苦しいときの神頼み
カミさんが乳がんと診断されたとき
定期健診で子供にうながされ乳がん検診をおこなったとき一発で乳がんと診断された。紹介状をもってがん専門の病院を訪れた。この時私ははじめて乳がを身近に体験し、リンパに転移していたらとか悪いイメージが頭の中を駆け巡り、文字通り飯が喉を通らない状況になった。
会社の仕事で車を運転中も嗚咽して涙が止まらない。目の前が真っ暗になったのは初めてであった。
がん病院で検査
大きい病院でカウンセラーがついていろいろ不安にならないように相談してくれたが、精密検査が終わらないと手術などの治療方針がきまらない。精密検査で検体を摘出して現在の病状がわかるまで相当の日数がかかった。その期間がたまらないぐらいつらい。仕事で気分がまぎれるときもあるが、しこりが大きいのが分かっていたのに放置したカミさん。
自分の責任の大きさに潰されそうになる。
遺影をとりにつれて行ってくれって言われた
つらく苦しい中でカミさんが休みの朝に遺影を撮ってくれって言う。つらいのは本人だがサポートしている私の胸は一層苦しくなった。
とにかく外に出よう。車に乗り込んだ。
遺影なんか冗談じゃない。
車に乗って佐野厄除け大師に行った。とにかく今は神にすがるしかない。受付で乳がんであることを告げて拝んでもらうことにした。
僧侶が数名いて目の前で護摩をたく。厄を落としてもらう。私は医者でないので何にもできない。これしかできないのである。
厄除けの儀式が終わると不思議と心が落ち着いた。がんと闘う気持ちが出てきた。
苦しいときの神頼み
手術は無事終わり全部摘出した。今は普通の生活ができている。すべてがいい方向に向かったのは果たして神頼みのおかげであろうか。たくさんの友人知人ががんで命を落としている。これはただの運なのか。
人知をこえた世界
人間には自力ではどうすることもできない事がおこる。AIでも教えることができない領域である。ギャンブル的な状況におかれたときはじめて神にすがる。人生で何度か谷底に落ちたときいずれも神社仏閣にすがった。そして今生きている。