気の毒な佳人
なんてしあわせなんだこの景色さほど美しいわけでもないが、おてんとさんの日差しここちよい湿気を含みすぎない真夏にしたらすがすがしすぎるこの乾き具あいはきっと猛暑だから
こんな洗濯日和にほんとうにお洗濯ができるなんてほんとに清々しい気分になるのね。
こんな生活を送れる現状におぼえるシアワセ
こんなん聞かされたらあたしの不満があまりにちっぽけな理由からきた苛立ちのようで
じぶんがしあわせベタみたいじゃないか!!!
和美は翔子に仲良さげにおどけながらでありながらも本心まざりながらのことばであった。
和美は
竹藪に立て掛けた抜いてわすれているのか、うまくさせなくて放置されてしまっているのか分からない道しるべながめながら
それを眺めている和美の様子を見計らってかたまたまなのか男が用をたし始めた
まさかこの男わざと導を湧きにおき目立つようにしてまさか、
皆の注目をあびながら用を足したくてわざとなんじゃ
和美は紅潮したまんまとやつの罠にハマったのかと怒りを覚えた。
そのや先に式神翔子があのようなことを和美の耳元でほんとうにうれしそうにささやくから
彼女はそのへたな茶番をお茶請けにもならない下らないただふたりでいちゃいちゃしているだけで善いのにかわいそうにさらされてしまった
可愛そうなまことに気の毒なその修行ボウズの袈裟のようにずたずたにひきさかれよれよれになったその気の毒な我が身を神社の鳥居の片方の柱にくくりつけた。
そのもう片方には式神翔子彼女のしあわせな発想とあわさりたくてやはりくくりつけたのであった。
ふたりは鳥居の一番上の真ん中で出会えた式神じだいならすぐ脇に居れたのに。
そして左右入れ替わり鳥居の番をしている。
彼女らは一切会話はしない彼女らは目も合わさない
ずっと前だけをみておのれの役目をはたすのであった
おかげあってかこの鳥居は800ねんものあいだ朽ちることなくこの土地をいまではふしぜんな光景になってもおかしくないのに その鳥居をあやかるものがおとずれるため社は朽ちたにも関わらず紙として祭られているのでした。
あんなこといわなければよかった
きっとあのばには鬼神があらわれておもわず呪文をまちがえてしまった翔子がすこしおのれの人間になりたかった人間扱いされたかった悲しみがそうさせたせいいっぱだったのだろう。
翔子はなにもできなくなったけど、朝日が上り峠の影が桃色に光りをはなつ
その時間にはまいにち和美にそっとくちなしの香りをおくるようにするのでした
それがふたりの悲しいお話
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