜巻を止める戦いに参加する
ここで登場するのがライバルチームのYouTuberタイラー
ビデオカメラからYouTuberという時代感を上手く感じさせるアイテムを用いながら、軽やかな音楽で竜巻に立ち向かうライバル対決には思わず身入ってしまう
今作の素晴らしいところはストーリー上で無駄な登場人物が1人もいないし、登場人物の造形も見事な点だ
全員の登場にストーリー上の整合性を感じる

スタイリッシュな手腕

タイラーと敵対していたケイトだったが、被災地でのタイラーの行いを見てハビの陣営を抜ける
ケイトの竜巻を追いかけた幼少期を軽やかに見せる一方で、強烈なVFXで竜巻の恐ろしさを劇中内に同居させるリー・アイザック・チョンの手腕は凄まじい

https://www.imdb.com/title/tt12584954/mediaindex/

シーンは移って最後のクライマックス
竜巻が街を襲うシーンでケイトたちは住民を劇場内に避難させるが、竜巻によってスクリーンが吹き飛ぶシーンがある
ここは我々が劇場でこのディザスター(災害)を観ているというメタ的な表現でもある
プロローグのビデオカメラ、ライバルとしてのYouTuber集団の登場、それでこの劇場のシークエンスを見てもとにかく仕事がスタイリッシュ
劇中を通して、とにかく監督の手腕の高さを感じさせられた

https://www.imdb.com/title/tt12584954/mediaindex/

ハリウッド come back!!

ケイトはかつての大学時代に失敗したやり方で、竜巻を止め、街の住民を救う
これは彼女が大学時代のトラウマに向き合うことでもあり、昔のカルマを清算する
その後のケイトとタイラーの関係性も分かりやすく恋仲になるわけでもなく、絶妙な距離感を保つのも堪らない
「感じたら追え」と元ライバル関係のハビが言うのもいい

今作のこの重過ぎず、適度にカタルシスを感じさせる展開を2時間というコンパクトさで描き切る
これはまさしく一昔前のハリウッドを彷彿としてならない(しかも現代風にアレンジしながら!)
現在のハリウッドは幸か不幸かコロナも相まって間違いなく以前とは違う形に変化を遂げた
ヒーロー映画によるマルチバース化に、巨匠かたちによる映画の長尺化
大作のみ、メジャー作品のみがヒットするこの時代の潮流には、しばらく抗いようもない
しかし今作はかつてDVDをレンタルして眺めていたあのハリウッドの姿を思い出させてくれる
映画とは別に頭を使ってみるだけではなく、頭を空っぽにしてみるポップコーンムービーだってあって良いのだ

ハリウッドはまだ死んでない
そんな精神をこの映画からは感じ取ることができる

総評  

TJ的評価は⭐︎4.5/5
序盤にケイトにカルマを背負わせてから、大人になった姿で清算する脚本の丁寧さ
YouTuberのライバルチームを登場させるところにも時代性を感じるし、何より竜巻を追う青春的な側面と自然の恐ろしさを絶妙なバランスで劇中内に同居させる監督の手腕は素晴らしい
あえてケチをつけるならタイラーを少し良い人間として描き過ぎている気もする
確かに被災地での行いは素晴らしいが、彼がYouTubeというプラットホームで竜巻を追う姿を発信するのには賛否が必ずあるはずだ
SNSでアクセスを過度に集めようとする危険性みたいなのを描いたほうが作品としての深みは出たかもしれない

ということでいかがだっただろうか
今回はこの辺で終わりさせていただく
今後も新作、旧作問わず気になった作品はどんどんレビューしていく予定なので良かったらスキ、フォロー、コメント等是非
(今後の投稿の励みにもなります)

では!

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TJ
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