クラウドファンディングでボードゲームを入手する〈Kickstarter編〉
はじめに
今回はいつもと趣旨を変えて、各種のクラウドファンディングで限定ボードゲームを入手する手順について記事にしようと思います。なんか「クラファンやってるボドゲ欲しいけどやり方が分からん!」と言うのを見かけて筆が乗ったので。
クラファンサイトによって細かな手順が異なりますが、まずはクラファンサイトの最大手Kickstarterでの具体的な手順を見ていきましょう。
もちろん、Kickstarterで行われているクラウドファンディングであれば、ボードゲーム以外にも応用は利くと思います。
大まかな段取り
まずは、どのクラファンサイトでも共通する、ボードゲームのクラファンの大まかな段取りについてざっくり説明しておきます。用語などは後ほど説明しますので、とりあえず分からない用語は「そういう用語があるんだー」くらいに思って頭の片隅に置いてください。
プロジェクトの中で支援するプランを決める
支援に必要な情報を入力して送信する
プロジェクト期日を待つ。期日になると支援した金額が引き落とされる
サーベイ、あるいはプレッジ・マネージャーのオープンを待つ
送付先となる住所を登録する
リワードの発送を待つ
リワードが到着したら、破損や欠品の有無を確認する
リワードにトラブルがあった場合、プロジェクトの企画者に連絡し、対応を待つ
ボードゲームのクラファンの企画者は大抵、日本国外のボドゲ出版社やデザイナーで、私は日本語以外の言語は苦手ですが、最近は各種翻訳サイトの他、DeepLやGoogleレンズ、ChatGPTなど優秀な翻訳ツールに助けられています(ChatGPTは厳密には翻訳ツールではありませんが、メジャーな外国語を日本語に、あるいは日本語を他言語へ翻訳するには大いに役立ちます)。
国外のボドゲ出版社のほとんどは英語が通じる(と言うかプロジェクト・ページからして英語で書かれている)ので、中高で多少なりとも英語を学んでいる日本人なら、ドイツ語やフランス語などよりも内容が理解しやすく、翻訳ツールも併用すれば何某かのトラブルがあっても対応できるかと思います。にしても大英帝国っょぃ。
参考までに私の素の英語力は、TCG『Magic: the Gathering』のルール・テキストなら、日本語訳(の翻訳パターン)を知っているので英語でも何とか理解できるかな?と言う程度です。
割と大事な注意点
ボードゲームの場合、クラウドファンディングは概ね「先行予約販売」くらいに考えていただいて良いと思います。ただし一般的な先行予約販売とは違って、「ゲームは完成してないけど予約を受け付けている」「完成については未知数」「支援するのは自己責任」である点に注意してください。もう少し平たく言えば「お金の出し損になることもある」と言うことです。
過去には『ワイナリーの四季』や『テラフォーミング・マーズ:動乱』のような信頼できるクラウドファンディングも執り行われていますが、中にはお金を集めるだけ集めてその後の音沙汰がない、と言ったクラウドファンディングも(ボードゲームであっても)存在します。そう言ったプロジェクトはKickstarterの規定により返金請求もできますが、実際の返金は期待できません。リワード(返礼品)の発送や返金対応がされれば幸運、くらいに思って素直に諦めた方が良いです。
個人的にはなるべく確実性の高そうなものから好みのゲームをチョイスして支援して、そのうちの9割以上からはリワードを受け取っていますが、気付けば企画者からの音沙汰が1年以上ないプロジェクトがあったりもします。
と言う訳で、次からは「欲しいボードゲームのクラウドファンディングをKickstarterで見つけた」と仮定して、実際にボードゲームを入手するまでの手順を具体的に追っていきたいと思います。
なお画像は2024年9月現在のもので、時期によってはデザインが変わっているかも知れません。また単独のプロジェクトでは実例を提示できないことがあるため、複数のプロジェクトから画像を引用しています(つまり例示している画像は割といろんなプロジェクトがごちゃ混ぜってことです)。あらかじめご了承ください。
1.プロジェクトの中で支援するプランを決める
ここで言う「プロジェクト」とは、クラウドファンディングを募集している企画のことです。企画だけあって資金が足りないので、資金援助してくれたらいずれお礼しますよ、と言うのがクラウドファンディングの基本となります。ボードゲームのプロジェクトの場合、その「お礼」が完成したボードゲームってことですね。
Kickstarterの各プロジェクト・ページの冒頭には、企画名や現在集まっている資金額、バッカー(支援者)数、支援締め切りまでの残り時間が表示されています。企画名はボードゲームの場合、企画者が作りたいボードゲームのタイトルであることがほとんどです。
これらの見出しのすぐ下に、プロジェクトの内容やプランなどが表示されます。
支援プランは右カラムに表示されていますが、その詳しい内容の説明は中央カラム(上画像だと「ストーリー」の見出しとボードゲーム画像のある部分)を下へスクロールしていくと見えると思います。書き方はプロジェクトの企画者によって異なりますが、ボードゲームの場合は概ねプラン価格(送料別)とそれに応じた内容物の紹介画像、アドオン(追加特典)の紹介画像、基本となるプレイ手順画像やプレイ動画等で構成されています。
ちなみに、内容物の画像にたまに添えてある「Kickstarter Exclusive」とは「キックスターター限定」と言う意味です。他では入手困難なものも多いので、支援プランを決める際の参考にしてください。
Shipping(国/地域別の送料一覧)もあるはずなので、そちらも要確認です。この記事ではリワード(返礼品)となるボードゲームの送付先を日本と仮定して記述しますが、一覧に「Japan」が単独で書かれてなければ大抵はAsiaに含まれており、そこにも国名がなければRest of the world(その他の地域)の送料になります。
また「Stretch Goal(ストレッチゴール)」が複数設定されているプロジェクトもあります。これは簡単に言えば「支援目標を達成したらおまけを増やす」と言う感じのものです。その目標や達成度、内容は企画者次第ですが、具体的にはプロモカードが増えたり、箱の印刷が豪華になったり、タイルなどの厚紙が厚くなったり、無地の予定だったミープルにイラストが印刷されたり、厚紙製の駒が木製になったり、と言ったささやかなものが多いです。
ストレッチゴールは大抵の場合、全ての支援者に無料で提供されますが、特定のプランを選んだ支援者だけ享受できる限定品もあったりします。
支援したいプランが決まったら、右カラムに表示されているプランから希望のものを選ぶのですが、気を付けていただきたいプランが2種類。
こちら「リワードなしでプレッジ」は要するに「リワード要りません、資金の寄付だけしますよ」と言う支援プランです。寄付金額は自由ですが、ボードゲーム現品は届かないので、ボードゲームが欲しくて支援される方は注意してくださいね。
こちらの「Retailers Only」は「販売店のみ」の支援プランです。要するにボドゲ販売店向けの仕入れ用プランなので、個人が金額の安さに釣られて選んだらあかん奴です。
ボードゲームの場合、販売店を意味する「Retailer」や「Shop」と言った単語が見出しや説明文に入った支援プランが用意されていることもあります。英語分からないニキネキも、「この単語が入ってたら販売店向けの支援プランや」と覚えておきましょう。
そして、前述の2種類ほどではありませんが、少し注意が必要なプランもあります。プロジェクトによってあったりなかったりしますが、
大抵は$1や€1と言った最低金額で「Add-ons」や「pledge manager(PMと略されることも)」の単語が見出しや説明文に入った支援プランです。内容は共通しているので、どんな支援プランか知っておけば、選択の幅が広がるでしょう。
これらはいずれも、【大まかな段取り3】で書いた「プロジェクト期日になる」と最低金額だけ引き落とされ、その後【大まかな段取り5】で他の支援プランに変更したりアドオンをカートに入れたりして、送料と一緒に全額一気に支払うタイプの支援プランになります。
具体的には「欲しいけど今は金がない、代金は後で必ず支払う!」と言った状況や「普通の支援プランには欲しいものがないけど、アドオンには欲しいものがある」と言った状況で選ぶようなプランです。またリワードを手に入れるか迷う場合に「とりあえず受け取る権利だけ確保しとく」と言う使い方もでき、「やっぱリワード要らないわ」となった場合、支払い済みの最低金額はそのまま企画者へ寄付されます。
ただしプロジェクトによっては「特定の支援プランを選んだときだけ付く特典」がこの支援プランでは付かなかったりすることもあるので、特典の有無についてはよく確認してください。英語わからんニキネキは、そのときこそ!翻訳ツールに頼るとき!
他にも同一セットを複数個購入できる支援プランなどもあり、これは通常、知り合いと共同購入するときに選ばれます(ひとまとまりの荷物として送料請求されるので、共同購入者と割り勘すれば割安になります)。
2.支援に必要な情報を入力して送信する
支援したいプランをクリックし、
配送先の国(間違えると返礼品が届かなくなるので注意してください)と支援金額(表示額以上の金額に変更しても構いません。余剰金は寄付されます)を確認して「次へ」ボタンを押すと、
支援プランを確認でき、また、あればアドオン(追加特典)をカートに追加できます。
ボーナスサポート(寄付金、0でも問題ありません)を設定し、合計金額を確認したあと「次へ」ボタンを押すと、画面が切り替わり、クレジットカードの情報入力画面になります。
クレジットカード情報を入力し、「リワードは保証されていません」の下にある「リワードや払い戻しがKickstarterまたはクリエイターに」云々のチェックを入れると、下の「プレッジする」ボタンの色が黒くなって押せるようになるので、押せば支援完了です!
支援プランの中には期限付きのものや支援者数の上限があるものも存在し、そう言うものはタイマーが表示されて、その制限時間内に「プレッジする」ボタンを押す必要があります。と言ってもクレジットカードを登録するには十分な時間があるので、画面を切り替えたまま放置しない限り、あまり気にする必要はないかも知れません。
支援完了すれば、Kickstarterの登録メアドに各種の通知メールが届くようになります。それらの通知メールは概ね流しても大丈夫ですが、たまに重要な通知メールが届くので、流して良い通知メールと重要な通知メールの区別が付くようになるまではメールの内容を逐一確認した方が良いです。
支援完了と言っても、この時点ではまだお金の引き落としはなく、締め切りまでの残り時間が0になるまで、支援プランは自由に変えることができ、望むなら支援のキャンセルもできます(ただし期限切れのプランや人数上限に達したプランへの変更はできません)。
なので、プロジェクト・ページの冒頭にある「締め切りまであと何日、あと何時間」のところはよく見ておきましょう。リロードしなくてもリアルタイムでカウントダウンするので、気になった瞬間に見に行くとヨシ!
特に支援プランの変更やキャンセルをしなくて良ければ、そのまま放置してプロジェクトの締め切り時間になるまで待てば良いです。
また、この時点では住所を登録していないことに注意してください。住所は後ほど登録します。
3.プロジェクト期日を待つ。期日になると支援した金額が引き落とされる
プロジェクト期日の締め切り時間になれば、登録したクレジットカードから自動で支援金額が引き落とされ、所定の金額が引き落とされた通知メールがKickstarterの登録メアドに届きます。なお引き落とされる金額は、引き落とし時点での為替レートで換算されます。円高になぁれ♡
また大抵のプロジェクトでは、前後して企画者から「プロジェクトは成功しました!」と言った報告があると思います。企画者からの報告は、登録メアドに通知メールが来る他、プロジェクト・ページの最初の方にある「アップデート」タブで、過去のものも含め確認できます。
ちなみにプロジェクトが失敗した(企画者が設定した日時までに最低金額が集まらなかった)場合、特にクレジットカードからの引き落としもなく、単にプロジェクトが失敗したと言う通知メールだけが届きます。企画者からも何某かの告知があるかも知れませんが、基本的にプロジェクトはそこで終了です(企画者から同じ内容で再クラウドファンディングがあるかも知れませんが、プロジェクトとしては別のものになります)。
またプロジェクト達成前に、企画者の方から企画キャンセルすることもあるかも知れません。この場合も、プロジェクト失敗時と同様にクレカの引き落としはなく、その時点でプロジェクトは終了です。また企画者から何某かの告知があるかも知れませんが、その辺りの対応は企画者次第になります。
4.サーベイ、あるいはプレッジ・マネージャーのオープンを待つ
ボードゲームのクラウドファンディングの場合、工場での大量生産が始まり出荷の目途が立つまで、支援者にできることは基本的に何もありません。企画者から「完成したらすぐ送れるよう、今から準備するんで協力よろしゅう」と告知があるまでひたすら待つだけです。
プロジェクトが締め切ってから発送準備までの期間は特に決まっておらず、数週間から数ヶ月で告知されることもあれば、年単位で待つこともあります。企画者がプロジェクトの進捗状況をアップデートで逐一報告すると思うので、その内容を確認しながら気長に待ちましょう。
そしていよいよ出荷が見えてきたら、【大まかな段取り2】では登録していなかった「リワード(返礼品)送付先住所」の登録を企画者が受け付けるようになります。その方法は大まかに2種類あり、Kickstarter標準の「サーベイ」を使ったものと、Kickstarter外のサイトに設置されたサーベイや「プレッジ・マネージャー」を使ったものです。
いずれの方法にしろ、Kickstarterの登録メアドに通知メールが来ます。また、大抵の企画者は送付先住所の登録受付が始まったことをアップデートで報告すると思うので、企画者からのアップデート報告や通知メールを見逃さないようにしてください。
サーベイ(survey)とは「調査」と言う意味で、登録メアドや送付先住所を含む簡単なアンケートのようなものです。アンケートの内容は大抵「どこでこのプロジェクトを知ったのか」とか「このプロジェクトの何処に興味を持ったのか」と言ったものなので、選択肢から選んだり一文を書いたり(英語で)して回答しましょう。
プレッジ・マネージャー(pledge manager、略してPM)とは、プレッジ(支援)した内容を確認したり追加・変更したり送付先の住所を登録したりできる専用の管理画面のことです。ECサイトのカート画面や注文履歴/詳細画面みたいなものですが、それらとは性質がかなり違います。各プロジェクトごとに別々に開設されるもので、利用可能になることを「オープン」、登録情報を固定し変更が不可能になることを「クローズ」と呼びます。
企画者がPMを利用する場合、通知メールに他クラファンサイトへのURLが貼ってあります。メールはテキストのみでURL偽装が難しいので、そのまま指定のURLに飛んで問題ありません。指定のサイトのPMでも、Kickstarterで支援したプランの内容や引き落とされた金額はそのまま引き継いで使えるよう処理されています(仮に問題がある場合は、企画者に連絡すれば対応してくれるはずです。英語で)。また、そのクラファンサイトのへユーザー登録も大抵は不要です。
代表的な他クラファンサイトはBackerKitやGameFoundですが、Hiveやその他のクラファンサイトを利用したり、自社内サーバにPMを設置しているボドゲ出版社などもあります。
5.送付先となる住所を登録する
送付先の住所も英語で書きますが、英語での住所の書き方は日本語の住所の書き方とは異なるので気を付けてください。
Kickstarter標準のサーベイを使っている場合、送料は既に支払い済み(プロジェクト期日に引き落とされた金額に含まれている)なので、回答を送信した後はリワード(返礼品)の発送を待つだけになります。
他サイトのサーベイやプレッジ・マネージャーを利用する場合、通知メールのURLからそのサイトへ飛ぶか、あるいはそのサイトにユーザーとしてログインすることになります。サイトによってはユーザー登録していないのにパスワードを要求されるかも知れませんが、その場合はゲスト・パスワードが通知メールに書いてあるはずです。
初めてログインすると、プロジェクトによってはアンケートがあったり、支援プランを変更するか確認されることがあります(これらの有無はプロジェクトによって変わります)。以降、支払いボタンを押す前であれば支援プランの変更が可能なこともあります(変更できないこともあります)。
またプロジェクトによってはアドオン(追加特典)が用意されていることもあります。アドオンは基本的に有料で、支援プランに含まれていないアップグレードを追加できる他、同じ支援プランを複数セット追加できたり、企画者であるボドゲ出版社が発売している別のボードゲームを付けたり、プロジェクトを締め切った後に追加された品が選べたりできます。もちろん料金もそれなりですし、大きなものを選べば送料も嵩みます(追加の送料が併記してある場合もあります)。
プロジェクトによってはアドオンの中に「ナントカpot」と言う項目があったりしますが、これは「企画者に寄付する」ものです。寄付の項目は割とあちこちにありますが、完全に善意で任意のものなので、好きな金額を寄付しても全スルーしても大丈夫です。
支援プランの内容確認と、あれば好きなアドオンをカートに追加して送付先の住所とクレジットカードを登録すると、追加料金と最終的な送料が決まります。
プロジェクト期日に支払った支援金は、支払総額から差し引かれ、差額となる未払い金額は支払いボタンを押すと即時に引き落とされます。こちらも引き落とし時点での為替レートで換算されるので、少しでも円高のときにタイミングよく支払いたいところです。また、ここで支払いを終えると、基本的に支援プランやアドオンの追加や変更はできなくなります。
ちなみに、より安い支援プランへ変更し、プロジェクト期日に支払った料金が送料等を含む支払総額を上回った(差額がプラスになった)場合、余剰金額は返金されず企画者へ寄付されます。注意しろよ!
またサーベイやPMで追加情報(と料金)を送信すると、その確認メールが来るはずです。Kickstarter標準のサーベイであれば、最終的なリワードやアドオンの一覧と共に「準備が整い次第リワードが発送されます」云々と言った内容になります。
他サイトのPMの場合、料金の支払いが完了しました的な内容と共にPMへ再アクセスできるURLリンクが書かれていると思います。この確認メールは(少なくともリワードが到着するまで)消さずに保存しましょう。支援プランの内容と届いたリワードの中身が食い違っていたり、発送された後のリワードに何某かのトラブルがあったりした場合、この確認メールが役立つはずです。
サーベイやPMは企画者が定期的にチェックするので、もしサーベイやPMに不備があれば、企画者から個々にメッセージが送られたりアップデート報告でサーベイやPMの内容を再確認するよう告知されたりします。
準備万端で不備はないと思っても、企画者から告知があったら念のため再確認してみてください。
作業の都合上サーベイやPMにも締め切りがありますが、それらは企画者から告知があります。サーベイやPMの返信可能な期間は様々で、多くのプロジェクトでは短くても1ヶ月ほど、長ければ半年ほど猶予を取ることもあります。
この期間中、プロジェクトによっては「Late Pledge(レイト・プレッジ)」と呼ばれる「プロジェクトは締め切ったけど追加で支援を受け付けるよ」と言った期間が設けられるかも知れません(ないかも知れません)。なので「支援しようと思ってたのに気づいたら締め切られてた!」と言った場合も、レイト・プレッジがあれば駆け込みで支援できます。
ただしプロジェクトとしては締め切った後なので、Kickstarterのシステムが使えず、通常の支援者とは異なり各種の通知メールが来なかったりします。何気に重要な通知も来ないので、企画者からのアップデート報告をマメにチェックするなど、通知の見落としには気を付けてください。
大抵のクラファンサイトではサーベイやPMが締め切られた後も、送付先の住所や支援プランの内容が確認できます。
またサーベイやPMが締め切られた後に「サーベイやPMの手続き忘れてた、どうしよう!」と言った場合や「サーベイやPMに登録した住所とは別のところへ送ってほしくなった!」と言った場合も、発送が始まる1ヶ月ほど前までなら対応してくれることが多いです(私は未経験なので詳しくは分かりませんが)。もちろん締め切り前に手続きした方がトラブルは少ないですが、どうしても必要であれば企画者に問い合わせてみると良いでしょう。
6.リワードの発送を待つ
サーベイやプレッジ・マネージャーで追加情報を送信しても、リワード(返礼品)の発送はそれらが締め切られるまで始まりません。状況によっては、サーベイやPMが締め切られた後リワードが発送されるまで、年単位で待たされることもあります。
最初に解説した支援プランの枠の中に「配達予定」の年月が書いてあり、リワードの発送開始は基本的にこの年月頃になります。と言っても生産状況によって発送開始時期は前後しますので、あくまでも目安と考えてください。
試作品で問題が発生し、その修正作業で遅れると言うことも多く、状況によっては年単位で遅れることもあります。また、大抵のボードゲームは中国の工場で生産されているので、春節(中国の旧正月)などに引っかかって生産や発送が遅れることもたびたびです。
この辺りの状況は、企画者が逐次報告をしてくれるはずです。経験的に、企画者が定期的に何某かの(プロジェクトとは直接関係ない内容でも)報告しているプロジェクトであれば、予定より遅れてもリワードが届く可能性は高いです。大手のボドゲ出版社であれば、複数のプロジェクトを同時に動かすこともあって、そう言う企画者のプロジェクトも確実性は高いですね(同じボドゲ出版社の複数のプロジェクトを支援して、それらのリワードがまとめて届いたことも何度かあります)。
逆に企画者からの報告が途絶えたプロジェクトは、リワードが届かない覚悟をした方が良いでしょう。企画者からの報告のない期間が確か1ヶ月を超えたら、Kickstarter経由で報告の要望を出すこともできます(ただし複数回出すことはできないようです)が、その企画者のKickstarter外での活動状況や評判も確認してみるべきかも知れません。BGGにそのプロジェクトのページが作られていれば、そこで確認したり(英語で)質問してみるのも一つの手です。
また既に支援したプランであっても、ライセンスや国際情勢などの事情で一部の国にリワードが送れないこともあります。どのプロジェクトでも基本的にリワードを届けられない国からの支援は受け付けていませんが、稀に企画者が気付かず「リワードを届けられない国からの支援を受け付ける」ことがあるのです。その場合は企画者へ申し出れば支援はキャンセルされ、返金手続きしてもらえるはずです。
7.リワードが到着したら、破損や欠品の有無を確認する
リワード(返礼品)の発送が開始されたら、企画者から報告があるはずです。と言っても世界中へ発送しているので、日本やアジア地域への発送状況を確認すると良いでしょう。大抵は国単位でまとめて発送されるため、船便となり、かかる時間は何週間~何ヶ月単位になると考えてください。
一度ヨーロッパに送られて(組立や検品などをして)日本へ発送、と言う場合はスエズ運河(アフリカ大陸とアラビア半島の間を通る運河)を通過できるか否かでも日本への到着時期は変わります。なので中東の平和は大事です。世界平和を祈りましょう。
リワードは、工場のある中国から直接届くパターンと、一度企画者であるボドゲ出版社の物流拠点に送られるパターンがあります。
物流拠点と言うのは、ボドゲ出版社が販売地域に持っている専用倉庫のようなもので、例えばアメリカのボドゲ出版社でもヨーロッパでの売れ行きが良ければわざわざアメリカからヨーロッパ各地へ送るよりヨーロッパの何処かに専用倉庫を作ってそこへ送ってからヨーロッパ各地へ送った方が費用も時間もかかりませんよね、と言う感じで使われます。
また、様々なボドゲ出版社の物流拠点を代行し、特定の地域だけを担当する発送代理店もあったりします。
日本へのリワードの発送は大抵の場合、Kickstarterのリワードを専門にアジアとオセアニアで発送を代行するVFI Asiaを経由して行われます。VFI Asiaから直接届くこともありますが、日本行きの荷物だけを日本専門の発送代理店Dexker Games(デスカー・ゲームズ)さんや海外ボドゲの輸入や翻訳で知られる販売店ふるりん本舗さん等にまとめて送られ、そこから宅配便で届くこともあります。
他にも、サイズが小さいものであれば国際郵便で届いたり、ドイツを拠点とする国際宅配便DHLや、アメリカを拠点とする国際宅配便FedEx経由で届いたりします。
これらの荷物には追跡番号が付いていて、概ね企画者や代理店から追跡番号がメールで送られてきます。なお、追跡番号のメールが届いてから現物が届くまでの期間はまちまちです。ヨーロッパの倉庫や中国の工場から発送された直後に追跡番号メールが届いたこともあれば、日本国内に荷物が到着してから追跡番号メールが届いたこともあるので、実際にいつ頃届くかは日本国内での配達担当業者を特定して追跡番号を検索した方が確実です。
また、リワードの発送開始後に送付先住所を変更したくなったときは、国内の配達担当業者に問い合わせるのもアリです。地元担当の支店で良いので送付先の変更希望と追跡番号を伝えると、該当する荷物の所在を確認して然るべき対応をしてくれるはずです。
もし発送通知メールが来ない場合、Twitter(自称X)などで他の支援者の状況を確認してみると良いでしょう。同じリワードでも発送そのものが(量の多さが原因で)分割されていることがあるので、「1か月前に到着報告見たのに自分にはまだ届いてない……」と言うことも起こります。もし不安であれば、遠慮なく企画者に問い合わせてみましょう(英語で)。Kickstarterのメッセージや企画者への直通メールなどで問い合わせれば、確認に時間がかかるかも知れませんが返答が来るはずです(英語で)。翻訳ツール万歳。詳しい問い合わせ方法は破損や欠品があった場合の連絡方法と同じなので後述します。
また送料には通常VAT(付加価値税、輸入税とも)や関税も含まれていますが、プロジェクトによっては送料にVATや関税が含まれておらず、荷物受け取り時にその不足分を請求されることがあります。滅多にありませんが、そういうこともあると覚えておきましょう。
そして無事にリワードが届いたら、いくつかやるべきことがあります。
Kickstarterにはユーザーごとに「バックしたプロジェクト」と言う管理ページがあるので、そこから「受取済」の項目にチェックを入れることができます。ちなみにこの場合の「バック」はバックアップのバックですね。そして支援者のことを「バッカー(backer)」とも呼びます。
複数のプロジェクトを支援していると、どれを受け取ってどれを受け取っていないか分からなくなりがちなので、リワードを受け取ったらすぐチェックしておくと受け取りの管理が楽になります。チェックを入れた日にちも保存されるので後から確認できて便利ですが、チェックを外すのも簡単なのでやや注意が必要かも知れません。
届いたリワードのボードゲームに、破損や欠品がないかも早めに確認しておきましょう。普通に日本で購入したボードゲームも破損や欠品の有無を確認すると思いますが、海外だと対応に時間がかかるので、できるだけ早めに確認した方が良いです。
ある程度時間が経っても企画者は対応してくれるとは思いますが、ボードゲームの企画者によっては工場生産から発送くらいの段階になったら「次」のボードゲームのプロジェクトを始動させることもあるので、時間が経つほど処理の優先度が下がってしまうのです。
また、破損や欠品の確認が遅いと言うことは「届いたボードゲームを触っていない」ことでもあるので、何のために支援したんだオメーは。
破損の有無は、見ればだいたい分かると思いますので、とりあえず写真を撮りましょう(詳細は後述)。
欠品については、まず支援プランに含まれるパッケージやアドオンが全て揃っているかを確認してください。
プロジェクトによっては、ゲーム本体とアドオンなどが別送になる場合もあります(私が実際に体験したものでは、アドオンのインサートやプレイマットがゲーム本体とは別送になっていたことがあります)。その辺りも企画者から報告があるはずなので、別送の有無についてアップデートを確認してみると良いでしょう。
続いてパッケージの中身が揃っているかも確認しましょう。ボードゲームを普通に購入した時と同様に中身を検品すれば良いです。
大抵のボードゲームではルールブックの冒頭に内容物一覧があり、だいたいは写真付きなので、日本語でなくても内容物の形状や数量は分かると思います。それらの内容物の数量や破損を確認し、数量不足や破損があれば、企画者に連絡しましょう(英語で)。連絡の仕方について詳しくは後述します。
稀にですが、「支援したプランやアドオンは揃ってるが、なんか頼んだ覚えのないものも入ってるぞ……?」と言うことがあります。その場合、まず企画者からの報告を確認してください。具体例として、「ゲームの内容品に製造ミスがあったけど、内容品の交換が間に合わなかったので良品を外付けしておきました、ゲーム本体に入ってる不良品と交換してください」と言うパターンや、「本当は一部の支援者への限定特典のつもりだったけど、支援額が想定より多かったので支援者全員に特典を無料で付けました」と言うパターンが実際にありました。こう言う予定外の変更があったときは、企画者が必ず報告しているので、まずアップデート報告を確認して、それでも分からないときは企画者に問い合わせましょう(英語で)。
また「支援したプランやアドオンは届いてないのに、支援してないプランやアドオンが届いた!」と言うことも、ごく稀にですが実際にありますので、そのときも遠慮なく問い合わせましょう(英語で)。
8.リワードにトラブルがあった場合、プロジェクトの企画者に連絡し、対応を待つ
リワード(返礼品)が届かなかったり、違うものが届いたり、パッケージや内容物に破損や欠品があったりした場合、企画者に(英語で)連絡して不足分や良品を入手する必要があります。じゃないと、せっかく届いたボードゲームが遊べませんからね。
まずは企画者の連絡先を確認しましょう。大抵の場合、アップデート報告のうち「Shipping(発送)」や「Fulfillment(成就)」と言ったタイトルのものの何処かに、連絡先のメアドや専用入力フォームへのURLが書かれています。
メールを送る場合、プロジェクト名と「リワードに問題があった」等のタイトルを付けると良いです。また企画者に対応してもらうために必要な情報は、概ね以下の項目です。
Kickstarterの登録メアド
リワードに問題があったプロジェクト名(ボードゲームのタイトル)
そのプロジェクトでのバッカーナンバー
どう言う問題があったか
欠品や破損品の具体的な物品名と数量(写真があればなお良し)
良品の送付先の住所氏名電話番号
プロジェクト名は基本的に、プロジェクト・ページ冒頭のタイトルをそのままコピペすればOKです。
「バッカーナンバーってなんじゃらほい?」と思うかも知れませんが、これは「そのプロジェクトの何番目の支援者か」の番号です。同じ企画者でもプロジェクトが異なるとバッカーナンバーも異なるので、連絡する際は問題のあったプロジェクトごとに都度確認しましょう。企画者がリワードの状況を把握しやすくなり、対応に必要な時間が短縮されます。
バッカーナンバーをKickstarterで確認するには、
プロジェクト期日を過ぎると、プロジェクトページに「バック済」と言うヘッダが表示されるようになります。ここにある「プレッジ内容を見る」リンクをクリックすると、
バック(支援)詳細タブから「そのプロジェクト」のバッカーナンバーを確認することができます。
「どう言う問題があったか」は、企画者に連絡した理由を簡潔に書きます(英語で)。以下例文です(英文はDeepLによる翻訳です)。
Rewards do not arrive.(リワードが届かない)
Part of the reward has not been received.(リワードの一部が届いていない)
Different rewards received.(異なるリワードが届いた)
Reward has missing items.(リワードに欠品がある)
I don't know where component xxx is.(xxxと言う内容物が何処に入っているか分からない)
Reward has been damaged.(リワードに破損/ダメージがある)
続けて欠品や破損品の具体的な物品名と数量のリストを(英語で)書くんですが。
リワードが全部届いていない場合「この支援プランの全部!」ではなく、支援プランに含まれているパッケージを1つ1つリスト化した方が良いです。ぶっちゃけ企画者は支援者個々の情報を覚えておらず、調べるのに時間がかかるので、届いてないものリストをこちらで作って送った方が対応時間を短縮できます。
良品の送付先住所も欠品や破損品リストと一緒に送った方が対応時間を短縮できます(住所を一緒に送ると、確認でき次第、即座に良品を送ってくれます)。住所の書き方はPMで登録した英語での住所の書き方と同じなので、ここでは省略します。
一部欠品の場合、「実は分かりにくいところに入っていた」と言うこともあったので、まずは「xxxが何処に入っているか分からない」と言った問い合わせ方の方が良いかも知れません。xxxの部分は該当する内容物のルールブックに書いてある通りの名前に書き替えてください。
また、異なるリワードが届いた場合や、リワードに破損がある場合は、リストを書くだけでなく、写真も添え付けた方が確実です。
異なるリワードが届いた場合、荷物の中身一覧を書いた紙が、外箱に張り付けられていたり、箱の中に入っていたりします。外箱に張り付けられているものは割と分かりにくく、またプロジェクトによっては略号で書かれていたりしますが、「qty(quantity、数量)」や「item(アイテム)」と言う文字があれば近くにそれっぽい一覧があるはずです。
この中身一覧が全て確認できる写真と、プレッジ・マネージャーで確認できる支援プランの内容が確認できるスクショを添え付けます。
なお荷物の中身一覧の紙が入ってない場合、配達票を剥がした後の「張り付いた台紙の下」を確認してみてください。それっぽい一覧が透けて見えるかも知れません。こう言う場合「張り付いた台紙」は無理に剥がさず、上のシールだけを剥がして(ヤマト運輸の配達票は大抵剥がせますが、日本郵便や佐川急便の配達票は剥がしづらいかも知れません)一覧が見えるよう上手く写真を撮りたいところです。
「希望していないのに届いた」品物についても、一言「代金を支払っていないxxxが届いた、送り返せば良いのか?」と言った感じで確認してみると良いでしょう。
リワードの破損は、もし外箱を開ける前から中身が破損していると分かるようであれば、開ける前に外箱の破損部分が全て見える角度から写真に撮りましょう。多くのリワードは外箱と中身の隙間に緩衝材を入れて厳重に梱包しているので、外箱は破損していても中のリワードは無事と言うこともあり、リワードそのものが無事な場合は破損扱いになりません。
外箱が無事でも中身が破損している場合、これも破損部分が全て見える角度から写真に撮ってください。基本的に破損1ヶ所の写真は1枚で構いませんが、破損が大きく写真1枚では収まり切れない場合、別角度からの写真も撮りましょう(別角度と分かるように撮れればなお良し)。また小さな品物(例えばミープル等)の破損が複数個あると言った場合は、まとめて1枚に収めても大丈夫です。
こうして撮った写真やスクショは「全て」メールに添え付けます。
破損や欠品の連絡を送った後は、ケースバイケースの対応になるので、ここでは詳しく書きません(と言うか書きようがありません)。
確認して即時に良品を送ってくれる(けど海外発送なのでそれなりに時間はかかる)場合もあれば、追加の情報を求められたり、担当者に再連絡するように返答されたこともあります。破損や欠品そのものがよろしくない印象なので、待たされたうえで迂遠な対応をされるとイラッと来ることもあるかも知れませんが、プロジェクトを支援し始めてからリワードが到着するまで待った時間を思えば、待つ時間がもう少し増えるだけです。良品を早く確実に入手するためにも深呼吸して冷静に行動しましょう。
こうしたやり取りは全て英語で行わなければならないので、英語苦手な日本人ではなかなか思うようにいかないと思います。私も英語は苦手なので、それなりに苦労しました。ですが大抵のボードゲーム企画者は時間はかかるかも知れませんが誠実に対応してくださるので、できるだけ簡潔に要点を伝えるようにした方が、やり取りも上手くいくかと思います。
またこの記事で書かれた各種のトラブルは、注記のない限りほぼ100%私の実体験です。全てのトラブルはきちんと解決したので、もしトラブルに見舞われたとしても諦めず、めげずに頑張りましょう。
あと、普通に日本人や日本語の通じる企画者であれば言うまでもなく、これらのやり取りや住所表記は日本語で大丈夫ですよ。
感謝の意を伝えよう
無事に完成したボードゲームを受け取れたら、遊んで楽しむのが企画者にとって一番のお礼となるはずです。受け取って感謝、遊んで感謝の気持ちを忘れずに、できればTwitter(自称X)やブログなどで受け取ったことや遊んだ感想などを発信し、宣伝に協力すると良いでしょう。
もし欠品や不良品があって連絡し、手元に良品が届いた際には、こちらも必須ではありませんが「良品が無事に届きました」とサポートに感謝メールを送ると良いと思います。良品を送ってもらったはずなのに、何某かのトラブルで届かないと言ったことも起こり得ますので、個人的には届いた報告をするようお勧めします。
あと、一度クラウドファンディングを支援したら、その企画者が「次」や「次の次」のプロジェクトを立ち上げるときに予告メールを送ってくるようになります。と言っても、「次」や「次の次」を必ず支援しなければいけない、と言うことはありません。ボードゲームにもプロジェクトにも好き嫌いや相性があるので、欲しくないボードゲームを無理に支援しなくても大丈夫です。2024年9月は円安なので懐具合も厳しくなりがちですし。
何しろクラウドファンディングの支援者は「お客さん」ではなくプロジェクトの「協力者」です。気に入ったボードゲームに対して「このボードゲームはワシが育てた」とか「このボードゲームには発売前から目を付けてた」とか偉そうに言えるチャンスですよ?(そこ
寄付のお願い
本記事は全文無料で読めますが、もし記事を気に入ってくださったなら、以下からサポートをお願いします。
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?