小説 あなたは悪辣な恋人 13
クリスマスを終えた吉祥寺の街は恋人達のために輝いていた光を消し去り、新年を迎える人々の足並みに合わせ慌ただしさを加速して行く。私は、クリスマスをひとりで過ごす事は出来るが、お正月にひとりは寂しすぎて嫌い。
実家に帰れと友人達は言うけれど、帰っても寝たきりの弟の世話に追われるだけで、子供の頃から両親が新年の支度をする事は1度も無かった。つけっぱなしにしていたTVから聞こえて来る元旦の挨拶や芸能人の着物姿で正月を感じるしかない家。
子供は弟だけではない、私もいるのだからお雑煮の