視点・論点 子ども政策と税を考える 観た感想
財源は社会保険料か消費税か
岸田首相は、こども未来戦略会議を設置し、6月までにその大枠を示す方針です。
今回のたたき台を見ると、必要な恒久財源は数兆円規模になるとも言われており、今後大きな議論になるでしょう。では、どのような財源が考えられるのでしょうか?自民党の一部では、社会保険で対応するという考え方が議論されています。
一方、地方単位の社会保障財源を賄うのは、広く国民全員に負担を求める消費税の役目であるとも考えられます。
そこで、社会保険料と消費税のメリットデメリットを比較してみたいと思います。
財源に社会保険料を採用するメリット
社会保険料の機能は、リスクのシェアで、人生の様々なリスク、つまり保険事故に備えてあらかじめ保険料を出し合い、リスクに遭遇した人に必要なお金やサービスを支給する仕組みです。子供が産まれ費用がかかることがリスクになりますので、社会保険料の機能に組み込もうというものです。
財源に社会保険料を採用するデメリット
子育てを終えた人や、子供を持ちたくないという人など、リスクの生じない人もおられるので、その人たちに負担を受け入れてもらうべく説得する必要が出てきます。
また、年金や雇用保険は、勤労世代の負担しますので、高齢者も含めて国民全員が負担する消費税と比べて勤労者への実質課税だという批判も生じます。
社会保険料の半分を負担する企業について考えてみると企業のコスト増になり、賃上げの気運をそぎかねません。
財源に消費税を採用するメリット
消費税は、仕入れ税額控除という仕組みを通じて、消費者に価格転嫁をするメカニズムが組み込まれており、企業負担にはなりにくいと言えます。消費税は輸出時に還付されるので、企業の国際競争力を損なわないという利点があります。最後に税金なので未納も少ないといいます。
このように負担のあり方としては、消費税の方が優れています。
財源に消費税を採用するデメリット
消費増税は国民全員に負担増となることと、政治的に封印されており、短期間でコンセンサスを得るのは困難でしょう。
その他の財源
それ以外の財源としては配偶者控除の廃止、公的年金等控除の適正化、金融所得課税の強化などが考えられます。重要なことは、現役世代を支える次世代の人々を歓迎するわけですから、次世代に負担を先送りする赤字国債ではなく、現役世代が負担するということです。
消費税か社会保険料かの2者択一なのでしょうか。今の現役世代は先の世代が作った赤字国債を負担しているわけです。
今の赤字国債を先の世代の財産とグレートリセットしてから話をすべきではないでしょうか。
いずれにせよ弱きに強い政治には期待できないです。これで子供を産みやすい環境になるかは疑問ですね。