それでも確かめに行く
この世にたしかなことがない
今夜寝たらもう目覚めないかもしれないだろ
きみの好きなお菓子の名前を忘れた
覚えて忘れてをくりかえして
それでも 覚えているもの
ドリップしてドリップして抽出されし
一滴のコーヒー 記憶の海に一隻の舟を
もっとうまくやれないものかなぁ
今までうまくやってこれたものをあげてみて
きみのことをぜんぶ知りたいという気持ちは
ぼくのわがまま? きみの所作のひとつに宿る愛
この世にたしかなものがない
賞状めざしてさまよって
手にしたそれはただの紙
それまでに切り捨てた人たちの顔が浮かぶ
おやすみとおはようの間で選んだ思い出を
抱きしめて崇拝すんのはもうやめろ
この世にたしかなことはない
むなしさは体の一部みたいになってるし
はじまりからおわりに向かって日々は加速してる
止まって動いて止まって もう動けないのに
急かされて 流動するいのちの中で
ぼくはいつかのきみかもしれない
たとえば ぼくがクワガタの姿できみの前に現れたとしても それがぼくだとわかることはないだろう それでいい
この世のたしかなこと
自分の中の未完成な神様は完成してはいけない
たしかなことがないということは
たしかなことだから
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