なぜアメリカは強いのか『13歳からの地政学』著者 田中孝幸
1 概要
「13歳からの地政学」に関する内容をまとめると以下のようになります。
⑴地球と海の重要性
地球は海に覆われており、日本を含む多くの国々の貿易は海路に依存しています。
海は軍事的にも重要で、アメリカのような強国は海を通じて輸出入をコントロールできます。
⑵経済と通貨の力
世界の多くはドル経済に依存しており、金融ルールに従わなければペナルティが発生します。
このルールを理解し活用することが重要です。
⑶情報通信の基盤
スマートフォンのデータの大部分は海底ケーブルを通じています。
歴史的に見ても、情報通信の制御は戦争の勝敗に大きく影響します。
⑷情報の取り扱い
第二次世界大戦で活躍した各国のスパイ組織であったが、優秀な諜報員がいくら良い情報を集めても、結局は上層部が活かしきれていなかった。
情報を過剰に集めることは、持っていないことに近くなるという。目標を持って、得た情報を効果的に活用することが重要です。
情報を集めてもうまく活用できなかったソ連の例から、情報は手段であり、目的ではないと学べます。
⑸経済成長の要因
新しい技術と人口が経済成長には不可欠です。
需要と供給を満たすためには、人口増加が重要な役割を果たします。
⑹民主主義の利点
暴動や革命なしにリーダーを変えられることが民主主義の大きな利点です。
アフリカの貧困の理由
政治的な不安定さや、資源があっても加工業が発展していないことが、アフリカの貧困の一因です。
⑺アフリカにおける不平等の解決策
募金や関心を持つことは決して無駄ではない。
少しずつでいいのでアフリカの問題について知り、深く考えることが大切なのです。
⑻地政学的な利点
アメリカは地理的にも経済的にも好条件に恵まれており、21世紀もその強さは変わらないとされています。
本書は、地政学的な観点から世界の動きを理解し、これからの時代を生きる上での指針を提供しています。経済、政治、歴史など様々な側面から世界を読み解くことで、より深い理解を得ることができるでしょう。
2 自分の考え
⑴ 本書の問と答
地球規模で見て、なぜアメリカは強いのか
地政学的に見ると今後もアメリカの優位性は変わらない
その理由が書かれてある本です。
遠い異国の時事ニュースをただの断片的な出来事として聞き流す状態から、地政学という観点からその背景に何があるのか、行間を読むようになれるかもしれません。
しかし本書の核となる部分は、最後に自分がどうあるべきなのかを問うてくるところにあります。
⑵ ビフォー この本を読む前まで
なんとなく学校の世界史で習ったとおり年代順の考え方(平面的な見方)しか知らなかった。
でも実は、その歴史の背景として地理的な要因(立体的な見方)があることがわかる。
本の中でも、ディプロマットというアンティークの地球儀を用いて歴史を説明してくれる
この本の主人公たち(兄妹)のように中高生のときにこの本を読んでいたら、自分の進路についてもっと視野が広がっていたかもしれない
⑶ 気づき
いや、まだ遅くないのではないか?
最近、自分の年齢を考えて色々な制約を課している気がする。
いくつになっても人間には欲求があります。
私の場合はシンプルに、お金をもっとたくさん稼ぎたい、という下世話なものです。
その目標に向かってどう努力するかも大事ですが、それ以上にいったい何のためにお金が欲しいのかをもう一度よく考えてみようと思います。
本書では、情報は集めすぎると、それは持っていないことに近くなっていく。
優秀なKGB(ロシアのスパイ)がどれだけ他国の情報をとってもうまく使えなかったのでソ連は崩壊した。
だからしっかりとした目標と、得た能力を何に使うかを考える必要があると書かれてあります。
⑷ アフター 読了後
歴史や知識を平面でなく立体的、多面的にとらえるという見方や考え方は新鮮でした。
また、なぜアメリカが世界の中で一強状態なのかという理由のひとつが、地政学的な視点で明確に示されています。
インターネットやオンラインがいくら発展していっても、この地政学的な優位性は、そうそう変わらないでしょう。
⑸ 一番気になった箇所は
夢とは職業のことだけではない。自分がどういう人間になりたいかということだ
といった内容でした。
これは自分自身の在り方について考えさせられると同時に、悪い癖の発見にもつながりました。
私は人を見る時に、ついついその個人の人種や職業、役職などで大雑把にくくってステレオタイプな型にはめて判断しがちでした。
本当は、その人の仕事への向き合い方、人間性などをもっとよく見なくてはと反省しました。
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