建築家・池田武邦の終の住処・大村湾を臨む絶景デッキ「邦久庵」をたずねて。
~行ってみよう、やってみようシリーズ⑥~
何年か前、建築系の雑誌か本を見てから、ずっと「行ってみたい」と思っていた場所が2つある。
ひとつが広島県福山市にある「洸庭」。
そしてもうひとつが、今回訪れた「邦久庵」である。
雑誌を見たときには「邦久庵」は建築家・池田武邦の別邸として建てられたと紹介されており、一般公開されていなかった。
「見れないのか…」とがっかりしてから数年、ある日、インスタから「初夏の一般公開2023」のお知らせが流れてきた。
「見れる!!」
迷わず申し込みをしていた。
そしてついに!ついに!!
「邦久庵」を訪れる日がやってきた。
地元民でもめったに通らない道を行き、ひと山超えて、離合するのも難しい海沿いの道をぬけた小さな岬の先に、茅葺屋根の庵「邦久庵」はある。
2001年に建築家・池田武邦の終いの住処として建てられた「邦久庵」。
池田武邦は、「海と共生するまちづくり」を設計思想に掲げ、長崎オランダ村・ハウステンボスの設計に携わった人である。
「邦久庵」もまた「土に還る建築」をスローガンに、材料も地産地消にこだわり、伝統的な方法を用いて建てられている。
2階の書斎も、印象的な三角窓があり、そこから光が美しく差し込む。(写真は山側)
逆側の窓からは海しか見えず、まるで海に浮かぶ船の中にいるような錯覚をおぼえる。
デッキに座って大村湾を眺めていると、ほんとうに時間を忘れてぼーっとしてしまう。
聞こえるのは波の音と、風の音だけだ。
デッキは真西をのぞんでいるため、夕日がとても美しいらしい。
スナメリ(小さなクジラの一種)が遊びに来ることもあるそう。
現在、この「邦久庵」をどのように維持していくか模索中とのことで、微力ながら私もなにか力になれればいいなぁと思いながら「邦久庵」を後にした。